開発競争 中国市場のペースに対応できるか
新型車の開発スピードを上げるにはどうしたらいいのか。これは、自動車メーカーが何十年にもわたり、ライバルの先を行き、新しいトレンドに乗り遅れないために取り組んできた問題である。しかし、EV用バッテリー技術の進化がますます速くなり、特に中国では従来の市場にはない開発ペースを強いられるため、適切な製品を提供する必要性がより一層高まっている。
【画像】もう侮れない【中国ブランドの新型EV5車種を写真で見る】 全74枚
特に、EVとソフトウェアが重視される今の時代性を考えると、間違いを犯したときのペナルティはかつてないほど厳しい。品質コンサルタント会社のトリゴ(Trigo)で事業再生サービスのグローバル・ディレクターを務めるニール・エンドリー氏は、次のように述べている。
「自動車の製品ライフサイクルは非常に長く、新車を購入しても、その技術はかなり古くなっている可能性があります。テレビを買って家に置いたら、最初に目にした広告がそのテレビよりも新しいテレビでがっかりするようなものです。技術進歩のスピードが速いんです」
特に、中国人の自動車買い替えスピードは従来の自動車メーカーを悩ませている。日産自動車の内田誠社長は最近、中国ブランドのペースに言及し、この懸念を表明した。「彼らは市場投入スピードが速く、我々も将来的に学ぶ必要がある」と述べたが、それにはまったく異なる企業文化が必要であることを認めている。「日本企業として、そのようなことができるだろうか?」と。
中国特有の開発スピードを経験した経営者やエンジニアは、示唆に富んでいると同時に警戒心も持っていると言う。中国でグローバルブランドを率いた経験を持つある幹部は、匿名を条件にこう語った。「ペースが速いので、物事を非常に迅速に進めることができ、企業のプロセスで行き詰まることはありません。欧米のエンジニアが24か月かかると言ったのに対し、中国のエンジニアは6か月でできると信じていました」
1つのブランドが競合他社に追いつくためには、大きな変化が必要だという。彼らは複数の要素を順次ではなく、並行して進めることで、スピードアップを図ったのである。「その結果、彼らはより機敏に対応できるようになったのです。それは、部分的にはエネルギーと意欲によるものであり、うまくいかないこともあります」
各社で設計と製造を加速させるために用いられているのがシミュレーションであり、特に衝突試験、空気力学、燃費の分野で活用が進んでいる。中国企業の1つで、IT企業のバイドゥ(Baidu)と自動車大手のジーリー(Geely)が共同で設立したジドゥ(Jidu)は、2023年に発表予定の新しい自動運転車のソフトウェア開発を、ハードウェア開発から切り離そうとしている。バーチャル空間でシミュレーションを行い、その結果を現実のシャシーと組み合わせることで、「研究開発の効率化」を実現するのだ。
IT企業と提携も 既存メーカーの一手
ルノー・グループのソフトウェア・ファクトリー責任者であるティエリー・カンマル氏は、半導体サプライヤーであるクアルコムとの提携を発表した際に、同社と協力することで車載ソフトウェアの開発期間を1年短縮できるだけでなく、新しいサービスをクラウド上で構築し、現在約3年かかるところを3~6か月で提供できるだろうと述べた。
これを実現するカギとなるのが新しい半導体で、車内のさまざまな機能を制御する強力なコンピューターだ。これが搭載されれば、中古車でも最新のソフトウェアや機能が実装され、陳腐化に歯止めをかけることができる、とルノーなどは述べている。理論的には、だが。クアルコムのような半導体サプライヤーは、毎年アップグレードを要求されるスマートフォンの回転の速さに慣れており、これに対して自動車産業では10年以上の耐用年数が必要とされるのである。
ハードウェア開発を加速させることはもっと難しいが、どんな開発プロセスでも、常に弛みはあるものである。フォードのジム・ファーリーCEOは、昨年10月のアナリスト向け電話会議で、開発期間について同社の新型ピックアップトラックであるマーベリックを例に挙げ、次のように話している。
「マーベリックの時のようにチームとしてまとまれば、わずか2年で完成するということもあり得ます。マーベリックの開発期間は20か月短縮できましたが、そのためにはデザインスタジオで半年も手をこまねくことがないよう、リーダーシップチームが必要でした」
しかし、F-150ライトニングやマスタング・マッハEのようなEVの発売にはリードタイムが長い方が望ましいとし、「製品を作る速さがすべてではありません。産業システムにおいて、柔軟で俊敏な対応ができるかどうかか重要です」と述べた。そして、そのためには、「産業システムが受注数に対応できるように」早めに予約を取ることがポイントだという。
フォルクスワーゲンは、バッテリーの化学的性質に関係なく同じ形状を保てる、いわゆる「ユニファイド・セル」を採用することでバッテリー開発速度に対応しようとしている。この角型セルは現行システムよりもパッケージングに優れており、2023年にアルテミス・プロジェクトでデビューする予定だと、同社は昨年発表している。
柔軟性と機動力が武器 躍進する新興企業
新興企業は、すべての部品を個々のサプライヤーから調達するのではなく、車両をモジュールで組み立てるという新しいアプローチを試みている。「従来の自動車では、3500ものサプライヤーが関連していることがあります。一方、ある新興企業は77、別の新興企業は23のサプライヤーしか抱えていません」
このようなモジュールベースの部品調達は、電動配送車のようなシンプルな車両に適している。この場合、市場への投入スピードやコスト、最新技術は、おそらく車両自体の完成度よりも重要な要素であろう。リスクはサプライヤーに依存するが、実績のあるサプライヤーを選べば、そのリスクは軽減される。
スウェーデンの新興企業であるボルタ(Volta)のEVプロジェクトは、驚くほど迅速に進んだ。デザインを手掛けた英国のアストハイマー・デザイン社のカーステン・アストハイマー氏は、「このプロジェクトは非常に緊迫したものでした。最初のスケッチから1年で最初のプロトタイプを完成させました」と述べている。
従来の自動車会社とは、その差が顕著だった。「OEMのプロセスは、非常に官僚的で規則的です。新興企業では、プロジェクトの内容を見て、それに合った工程を作り、より速く進めることができるのです」
しかし、工程を省略しすぎると、品質が落ちるというリスクもある。家電製品の開発スピードは、安全性と耐久性を重視しなければならない自動車業界では再現不可能だ。工程を短くすることで得られる利益は、高価なリコールで消えてしまう可能性がある。トリゴのエンドレイ氏はこう言っている。「購入者に自動車をテストさせるようなことは、したくないでしょう」
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みんなのコメント
する企業が多いんだよな。赤い国に限った話でもないが。
てか、赤い国は
「売った後は知りません」か・・・