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新型マツダCX-60登場──日本仕様を徹底解説!

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新型マツダCX-60登場──日本仕様を徹底解説!

マツダが本気でつくったプレミアムSUVの全貌が明らかに!

国産SUV唯一の直列6気筒縦置きプラットフォーム

なぜマツダは“直列6気筒”にこだわるのか?

4月7日、マツダは、新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-60(マツダ シーエックス シックスティー)」の日本仕様を発表した(以下、CX-60)。日本での販売開始は今年初秋を予定する。

2列シートミッドサイズSUVのCX-60は、マツダの新世代ラージ商品群の第1弾だ。開発コンセプトは「ドライビングエンターテインメントSUV」。日常の一般道走行から高速道路を使った長距離ドライブまで、余裕をもって運転を愉しめるよう目指したという。

新型CX-60は、国産SUV唯一の直列6気筒縦置きプラットフォーム「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」を採用する。これにより新規開発の直列6気筒ガソリンエンジンやディーゼルエンジンをはじめ、マイルド・ハイブリッドや PHEV(プラグイン・ハイブリッド)といった電動化技術の導入を可能とした。さらにPHEVの大容量バッテリーを床下配置することで低重心化を実現し、すべてのパワーユニットで軽快な車両運動性能を提供するという。

サスペンションは、フロントにはダブルウィッシュボーンを採用。パワーユニットが縦置きになったことでサスペンションに使える空間が広がったため、アームを伸ばし、かつ前後のスパンを長く取った。

リアはフルマルチリンク。「ロードスター」の設計思想をベースとし、幅広いシーンで操る愉しさを提供する。ただしロードスターよりもシンプルな動きとし、ドライバーが直感で操れるような工夫をしたほか、助手席や後席の乗員もドライブを愉しめるようにしたというのがポイントだ。

ロードスターとおなじく、ダブルピニオンEPS(電動パワーステアリング)を搭載した。EPSモーター以降の大きな力を発揮する部位の剛性を高め、ハンドル角とフロントタイヤ角の関係をぶらさず一貫性を持たせ、タイヤからの力をよりダイレクトかつ、“すっきり”としたステアリングフィールを感じられるようになった。

さらにロードスターに初採用された「キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)」も注目だ。横Gが強めにかかるコーナリング時、リアの内輪側をわずかに制動することでロールを抑え、姿勢を安定させる。また、後輪左右の速度差から旋回状態をリアルタイムに検知し、これに応じて作動を調整し、適切な姿勢安定化の効果を発揮する。KPCによる重量増加は1gもない。

トルコンレス8速ATにも注目

エンジンは、2.5Lガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせた。モーターならではの、なめらかな加速フィールを特徴としたマツダ初のプラグイン・ハイブリッドシステム「e-SKYACTIV PHEV」や、直列6気筒ディーゼルエンジンに電動化技術M HYBRID BOOST (48V マイルドハイブリッド)を組み合わせた「e-SKYACTIV D」、そして直列6気筒ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」、軽快なパフォーマンスと優れた燃費性能を発揮する2.5Lガソリンエンジン「SKYACTIV-G 2.5」の4種類から選べる。

注目のe-SKYACTIV PHEVは、「CX-5」や「CX-8」などが搭載する2.5L直列4気筒ガソリン・エンジンをベースに吸排気チューニングを行い、これに大きなモーターと大きなバッテリー(電池容量17.8kwh)を組み合わせた。

組み合わされるトランスミッションは、新開発のトルコンレス8速AT。多段化によるなめらかで応答の良い変速とワイドレンジ化により、走りと環境性能を両立した。トルコンをクラッチに置き換えることでエンジンやモーターのトルクをダイレクトに伝え、MTのような駆動伝達とリズミカルな変速を実現した。

サウンドにもこだわった。モーター走行時は静粛性を保ちつつも、アクセルワークや車両の速度といったドライバーの運転操作に必要な音はきちんと聴こえるようチューニングされている。4気筒エンジンはアクセルを踏むと同時に吸気の音が鳴り、4気筒から発せられる基本的な音に近接した周波数の音を重ねえビート感のある音をつくり込んだという。

ディーゼルは、2.2Lから3.3Lへ排気量をアップし、リーン燃焼可能な運転領域を拡大。排気量アップにより現行に比べ高い出力を実現し、さらに余剰空気を燃焼改善に用い、俊敏な加速レスポンス、高回転・高出力時のNOxエミッション低減、熱効率向上を同時に実現した。くわえてシンプルなエンジン構造により、6気筒でありながら4気筒エンジン並みのエンジン重量によって、ハンドリング性能向上にも貢献する。また、排気量を上げたことで発生する余剰空気を使い切るために、燃焼室を2段設けた「2段エッグ燃焼室」を採用した。

走行モードシステム「Mi-Drive」は、5つのモードを用意。日常ユースでバランスの取れた走りを提供する「NORMAL」、よりダイナミックな走りを愉しむための「SPORT」、悪路走破性を高める「OFF-ROAD」、キャリア搭載・トレーラー牽引時の安定性を高める 「TOWING」、そしてPHEVモデル向けの「EV」だ。

豪華で快適なインテリア

室内は幅広のインストルメント・パネル、サイドルーバーからドアトリムへ連続する造形とした。 

開放的な視界と明るさを実現する大型パノラマサンルーフも用意。幅950mm×長さ1021mmを誇る。また軽量化&側突対応のためBピラー間ルーフレインを設定し、安全性にも配慮した。

インパネ上部のセンターディスプレイは、12.3インチの大型サイズ。フル液晶メーターも12.3インチに拡大された。

新たに「ドライバー・パーソナライゼーション・システム(DRIVER PERSONALIZATION SYSTEM)」も搭載された。これは自動ドライビングポジションガイド、自動設定復元、乗降支援の3つの機能で構成されている。

まずは車内のカメラによって目の位置を検出。ドライバーの身長を算出し、マツダのドライビング思想にもとづく理想的なシートポジションに自動調整する。この調整と同時に、ステアリングとアクティブ・ドライ ビング・ディスプレイ、アウターミラーの角度も自動調整される。

このデータは車両にも記憶され、ドライビングポジションを含む約200点の調整/設定項目を顔認識で読み出せるという。もしドライバーが変わっても、すぐに自動でアジャストする機能を備えているから便利だ。さらに乗降支援機能としてドライバーが乗り降りしやすいように、ステアリングとシートを自動調整する。

ふたつのプレミアム仕様も注目したい。天然木素材などを使った「プレミアムモダン」と、スポーティなブラックの素材で引き締めつつ、キルティングを施したスウェード素材とナッパレザーで高級感を演出した「プレミアムスポーツ」だ。

別ブランドで販売するのもアリ!?

運転支援システムには、新たに「ドライバー異常時対応システム(DEA)」を追加。ドライバー・モニタリングと連動し、ドライバーの異常を検知すると音と表示による警告でドライバーに応答を促す。ドライバーが運転に復帰できない場合、ハザード点滅、ブレーキランプ点滅とホーン吹鳴で車外に異常発生を報知しながら、高速道路/有料自動車専用道路では可能な限り路肩に寄せながら減速停止、一般道では同一車線内で減速停止す。停車後は、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請おこなう。

新型CX-60の価格などは今後明かされる。これほど豪華で充実の装備にパワフルなパワーユニットが組み合わされたら、500万円、いや600万円オーバーの可能性もある。今のマツダに、どれほどプレミアムなイメージがあるのかはわからないけれども、ブランド・イメージを高めるのは間違いない。

とはいえ、ブラックを基調とした新世代店舗は、全店舗のうち25%しかない。あとは従来のままだ。そこで軽自動車からCX-60まで販売するのは少々無理があるような……。

ホンダも日産も、日本では苦手とするプレミアム・セグメントを、マツダがどのように攻略するかは興味津々である、。いっそのこと、トヨタが手がけるレクサス・ブランドのように、マツダも、異なるブランドで販売したらおもしろい。

もし実現するならば(かぎりなく可能性は低いが)、ぜひユーノス・ブランドを復活してほしい。

文・稲垣邦康(GQ)

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