コンパクトからSUVに乗り換える人が多い今、気を付けるべきは内輪差だ。大型ボディのため左折時など、想像以上に後輪が内側を通るというケースも多々。一体どれくらいの覚悟がいる!?
文:山本晋也/写真:ベストカーWeb編集部・Adobestock/アイキャッチ:mamoga@Adobestock
超迷惑な「あおりハンドル」も内輪差が原因!? SUV買ったら気を付けるべきコトって?
■デカくなればなるほど気を付けて!! 内輪差の正体って?
トラックやバスなどの大型車は乗用車に比べて圧倒的に内輪差が大きい。そのためハンドル操作も大きく異なるのだ(Haru Works@Adobestock)
「内輪差」なんて言葉は自動車学校(教習所)でクランク路を走ったときに聞いたことがあるけれど、すっかり忘れてしまった……なんてことはないだろうか。
あらためて簡単にいえば内輪差とは、曲がるときに前輪より後輪のほうが内側に軌跡を描くことだ。フロントタイヤは問題なく通過できたのに、リアタイヤが段差などにぶつかってしまうのは適切に内輪差を把握できていないことで起きる事象の代表だ。
そして内輪差はホイールベース(前輪と後輪の距離)が長いほどに大きくなりやすい。路線バスが狭い道で曲がろうとする際に、乗用車の感覚よりかなり遅いタイミングでハンドルを切り始めるように見えるのは、バスの内輪差が大きいためといえる。
そうしてバスやトラックが曲がっている様子を注意深く見ていると、フロントタイヤは曲がり角から1m程度の余裕があるように見えてもリアタイヤはけっこうギリギリで通過していることに驚くだろう。
もしハンドルを切りはじめるタイミングが早いと、リアタイヤが歩道の乗り上げてしまうことになり、ボディが歩行者に接触してしまうこともある。いわゆる巻き込み事故の多くは、内輪差の判断ミスから起きている。
■乗り換えたら注意を!! 感覚全然違うゾ
それほどに内輪差というのは安全運転においては意識していなければならないものだが、人間の脳の仕組みからして長く運転するほどに、理屈ではなく慣れで操作するようになりがちだ。とくに慣れた道や自宅駐車場などでの操作は無意識に近い感覚で運転している人が多いのではないだろうか。
自動車学校のクランク路では、そのコースごとの目印を利用してハンドル操作をすることで教習をクリアしたというケースもあるかもしれないが、リアルワールドにおいて慣れた道ではいつも同じタイミングでハンドル操作をしがちだ。
そのため乗用車を運転している一般ユーザーであっても、クルマを乗り換えた際には内輪差を強く意識するようにしたい。
■ヴィッツ→ハリアーで大激変!! SUVとミニバンはとにかく内輪差がデカい
流行のSUVへ乗り換える人が多い今、納車して運転間隔の違いに驚く人も多いのだ
ハッチバックから流行りのSUVに買い替えた場合を考えてみよう。たとえば、トヨタ ヴィッツから最新のハリアーへ乗り換えたとして、ヴィッツのホイールベースは2510mmなのに対してハリアーは2690mmと18cmも長くなっている。確認するまでもなく、内輪差は明らかに大きくなっている。
ヴィッツを運転していたときの感覚で、狭い道をハリアーで走ろうとすると、総じてハンドル操作のタイミングが遅くなってしまい、リアタイヤをぶつけてしまったり、最悪の場はリアドアを塀やガードレールにこすってしまったりすることになる。
こうした内輪差による問題は、コンパクトカーからSUVに乗り換えたときだけに起きる問題ではない。
一般論としてホイールベースを長くすることはキャビンを広げることにつながる。そのため3列シートの採用が必須のミニバンも全般的にホイールベースは長めの設計となっていることが多い。
■同じクルマなのに……モデルチェンジで内輪差も変わる!?
5代目アルトから現行アルトを比べるとホイールベースだけで10cmも拡大!! 同じクルマに乗り換えでも注意を!!
ホンダのコンパクトカー「フィット」とコンパクトミニバン「フリード」は車格として同等といえるが、ホイールベースを比べてみるとフィットは2530mmなのに対してフリードは2740mmとなっている。
これほどホイールベースが異なるのだからフィットの感覚で内輪差をとらえたままフリードを運転するのは、接触事故につながりかねないことは容易に想像がつくだろう。
ホイールベースを伸ばすことは直進安定性の向上にもつながる。そのため取り回しを重視するコンパクトカーのようなモデルであってもフルモデルチェンジのタイミングでホイールベースを伸ばすことは珍しくない。
たとえばベーシック軽自動車の代名詞といえるスズキ アルトの歴史を振り返ってみると、1998年にフルモデルチェンジした5代目モデルのホイールベースは2360mmだったが、2021年に登場した9代目モデルでは2460mmとなっている。
軽自動車の規格としては同じだが、ホイールベースは10cmも伸びているのだ。そのため長らく5代目アルトに乗っていたドライバーが、いよいよ最新モデルに乗り換えると、意外なほど内輪差が異なることに驚いてしまってもおかしくないほどの差といえる。
■あおりハンドルも内輪差が原因!? 注意すべきこと2つって?
交差点や駐車場に入るために左折する際、いったん右に操舵する「あおりハンドル」が社会的な問題として話題になることも多い。
あおりハンドルをしているドライバーの中には、乗り換えたクルマの内輪差を把握できないために「後輪をぶつけないため」に、安全運転の一環としてあおりハンドルをしているケースもあるだろう。
こうしたケース、本人は安全運転のために自然とあおりハンドルをしているわけだから改善が進みづらい。いっこうにあおりハンドルが減らないのには、モデルチェンジやトレンドによる新車のロングホイールベース化が影響しているのかもしれない。
いずれにもしてもクルマを乗り換えたときはホイールベースなどディメンションの違いからくる内輪差の変化は、ロジックとして理解しておくことが重要だ。
具体的な対策としては、今までよりもゆっくり曲がること、早めにハンドルを切り始めること。この2点を基本としつつ、運転に慣れるまでは助手席側のドアミラーを少し下目に向けておいて、リアタイヤの位置を常に認識するといいだろう。
そうして注意して運転していけば、タイヤの位置を無意識の車両感覚に取り込むことができる。そうやってクルマに慣れれば内輪差を気にせず安全運転ができるようになるはずだ。
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みんなのコメント
特にトヨタのアルファードやなんちゃってSUVは
ダンボール被ってる走ってる様なもんだから、
センターライン跨いで走ってるクルマが大半