この冬一番の寒さとなった2021年12月19日、東京都江東区にあるA PITオートバックス東雲では、第26回モーニングミーティングが開催された。今回のテーマはGT-Rで、当日はハコスカからR35型GT-Rまで50台以上が集結。
中でも、中古車の値上がりがニュースとして取り上げられるR34型スカイラインGT-Rオーナーに所有しているからこそ、味わえる喜びと苦労することを聞いてみた。
【車名当てクイズ】この名車、迷車、珍車、ご存じですか? 第50回
文、写真/萩原文博
[gallink]
R32型GT-Rからの乗り換えが多い
1989年に登場したR32型から始まった第2世代スカイラインGT-R。その最終モデルとなったのが、1999年~2002年まで販売されたR34型だ。現在、R34型スカイラインGT-Rの中古車は平均価格が約1640万円、中古車の価格帯は1290万~3500万円と高騰している。
これは販売店での店頭価格だが、オートオークションでも1000万円スタートとなっているという。最終モデルとなったVスペックIIニュルで高コンディションならば、さらなるプレミアム価格となるのは間違いない。
こうした状況の中、実際にR34型GT-Rを所有しているオーナーは所有しているからこそわかる喜びと苦労をどのように感じているのだろうか
渡邉さんのR34型スカイラインGT-R
まず、話を聞いたのはモーニングミーティングに一番乗りした渡邉 豊さん。1989年に購入したR32型スカイラインGT-Rに乗っていたが、生産終了となった翌年の2003年に478万円で中古車のR34型GT-Rを購入した。
本当はVスペックIIを狙っていたのだが、なかなか気に入ったクルマが見つからず、スタンダードモデルに落ち着いたとのこと。
R34型GT-Rを購入するきっかけは、様々なチューンを施したR32型GT-Rでマイナートラブルが頻発したこと。これからもっとお金が掛かるのであれば、いっそのこと乗り換えたほうが良いと思ったそうだ。
クルマは盗難対策としてガレージハウスで保管しているため、そういった面では苦労はない。しかし、トラブルが発生したときパーツがないことが気がかりな点だと話す。
いくらならば手放すかという問いには、自分の思っている金額と釣り合えばとのこと。売却したお金でポルシェ911GT3を手に入れたいと話してくれた。しかしその話を聞いていると、まだまだ手放す気はないと感じた。
オールペンされた高田さんのR34型スカイラインGT-R
元々ベイサイドブルーだったR34GT-Rを光が当たるとゴールドに光るパールカラーにオールペンしているのが高田功さんのクルマだ。
DR30型スカイラインRSに乗っていた高田さんは、1989年にR32型GT-Rが登場したときに、購入しようとしたが、お子さんが生まれたことで断念。GT-Rへの夢が諦めきれずに1999年にほぼ新車のR34型GT-Rの中古車を560万円で購入した。
チューニングショップのデモカーとして東京オートサロンに展示されたことがある由緒正しきクルマで、購入後はサーキット走行をメインとしたチューニングを敢行。現在でもその名残としてロールバーが残っている。
40歳を迎えて、2011年にサーキット仕様から公道も走行できるように、フルレストアを実施。その際にボディカラーもベイサイドブルーから現在のパールホワイトにオールペンしている。
搭載するRB26エンジンは、2.8Lへとボアアップされているが、最高出力はサーキット仕様当時の600psから550psへとディチューンされている。
あと10年乗れるようにとウェザーストリップをはじめ、ブッシュ類などゴム製のパーツをすべて交換している。これまで見たオーナーカーのR34GT-Rの中でも、様々なゴムがここまで弾力性があったのは初めてだ。
そんな高田さんも、ストックはしているものの、どんどんパーツの入手が難しくなっているのを懸念。パワーウィンドウのモーターなど電装系はいきなり壊れることが多いので、入手するのに苦労しそうだと話す。
多くのユーザーがパーツの供給不足が懸念材料と話す
新車から乗り続けられている髙﨑さんのR34型スカイラインGT-R
R34型GT-Rとしては珍しいシルバーのボディカラーのオーナーは髙﨑正興さん。髙﨑さんのGT-Rは2002年式のスタンダードモデル。生産終了のニュースを聞いて、それまで乗っていたステージアオーテックバージョン260RSから新車に乗り換えたという。
所有しているクルマはこのR34型GT-R1台だけで、見た目のピカピカさに反して走行距離は30万kmに達している。お気に入りのポイントは、シルバーのボディカラーに合わせて、同色に塗られたレイズ製のLE37Tというホイールを装着していること。
長距離乗っても疲れない荷物が積めるなどR34型GT-Rは全くネガティブな部分がない。だから毎日乗ることができる、日常使いのできるスポーツカーと話す。
ただ、どんどんと部品が手に入らなくなっていることは危惧しているという。ゴム類をはじめ、エアコン、パワーウィンドウ、ヘッドライトなどの電装系は無くなるという情報が流れた時にストックしているとのこと。
現在装着しているニスモのフロントバンパーは入手まで1年と言われていて、万が一の場合はオーナーのネットワークで貸してもらうことも考えているそうだ。いくらならば、手放すかという筆問に対しては、R34型GT-Rに変わるクルマがないので、いくら積まれても手放さないとのこと。
ネオクラシックとなったR34型GT-Rを維持していくためには、同じクルマを所有するオーナー同士のネットワークが重要なキーとなるようだ。
最高出力800psオーバーというちのっちさんのR34型スカイラインGT-R
こだわりポイントのエンジンは800psオーバーというR34型GT-Rに乗っているのが、ちのっちさん。2008年に425万円で手に入れたR34型GT-RVスペックに加えて、ステージアオーテックバージョン260RSも所有するというRB26型エンジン搭載車2台持ちといううらやましいカーライフを送っている。
元々フルチューンを施したS14型シルビアで富士スピードウェイを走行していた。仕事がどんどんと忙しくなり、これだけ仕事すれば買えるかもと思い、R34型GT-RVスペックを購入したという。
カーボンのボンネットは、元々HKS関西のデモカーに装着されていたパーツ。しかし、カーボンの模様がイマイチということで、手に入れることができたそうだ。
維持していく点での苦労はと聞くと、奥様と答えてくれた。一定の理解を示してくれているものの、やはりすべてを理解してもらえないというのが苦労のポイントだそうだ。
いくらならば、手放すかという質問に対しては、自分が手放そうと思った時に最も高い金額を提示してくれたところに売却するとのこと。R34型GT-Rのオーナーは買取価格にも非常に詳しい。
これまで紹介した4人は、長い間所有しているオーナーだったが、5人目の保科隆太郎さんは購入して3カ月というまだほやほやのオーナーだ。
苦労も吹き飛ぶ楽しさがあると話す保科さん
R34型GT-Rの購入動機は、R34型スカイラインに乗っていたこと。そして母親もクルマ好きだったことがきっかけ。さらに4人乗れるし、ゴルフバッグをトランクに積めるなど実用的だからとのこと。
本当はVスペックIIを探していたが、予算的なことに加えて中古車が流通していないので、1年半探して、見た目がVスペックII仕様のVスペックを購入。1999年式、走行距離8.5万kmのR34型GT-Rの中古車の価格はなんと1600万円!!
毎月の給料のほとんどがクルマと駐車場代に消えて行くのは苦労といえば苦労と言うが、4WD特有のコーナリングの安定性、エンジンのトルクやフィーリングは前に乗っていたR34型スカイラインとは段違いのパフォーマンス。これを味わうことでそんな苦労は吹き飛んでしまうという。
駐車場も半径2km以内の立体駐車場をくまなく探し、比較的安い価格で確保。これで盗難対策もバッチリと話してくれた。お気に入りのポイントは純正オプションのサイドの貼られたステッカーで、こんなにキレイに残っているクルマは見たことないとのこと。
前のオーナーが大切に乗ってくれて、メンテナンスをしっかりとしてくれたので、当時流通していた中古車の中では最もコンディションが良いかもと胸を張る。購入してわずか3カ月で1万5000kmも走行した保科さん。若い彼らがしっかりと経済を回してくれていることもわかった。
底冷えのする時間だったが、R34GT-Rオーナーの想いのこもった話によって、こちらの気持ちまでヒートアップした。
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みんなのコメント
愚問だな。