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恐ろしく用心深い“地下の主”を寝ボケ撮! 「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第27回~アナグマ」

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恐ろしく用心深い“地下の主”を寝ボケ撮! 「三好秀昌のニッポン探訪・取材ウラ話 第27回~アナグマ」

ドライバー2020年3月号からスタートした新連載「(じつは)動物カメラマン 三好秀昌の『ニッポン探訪』」。日本全国をSUVで駆けまわり、かわいい動物や最高の絶景を撮影してしまおう!という企画です。第27回は福岡・田川郡/東京・青梅市で撮影にアタックした『アナグマ』。撮影テクニックやクルマのインプレッション、その地域のグルメやお土産情報など、取材ウラ話をいろいろと紹介します。
 
 

スバル関連の敷地も徘徊
 
タヌキ汁はじつはアナグマ汁だったという説がある。
「同じ穴の貉(ムジナ)」をまさに地でいったような話で、同じ巣穴から出てきたアナグマをタヌキと間違えて料理した、というのだ。実際、タヌキの肉は臭くて食えないがアナグマはおいしいらしい。よほどの動物好きでなければタヌキとアナグマの違いなんかわからない。
 
東京・三鷹市の国際基督教大学の敷地内に巣があるらしいので、スバルの三鷹製作所やSTIの敷地を夜な夜な徘徊(はいかい)しているのは間違いないのだが、そんな場所で一晩中、アナグマを見張るわけにはいかない。
 
同じく東京の青梅にいるという情報を得て、巣穴を案内してもらった。
 

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しかし、何度行ってもダメ。たまに巣穴の入り口の土が掘り返されているから可能性はある。そしてやっと(!)ウロついているところを見かけた。しかし、アッという間に巣穴に逃げ込まれて万事休す。その後、二度と見かけることはなかった。

 
アナグマを求めてはるばる九州へ
 
そんなときに知り合いのFB(フェイスブック)でタヌキが出てくる、というのを見かけた。しかし、それはタヌキではなくアナグマだった! 話を聞いてみると、傷んだリンゴを放り投げておくと、それを食べに来るというのだ。それは、九州・福岡県田川郡のリンゴ園。しかし、アナグマに会いに九州まで行くとは思わなかった(笑)。
 
川崎町観光リンゴ園を管理している渡辺正典さんは、もともと福島県でリンゴ園を経営していた。しかし、福島原発事故で避難を余儀なくされ、この地に移住してきたのだ。
以前はラリーをやっていて、オイラと共通の知り合いが縁でつながったのだ。そしてなんと、オイラも大好きな三菱ギャランVR-4のラリーカーを今でも持っている!

●川崎町HPより引用

 
 
リンゴ園で戦闘開始!
 
渡辺さんの話では廃棄リンゴを投げておくと朝には全部なくなっているという。まだ明るい夕方にもアナグマは登場することがあるらしい。リンゴ園に隣接する山小屋で待機させてもらうことに。
 
夜もふけて、窓の外のリンゴがあるあたりに何かが来た気配がする。しかし、窓を開ける前に山小屋の中を人間が動くと、その何かは走り去る。それを繰り返しているうちに、寝落ちしてしまった。翌朝、リンゴはきれいになくなっていた。
 
2日目の夜は、作戦を変えた。置かれたリンゴの前にカメラとストロボをセット。寒いので寝袋に入り、外で何か気配や音がしたら、とにもかくにもシャッターを切る! 寝ボケながらも何かを感じたら切る!
朝になって確認すると写っていた!! 鹿が(笑)。
 

●左のほうにボヤーッとした表情の鹿が! 
 
なんとなくは感じていたのだが、やはり大量にリンゴを食っているのは鹿だった。だが、写真をしっかりとチェックすると、いましたアナグマ! その名のとおり、排水溝の穴からちょこっと顔を出している。
 

●右下の穴からコンバンワ!
 
やはりオイラの殺気が伝わるのか、近くのリンゴを穴に引っ張り込んで用心深く食べているようだ。
 
というわけで、一歩間違うと「同じ穴の貉」どころか「穴の外の鹿」というシャレで終わってしまうところだったので、アナグマが写っていて本当によかった。
だがまあ、鹿もアナグマもおいしいリンゴをたらふく食えて豪勢なリンゴ園暮らしだな~。
 
リンゴの木のオーナーになれる!
 

●川崎町観光リンゴ園

 
撮影でお世話になった川崎町観光リンゴ園は、戸谷ケ岳の麓にあるオーナー制リンゴ園。「つがる」、「黒千寿」、「ふじ」など、大自然のなかで育ったリンゴは、とても甘くて美味だ。
町では毎年リンゴの木のオーナーを募集していて、収穫期には収穫祭が開催される。
毎年5月ごろに申し込み受け付けをしていて、川崎町外の人でも申し込めるので興味のある人は川崎町のHPをチェック!
 

 

●ソニーα1+20mm リモートシャッター
 
「今回の機材」
カメラボディ:SONY α1
レンズ:TAMRON 20mm F/2.8 Di III OSD M1:2
撮影モード:マニュアル
シャッタースピード:1/125秒
絞り:F8
ISO:1600
※ストロボ同調
 
ワイヤレスリモートコントロールのレリーズを使用
 
どこに動物が現れてもいいようにレンズは広めの20mmをチョイス。絞りもF8まで絞れば、計算上の被写界深度では1mから80mまでピントは来る(ストロボの光がとても届かないから意味はないのだが)。あとはワイヤレスのレリーズでポチポチとシャッターを切るだけというシチュエーション。
 
筑豊エリアの鉄道のいま、むかし
 

●田川線 油須原 1973年12月25日
 
田川・直方・飯塚エリアはかつての筑豊炭鉱のど真ん中。以前は網の目のように鉄道が走り、石炭を満載した貨物列車がひっきりなしに走っていた。
 
田川後藤寺はまだ鉄道が残っているだけましだが、あの1970年代の熱気を見たオイラにはやや寂しい感じがした。それでも、ディーゼルカーに乗れば鉄道の旅は心が躍る。
 

●田川後藤寺駅
 
田川線には犀川(さいがわ)という駅がある。かつてその近所でSLを撮影したときに駅舎も写していた。瓦屋根の木造の駅舎。脇役には電話ボックスと赤くて丸い郵便ポスト。
 

●かつての犀川駅
 
その駅舎は今、なんとこんな姿に大変身しているらしい!!
 

Randwick - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4432490による
 
クルマの相談事なら何でもござれ
 
オイラが九州で動物探しをするときにいつもおもしろがってつき合ってくれる荒木孝徳君のガレージを紹介したい。
 

●TAモータースポーツ
 
彼はFJ1600のチャンピオンになって英国のジム・ラッセル・レーシングスクールに学び、ルノーやフォードやトヨタといったさまざまなフォーミュラマシンでレースをしていたレーサーだ。
 
荒木君が代表を務めるTAモータースポーツという会社は、新車や中古車の販売から、修理、車検、チューニングからレース参戦への手引きまでありとあらゆるクルマに関する業務を請け負っている。
 
ショップはクルマ好きが集える気持ちのいいサロン風の空間もあり、何かクルマでの相談事があれば連絡をしてみるといいだろう。
 
TAモータースポーツ
代表:荒木孝徳
福岡県田川市夏吉810
TEL:0947-46-9393
 

「オススメのSUV……トヨタ ヤリス クロス」
■ハイブリッド Z 主要諸元
(CVT/FF)
全長×全幅×全高:4180mm×1765mm×1590mm
ホイールベース:2560mm
最低地上高:170mm
車両重量:1190kg
最小回転半径:5.3m
エンジン種類:直3DOHC
エンジン総排気量:1490cc
エンジン最高出力:67kW(91ps)/5500rpm
エンジン最大トルク:120Nm(12.2kgm)/3800~4800rpm
モーター種類:交流同期電動機
モーター最高出力:59kW(80ps)
モーター最大トルク:141Nm(14.4kgm)
バッテリー種類:リチウムイオン電池
燃料/タンク容量:レギュラー/36L
WLTCモード燃費:27.8km/L
価格:258万4000円
 
 
“いいクルマ”という言葉がピッタリ!
 

ヤリス クロスはアウトドアでのいろいろな場面で持て余さない程よいサイズで、扱いやすい。
 
ハイブリッドカーなので燃費はいいのは既定路線だが、モータートルクのアシストが強く、加速が気持ちいいスポーティさもある。
 
ACC(アダプティブクルーズコントロール)で高速道路を走行中に前方が空いたときなども、このモータートルクの恩恵でもどかしさを感じることなく交通の流れに戻してくれる。じつに快適だ。
 
シート調整はやや不思議なレバー形状で最初は戸惑うが、ランバーサポートがしっかりしていて長距離を走ると心地よさが腰に浸透してくる。
 

リヤシートを倒すとほぼフラットな空間ができるので、車中泊なども快適だろう。ラゲッジルームのデッキボードが縦方向に2分割になっているので、荷物の収納アレンジが増え便利である。AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントもアウトドアアクティビティでは最高の装備だ。
 
最低地上高が高いために舗装されていない林道なども苦にならない。また、夜間や狭いところでのUターンは、バックカメラの解像度がすばらしく高いので安心感がある。
 
EV走行もでき静粛性も高いが、高速道路での100km/h巡航時の風切り音はやや大きいような気がする。
 
それ以外はネガが少ないとても便利な、いわゆる“いいクルマ”という言葉がピッタリのヤリス クロスである。
 
〈文と写真〉
三好秀昌 Hideaki Miyoshi
●東京都生まれ、日本大学芸術学部写真学科卒業。八重洲出版のカメラマンだったが、ラリーで頭角を現し、そのうち試乗記なども執筆することに。1995年、96年にはサファリラリー グループNで2年連続優勝。そのほか、国内外で数多くのラリーに参戦。写真家としては、ケニアでの豹の撮影など、動物をおもな題材としている

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