2017年11月29日、スバルはロサンゼルスでアメリカ市場専用に開発したニューブランドの新型車「アセント」を世界初公開した。
アセントは、アメリカ市場での更なる成長を目指し、ファミリーユーザーに向けて新規開発した3列シートのミッドサイズSUVだ。アメリカではスバルに対し、より大きなファミリーユースのクルマが求められていた背景がある。
2005年から2014年には、スバルは北米専用モデルとして「トライベッカ」を販売していた。2列シート、3列シートの2仕様があり、3.0Lの水平対向6気筒のEZ30型エンジンを、後期モデルではより出力を高めた3.6LのEZ36型を搭載し、フルタイムAWDを採用していた。
このトライベッカは、ミニバン的な要素とクロスオーバーSUVの両立を目指して開発された。デザインはアンドレアス・ザパティナス氏が担当したが、アメリカ市場では不評で、大幅に手直ししたというデザイン的な混乱と、自然吸気6気筒エンジンの低速トルク不足という評価により苦戦し、2014年にフェードアウトしている。
■ミッドサイズ&Dセグメントのアセント
新型アセントはこうしたトライベッカの失敗を学び、新規開発したモデルだ。サイズは、全長4998mm、全幅1930mm、全高1819mm、ホイールベース2890mmという、アメリカ市場でのミッドサイズSUVで、ヨーロッパではDセグメントに位置する。
狙いはマツダCX-8、日産パスファインダー、さらにアメリカ地元メーカーの各SUVなど競合車が多い激戦区に割って入り、スバルのポジションを獲得することにある。また、このセグメントにはプレミアムモデルとしてレクサスGX、インフィニティQ60、レンジローバー・ヴェラール、BMW X5、メルセデス・ベンツGLEなどもあり、スバルのポジションをどこに置くのかもポイントになる。
アセントはスバル・グローバル・プラットフォームを採用し、インディアナ工場で生産される。デザインは「DYNAMIC ×SOLID」を採用し、存在感を強調。スバル最大となるボディサイズを活かし、7名/8名乗車いずれでもゆとりのある室内空間を実現。2列目、3列目シートへの乗降性に配慮した大きなリヤドアの開度を確保し、乗降用のステップやグリップを設定するなど機能性を重視し、555L/2056Lという大きなラゲッジスペールも実現するなどユーティリティを充実させている。
2列目シートは、スバル初のキャプテンシートも設定。8人乗り仕様はベンチシートとなっている。3列目シートもシートリクライニング機構の採用などにより、大人も快適に座れる本格的なシートを開発した。
インテリアの装備は、スマートフォンと連携するインフォテインメントシステムに加え、キャビンビューミラー、パノラミックサンルーフ、サンシェード、前席左右・後席独立温度調整機能付きフルオートエアコン、ベンチレーションシート、豊富なUSB電源などを装備。
搭載されるエンジンは新開発のFA24型の2.4L直噴ターボだ。アメリカ仕様のモデルはこれまでEJ25型、EJ25ターボ型があったが、新世代プラットフォームに合わせ新開発のエンジンを採用している。94mm×86mmのボア・ストロークのFA24型は264ps/5600rpm、376Nm/2000-4800rpmを発生し、もちろんアメリカのレギュラーガソリンに合わせた仕様となっている。そして低中速トルクを重視したターボ・エンジンで、競合車の3.5L 6気筒エンジンと同等以上の加速性能を狙っている。
このFA24型はFA/FB型エンジンシリーズの中で、FA系の86mmストロークとFB25型の94mmボアを組み合わせたモジュラー・コンセプトから生まれているエンジンだ。
トランスミッションはリニアトロニックCVTで、オートステップ変速制御やパドルシフトを採用しマニュアル変速での走りも楽しめるようになっている。駆動システムはAWDのみで、前後可変駆動配分と各輪のトルクベクタリングにより、意のままのハンドリングを実現している。
また、駆動モードはXモードを採用するとともに、最低地上高を220mmと競合SUVを上回る高さとし、悪路での走破性能も本格的なSUVに匹敵する性能を達成している。
さらにスバルとして初の5000ポンド(2.3トン)のトーイング(牽引)性能を備えており、大きなキャンピングカーやボートなどを牽引する機会が多いアメリカ市場に適合させている。
アセントは全モデルにアイサイト、アイサイトアシストモニターを標準装備。後退時自動ブレーキなども装備している。また運転席/助手席エアバッグ、運転席ニーエアバッグ、サイドエアバッグ/サイドカーテンエアバッグの7エアバッグを全車標準装している。
この新型アセントは、2018年夏に2019年モデルとしてアメリカで発売される予定だが、その後はヨーロッパにも出荷されると想定される。残念ながら日本市場は想定されていない。
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