現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「EVで出遅れ」は大きな誤解?? 新型bZ4Xで激変するトヨタ電気自動車戦略の本気度

ここから本文です

「EVで出遅れ」は大きな誤解?? 新型bZ4Xで激変するトヨタ電気自動車戦略の本気度

掲載 43
「EVで出遅れ」は大きな誤解?? 新型bZ4Xで激変するトヨタ電気自動車戦略の本気度

 トヨタは電気自動車の開発で大幅に出遅れていると思われているようだ。実際、過激な環境団体として知られるグリーンピースから名指しで非難されることも。いっぽう、トヨタってすべてのメーカーが苦しんでいる欧州の厳しい燃費規制CAFEを余裕でクリア出来るほど、1台あたりの二酸化炭素排出量という点で優れてます。環境貢献度からすれば優良。

 けれど、環境派からすれば「電気自動車を作っていないメーカーはダメ!」なのだった。このあたり「あんた嫌いだ!」と言われるのと同じく理屈じゃないんだと思う。トヨタも充分認識しており、2022年中ごろから本腰を入れた電気自動車ラインアップの構築を始める。その第1弾が今回紹介するbZ4Xなのだった。以下、じっくり紹介したい。

もはや911よりも魅力的なのか!? ポルシェ初のEV、タイカン絶好調のワケとは?

文/国沢光宏、写真/佐藤正勝、中里慎一郎、TOYOTA

[gallink]

トヨタ「顧客第一主義」がEV戦略の鬼門か

 最初にトヨタの根幹となっているのは「顧客第一主義」だということを認識すると分かりやすくなると思う。顧客が満足する商品を造る、ということ。そんな視点から電気自動車をみると、エンジン車より劣っている点が多数存在した。

 例えば電池寿命。2010年デビューの日産リーフを買ったユーザーは、ほぼ例外なく電池の容量低下に悩まされた。買ってから6年もすると、満充電しても雨の日に除湿暖房しながら走ったら100km程度の航続距離になってしまう。

 結果、リセールバリューが激しく落ち込み、6年後に手放そうとしたら10万円という「次も電気自動車に乗ろう!」という気持ちを根底から打ち砕く査定しか出ない状況に。トヨタの顧客第一主義だと容認出来ないこと。

 車両価格の高さや航続距離の短さも顧客のことを考えると厳しかった。燃費の良いハイブリッド車であればガソリン満タンすると120kmくらい走っても燃料計は『F』のまんま。なのに400万円出して買った電気自動車だと120kmで電気残量警告灯点く。普通のガソリン車に乗り慣れた顧客からすれば納得出来るレベルといえない。ということでbZ4Xである。

bZ4Xでみせたトヨタの本気度

bZ4Xは、トヨタが新たに展開するEVシリーズ「TOYOTA bZ」の第1弾モデル

 いまだ限られた情報しか出ていないものの、電池寿命は「10年または24万km走った時点で90%」を目標にしているという。満充電航続距離をカタログデータながら500kmとしている。実力値で400kmとするなら、10年/24万km使って航続距離360kmということ。これだけ走ってくれると困らない。

 価格も期待出来ると考えている。bZ4Xと同じ車格の日産アリアは66kWhの電池を積むモデルを539万円で発売するという。トヨタ、容量71.4kWhの電池を積んでアリアより安い価格を目指すようだ。最近のトヨタの価格戦略を見ていると、私達の予想よりさらに安い。そして2022年度は国と合わせた補助金が100万円を超える地域も出てくる。

 車両価格で400万円を切ってくれば、bZ4Xと同じ車格&同等の動力性能を持つハリアーのハイブリッド(Gグレードで400万円)と同じような価格になる。しかも電力のエネルギーコストはガソリンよりずっと安価。ハリアーハイブリッドだと1万km走るのに10万円。bZ4Xであれば夜間電力2万円。普通の電力でも5万円だ。

 夜間電力で5万km走ると、それだけで40万円浮く計算。実用航続距離も400kmあったら充分使えるかと。私は同じくらいの航続距離を持つリーフe+に乗っているのだけれど、航続距離で不便を感じたことなし! このくらいの航続距離を持たせると、外出先で充電する必要だって低くなります。帰宅しプラグを挿すと朝に満充電されており便利。

トヨタEV戦略は国内メーカーに革命を起こすのか

トヨタとスバルが共同で開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を採用し、2022年年央から、日本、北米、中国、欧州など各地域に導入予定

 そしてbZ4Xから始まるトヨタの電気自動車商品群は最初から世界戦略まで考えている。プラットフォームを見ると、カムリやRAV4などが使っている『TNGA GA-K』をベースにした『e-TNGA』。GA-Kは世界中の工場で生産されているため、時機到来となったらどこでも生産出来るのだった(当初は中国と日本で生産)。

 さらに驚くのが電池戦略。世界の流れを見ると電池は現地調達が基本になりそう。アメリカで売るクルマはアメリカ製。中国なら中国製、といった具合。e-TNGA商品群に搭載する電池の計画によれば、世界70箇所で造るという。「調達」(他社から購入)じゃなく独自生産です。独自生産するなら調達価格の相場変動リスクを減らせる。

 考えて頂きたい。トヨタは2030年に電気自動車を200万台生産すると公表した。トヨタ以外のメーカーも2030年に大量の電気自動車を生産するだろう。となれば電池の供給量がボトルネックになってくること間違いなし。半導体不足と同じリスクだ。供給量不足になると電池価格だって高騰すること必至。それをトヨタは嫌ったワケ。

 しかもリチウムに代表される電池生産に使う素材の確保から始めているから入念だ!  bZ4Xをみて単に「やっとトヨタも電気自動車を出しますね」と考えるだけでは、その裏側にあるトヨタのカーボンフリー戦略の規模感を見誤ると思う。bZ4Xを皮切りに次々と「顧客満足度の高い」電気自動車が出てくると思う。  

 今のところトヨタの電気自動車戦略と歩調を合わせているのは、bZ4Xを共同開発したスバル。そしてスズキもトヨタとチームを組んで主として新興国市場で電気自動車戦略を担う。ダイハツはトヨタとスズキのバックアップをしている。遠からずマツダも白旗を上げて仲間入りか。日産/三菱自動車とホンダの戦略が気になります。

[gallink]

こんな記事も読まれています

F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
F1 Topic:4連覇に王手をかけたフェルスタッペン。タイトル獲得条件をおさらい
AUTOSPORT web
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
世界的に数字の入った車名だらけ! 数え歌的に車名で1から10まで数えてみた
WEB CARTOP
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
【試乗】ボルボ XC90が大幅改良。「完全電動化への橋渡し」だけでは役不足だと感じる、新型の熟成度
Webモーターマガジン
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
[15秒でわかる]トライアンフ『タイガー・スポーツ660』…先進機能を多数搭載
レスポンス
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
約260万円! スバル新型「インプレッサ」発表に反響! 新色に「爆オシャブルー」採用したスバルの人気「5ドアハッチ」どんな人が買ってるの?「最新の納期」もまとめて紹介!
くるまのニュース
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
教習所での路上試験で安全運転義務違反は何点減点されるのか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
【MotoGP】経営悪化のKTM、レッドブルによる『救済』のウワサは否定。MotoGPへの影響懸念も「全ての参戦シリーズに残る」
motorsport.com 日本版
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
まだ多くの日本人が知らないEVの「走る以外」のメリット! 東京都なら実質約3万円で設置できる「VtoH」とは
THE EV TIMES
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
日本導入に期待! アウディのコンパクトクロスオーバー「A3オールストリート」に本国でPHEVを追加
Webモーターマガジン
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
山本舞香さんがラリージャパン2024でトークショーに出演。特注のレーシングスーツ姿を初披露
AUTOSPORT web
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
マツダのフラッグシップといえば『センティア』があった【懐かしのカーカタログ】
レスポンス
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
ついに首都高八重洲線10年間の通行止めに! 2025年4月上旬から。KK線ともお別れ。【道路のニュース】
くるくら
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
トヨタが「大逆転ワールドチャンピオン」に! 最後の最後でドラマがあった!? トヨタ会長「感動という共感が生まれる」 WRCで「マニュファクチャラーズ」獲得、ラリージャパンもトヨタ優勝
くるまのニュース
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
市川團十郎×佐藤琢磨、同い年のふたりが歌舞伎とレースに共通点見出す。白熱するトークの裏で11歳の新之助が大物ぶりを発揮!?
motorsport.com 日本版
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
くるまのニュース
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
ポルシェの超レアな限定車「911ダカール」がついに生産終了!最後の1台は斬新なカラーリングで驚愕
VAGUE
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バッグ・コンテナ・テーブルの3WAY! ロゴスの「LOGOS キャンプツールリュック(テーブル付き)」がクラファンにて先行販売を開始
バイクブロス
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
くるくら

みんなのコメント

43件
  • 火力発電を大半とする日本では、BEVも手放しで環境に良い車をは言い切れない。現状では、エネルギー効率のいいダイナミックフォースエンジンを積むHEVの方が、BEVよりよほど環境にやさしい。
  • 出遅れなのか、仕方無く付き合いと建前で形だけ作っといて置きにきたようなもんなのか…

    ムキになり躍らされてる他社信者やEV信者の滑稽さは、紛れもなく厳然たる事実で確定だがwww
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

368.01140.0万円

中古車を検索
アリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

368.01140.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村