2004年8月にデビューした現行ハイエースはプロユースの1BOX車として不動の人気を誇っている。
一方、ハイエースのライバルといえば、2012年6月にハイエースを研究して新型にフルモデルチェンジした現行5代目NV350キャラバン。
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2019年の新車販売台数を見ると、ハイエースバン(レジアスエース含む)は6万8027台、NV350キャラバンは2万551台と4万7476台差で、なんとNV350キャラバンの約3.3倍もハイエースが売れている。
デビューから16年が経つハイエース、方やNV350キャラバンは8年あまり。
研究しつくして後出ししたNV350キャラバンとハイエースの差は、なぜここまで差が開いたのか? NV350キャラバンがハイエースに勝てない理由をモータージャーナリストの野里卓也氏が解説する。
文/野里卓也
写真/トヨタ 日産 ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ハイエースとNV350キャラバンの違いとは?
ハイエースとNV350キャラバンのボディ形状の違いは?
NV350キャラバンが「後出し」で、先行するハイエースをしっかり研究して発売したことで、ハイエースの存在も脅かされるかと思いきや、発売から8年以上経過した現在でもそんな話はとんと聞かない……。
2004年8月に登場した200系と呼ばれるモデル 。写真はハイエースバンDX“GLパッケージ”(2WD、2000ガソリン、6AT、5ドア、標準ルーフ
2012年6月にデビューしたNV350キャラバン。2017年7月にマイナーチェンジを実施。インテリジェント エマージェンシーブレーキをはじめとした安全装備を充実させた。写真は NV350キャラバン・バンプレミアムGX(2WD・ガソリン)、ロングボディ、標準幅、標準ルーフ
まずは、ハイエースとNV350キャラバンのボディ形状を見ていこう。
ハイエース、NV350キャラバン同様にビジネスユースとして使用されることが多いため、メイン車種は“4ナンバー枠”の全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下となっている。
ハイエースの全長はロング(4ナンバー4695mm、1ナンバー4840mm)と5380mmのスーパーロングの3種類。全幅は1695mmの標準と1880mmのワイドの2種類となる。
全高は標準ルーフが1980mm(ジャストロー1985mm)、ミドルルーフが2105mm、そしてがハイルーフ(ロングボディは2240mm、ジャストロー2245mm)、スーパーロングの2285mmとなっている。
一方のNV350キャラバンは、全長は4695mmの4ナンバーのロング、全長5080mm、5230mmの1ナンバーになるスーパーロングの3種類。全幅は標準の1695mmとワイドの1880mmの2タイプ。
そして全高は標準ルーフの1990mm、ハイルーフの2285mmの2種類とハイエースと比べるとシンプルな構成だ。
これらのボディタイプが組み合わされているわけだが、注目のポイントはハイエースにはスーパーロングにはワイド幅しか設定されていないのに対して、NV350キャラバンはスーパーロングにも標準幅のモデルが用意されていることだ。
標準ボディのボディサイズはほぼ同サイズとなる 。荷室長はハイエースより50mm長い
新車販売台数はNV350キャラバンはハイエースの約3分の1
続いて、人気を測る指標である新車販売台数を見ていこう。 2018年はハイエースバン(レジアスエース含む)は5万7893台と、NV350キャラバンの2万3713台に3万4180台の差をつけている。
2019年はハイエースバン(レジアスエース含む)は6万8027台、NV350キャラバンは2万551台と4万7476台差で、もはやハイエースが一人勝ちの状態になってきた。
両車ともこれまでにも小変更や一部改良を続け、先進装備のセーフティーセンスや、エマージェンシーブレーキなどを採用するなどブラッシュアップが図られているのだが、ここまで差を付けられるとは……。
しかし、ここで強く言っておきたい。『NV350キャラバンはそんなに魅力がないワケではない』と!
実際にNV350キャラバンのオーナーに話を聞くと後席の使い勝手や、ディーゼルターボの力強い走りなど魅力も数多いのだ。NV350キャラバンの優位点をいくつか挙げてみよう
■リアシートが5:5で分割して倒れる
後席分割可倒式シートは1BOXタイプの商用車ではNV350キャラバンのみ(軽商用車除く)。
メリットは数多くあり、長物を積載してもシートを片側だけ倒すことで、後席の居住性が確保できるほか、シートを片側だけ倒して車内で靴を脱いだり、履いたりするスペースにも使える。
NV350キャラバンの広大なインテリアスペース。5:5分割可倒式シートはハイエースにはない装備
■ディーゼルターボは低速からグイグイと力強い走りが堪能できる
NV350キャラバンのディーゼル車はトルクフルでぐいぐい低速から力強い走りが堪能できる
ハイエースバンは136ps/18.6kgmを発生する2L、直4ガソリンエンジン、160ps/24.8kgmの2.7L、直4ガソリンエンジン、そして151ps/30.6kgmを発生する2.8L、直4ディーゼルターボの3タイプ。
組み合わされるトランスミッションは6速ATで、2Lガソリンエンジンには5速MTが用意されている。
NV350キャラバンは、130ps/18.1kgmを発生する2L、直4ガソリンエンジン、最高出力147ps/21.7kgmを発生する2.5L、直4ガソリンエンジン。
そして129ps/36.3kgmを発生する2.5L直列4気筒ディーゼルエンジンの3種類。組み合わされるトランスミッションは5速ATを中心に、2Lガソリンそして2.5Lディーゼルに5速MTが用意されている。
NV350キャラバンはディーゼル車にも5速MTが用意されており、積載量が多いクルマには最高出力よりトルクの方が重視されるが、人気のディーゼル車では、ハイエースよりもNV350キャラバンのほうがトルクが5.4kgmも勝っている点は大きなポイント。
■荷室はハイエースよりも広い
さすがにハイエースを研究しつくしただけあって、NV350キャラバンの荷室長は3050mm(バン プレミアムGX)と、ハイエースは3000mm(標準ボディ・スーパーGL)より50mm長い。
荷室長はハイエースより50mm長いクラスNO.1の3050mm
荷室高、荷室幅においてもハイエースを上回る
■新車購入時にハイエースよりも安い
「ハイエースと購入比較した際に、安いプライスを提示されることも多いので、そうしたユーザーはNV350キャラバンを選ぶオーナーも少なくない」(ハイエース専門店スタッフ・談)といったことが挙げられる。
上記はNV350キャラバンのオーナーに取材をして購入に至った理由や普段の使い勝手で気に入っているポイントを挙げてもらった。
購入価格についてはハイエースの専門店で取材したスタッフから聞き取りを行った。
というワケでライバルのハイエースに比べて魅力が全く無いわけではなく、細かい所で確固たる差があることで、オーナーも満足のいくNV350キャラバンライフを過ごせているのだ。
ハイエースはなぜこれほど人気なのか?
ハイエースはデビューから今年で16年目、初代は半世紀前に誕生しており、トヨタのなかでも50年以上の歴史を持つモデルだと、クラウンとランドクルーザー、それにトヨエースがあるのみ。それほど息の長いモデルでもある。
ちなみにモデル末期だから月間販売台数も伸び悩んでいるかと思いきや、ハイエースバンは1ヵ月平均約5600台(2019年)も販売しているのだ! そんなハイエースの強みを挙げると……。
■ブランド力がある
老舗のモデル=16年継続して販売されてきたモデルとして安心感がある。
■信頼性が高い
ビジネスシーンで使われるだけに故障の頻度は少なければ少ないほど優秀。「壊れにくく、安心して使える」(ハイエース専門店スタッフ・談)
■カスタムパーツが豊富
内外装ともにカスタムパーツが豊富に出回っている。おかげで所有してからも自分でカスタマイズする楽しみがある。
■リセールが良い
現行ハイエースは新車購入時の下取りや中古車販売店などに販売する時、高値で買い取ってくれる。新車購入から3年経過したモデルでも約7~8割の価格で取引されている実績もある。
というわけで、NV350キャラバンに商品力がないわけではなく、ハイエースの方が購入時の安心感や信頼性、アフターパーツが豊富であること、そして手放す時も高価な買い取り価格が期待できるということで選ばれているのだ。
新型ハイエースはどうなった?
ハイエースもモデル末期であり、海外ではすでに新型ハイエースが先行して発売されているのはご承知のとおり。では日本のハイエースが今後どうなるのか、気になっている人も多いハズだ。
ハイエースの海外モデルをベースとしたグランエースが2019年11月に登場しているが、ハイエースの後継モデルではなく全く別のモデルであり、国内では現行モデルのまま、2021年頃まで継続販売される予定だ。
とはいっても、4ナンバーサイズ(乗用車の5ナンバーサイズと同じ規格)のハイエースバンは、商用車として絶大な支持を得ているので、このサイズのハイエースバンを廃止するとは考えにくいので、新型のメイン車種も4ナンバーサイズをキープするだろう。
海外仕様の新型ハイエース。写真はショートボディ標準ルーフ。ボディサイズは全長5265×全幅1950×全高1990mm。ちなみにロングボディハイルーフのボディサイズは全長5915×全幅1950×全高2280mm、ホイールベースは3860mm
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みんなのコメント
営業、サービスマンの躾一つとっても雲泥の差がある。
あとはリセールバリューがあまりに違うことも大きい。
ハイエースの販売台数のうち、車両保険(盗難保険)で購入されたものは、何割になるんだ?