2014年に発売を開始した初代レヴォーグが、20年10月15日に新型にバトンタッチする。そのフルモデルチェンジを前に、2代目のプロトタイプに試乗する機会を得た。すべてを一新した新型は、想像以上に走りが大幅進化していた。(Motor Magazine 2020年11月号より)
搭載エンジンを1.8L直噴ターボに一本化
レヴォーグの初のフルモデルチェンジに際して、スバルは並々ならぬ力を注いできた。開発陣は、これこそスバルのフラッグシップという思いを込めたのだそうだ。アピールしたいポイントが山ほどあるということだろう。
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プロトタイプ試乗会は今回が2回目となり、シャシ性能の進化、アイサイトXを体験した1回目に続いて「動的体感編」というタイトルのもと、ミニサーキットの袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された。実際、2代目となる新型レヴォーグはボディもシャシもパワートレーンも一新されている。まさにフルモデルチェンジだ。
まずボディは、現行インプレッサで初採用されたSGP(スバル グローバル プラットフォーム)を基礎とする。しかも、外板を構造部材としないインナーフレーム構造の初採用、従来の4倍の長さの構造用接着剤の塗布などによって、ねじり剛性を44%も向上させたという。サスペンションは基本構成こそ変わらないながら、ストロークを前25%、後10%拡大。駆動方式は当然フルタイムAWD。その制御も改良されている。
従来1.6Lと2Lを用意していたエンジンは、1.8Lに一本化。「CB18」という型式名が与えられた直噴ターボユニットは、ボアピッチを詰めて全長を40mm短縮し、オフセットクランクの採用などによりフリクションも大幅に低減している。
目玉は過給エンジンのメリットを活かしたリーン燃焼技術の採用である。これにより熱効率は40%の大台に乗ったとのこと。最高出力は177ps、最大トルクは300Nmで、8割のパーツを新設計したというリニアトロニック=CVTを組み合わせる。
高剛性ボディを手に入れてSGPのポテンシャルが開花
よくできたクルマは数も走ればわかる。新型レヴォーグの走りは、まさにそんな仕上がりである。発進は極めてスムーズで、余計なフリクションの類をまったく感じさせない。ボディは剛性感に富み、サスペンションは動きがしなやか。わざと縁石に乗せても姿勢が乱れることはなく、高い安心感のもとに走ることができる。
実はSGP第1弾のインプレッサは、そこまでのレベルではなかったというのが率直なところである。高剛性ボディを得て、ようやくそのポテンシャルが開花した、そんなところだろう。初採用の2ピニオン式EPSにより操舵感も上々。旋回姿勢も落ち着いていて、スキール音が鳴るような領域でも狙ったラインを正確にトレースできる。
今回は比較用に従来型レヴォーグも試すことができたのだが、この辺りの差は圧倒的と表現したいレベルだった。エンジンは従来型1.6Lも活発で悪くないのだが、新型はやはりトルクの出方も回転上昇もすべてがスムーズで、非常にドライバビリティが良い。これにはCVTの改良も相当効いていそうだ。
なお、今回は2モデルを試している。まず、STIスポーツは、その名のとおりSTIとの共同開発により、電子制御ダンパーを初搭載、さらにパワーユニット、ステアリング、AWD制御、エアコン、アイサイトの設定を4モード+独自設定に変更できるドライブモードセレクトを採用したモデルで、モードごとのキャラクターの変化の大きさが印象的だった。とは言え、S+モードでも決してハードなわけではなく、あくまでしなやかなスポーツ性である。
そしてGT-Hは固定レートのダンパーを使うが、こちらはかなりソフトに振っている。正直、ドライのサーキットではもう少し締めたい感もあるが、土台のレベルが高いので、そのあたりは好みの領域だと言ってもいいだろう。
メーカー側のアピールしたいという強い気持ちが、乗ると本当によくわかった。我々としても、みなさんにお伝えしたい話がまだ山ほどあるのが新型レヴォーグの走りである。次の機会はきっと公道で、ということになるだろうが、そのパフォーマンスにも相当期待していいはずだ。(文:島下泰久)
■スバル レヴォーグSTIスポーツ プロトタイプ主要諸元
●全長×全幅×全高=4755×1795×1500mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1580kg
●エンジン= 対4DOHC直噴ターボ
●総排気量=1795cc
●最高出力=177ps/5200-5600rpm
●最大トルク=300Nm/1600-3600rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速CVT(リニアトロニック)
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