剥き出しのV12気筒エンジン
ランボルギーニ初の量産電動モデルとして登場したフラッグシップ・スーパースポーツ「レヴエルト」。V12エンジン+3モーターのPHEV(ランボではHPEV=ハイパフォーマンスEVと呼ぶ)システムによって、最高出力は1000PSの大台を突破する1015PSを誇っている。そんなスーパーマシンを富士スピードウェイで試す機会が訪れた。その模様をリポートする。
サーキットに到着した我々を待っていたのは、オレンジ2台、グレー2台、ダークカーキ、ホワイト各1台の合計6台のレヴエルトだ。1台約6500万円なので、これだけで約4億円(!)が並んでいることになる。個性的なY字型ライトシグネチャー、垂直に開くシザースドア、剥き出しのV12気筒エンジンなどは昨年の発表会で見た通りなのだが、ピットレーンにズラリ並ぶその姿はただならぬ雰囲気を醸し出していて、迫力満点だ。
パワートレインの主役は、1963年の350GT以来ランボのフラッグシップが採用し続けてきたV12エンジンで、レヴエルトが搭載する排気量6.5Lの新型L545自然吸気エンジンは最高出力825PS/9250rpm、最大トルク725Nm/6750rpmを発生。歴代12気筒エンジン中最強であり、しかも重量は先代アヴェンタドールのものより17kgも軽い218kgに抑えられている。
ハイブリッドを司るモーターは、フロントアクスル左右に、駆動、トルクベクタリング、回生ブレーキの役目をもつ150PS/350Nmのものを2基搭載。エンジン後方にも駆動、スターター、ジェネレーターを兼ねる150PS/150Nmのものを1基搭載する3モーター式だ。
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アヴェンタドールのシングルクラッチから湿式デュアルクラッチに進化した8速DCTは、後部のモーターの下側に横向きに搭載。これによって空いたセンタートンネル部分に容量3.8kWhのリチウムイオンバッテリーを収めている。完全EVモード時には、3つのモーターだけで前進、後進ができる。
システム最高出力1015PSが実現するそのパフォーマンスは、0-100km/h加速2.5秒、0-200km/h加速7秒以内、最高速度350km/h以上という圧倒的なもの。ワクワクする気持ちを抑えながら、まずはドライバーズミーティングに参加した。試乗は、先導車のウラカンSTOに続いて後方に2台のレヴエルトがフルコース3週を2回。1回目と2回目で前後のドライバーが入れ替わる(公平を期すため)。
ドライビングモードの組み合わせは全13種類もあるけれども、ピットスタート時は「CITTA(チッタ=シティ)」、本コースに出たところで「STRADA」、ヘアピンを過ぎたあたりで「SPORT」、最終コーナーを過ぎてストレートに入ったところで「SPORT」+「PERFORMANCE」または「CORSA」で、最後の1週はクールダウンのため「RECHARGE」モードで走れ、という指示だった。
アクセルペダルを床まで踏み倒す!
マイヘルメットを装着してシザースドアを上げると、従来モデルにあった幅広のサイドシルがドア側に移されたことと、少し高くなったルーフ形状のおかげで、シートへのアクセスがとてもやりやすくなったことに気がつく。
センターコンソールの例の赤いカバーをパチンと上げてスタートボタンを押すと、今までなら背中のエンジンに火が入る「ブオンッ」という爆音が聞こえるのだけれども、「CITTA」モードなのでそれがないという不思議な感覚を味わう。無音のモーター走行でピットロードを抜け、本コース上でステアリング左の赤いモードダイヤルをカチリと回して「STRADA」に入れると、初めて12気筒が目覚めるのだ。
1回目の走行は、前を走る方がスポーツ走行に慣れていないらしくペースが上がらないので、「SPORT」+「PERFORMANCE」のATモードで走り続けてみた。ストレート後半に設定したブレーキングポイントまででも最高速は250km/hに届かず、この程度ではレヴエルトは全く平然としたままだ。ちなみに「PERFORMANCE」や「RECHARGE」などのモード選択は、右側のEVダイヤルを回して選択する。
2回目は先導車に続く2台目だったので、「CORSA」モードに入れてパドルを駆使してのスポーツ走行を試した。シングルクラッチだったアヴェンタドールはシフトのショックとタイムラグがかなり大きかったのだが、デュアルクラッチとなったレヴエルトのシフトタイミングは電光石火。ただしガツンとくるシフトショックは大きめで、それがまたスーパースポーツカーを操っている感覚を助長してくる。
そして12本のシリンダーが爆発する轟音が背中から聞こえてくるドライバーズシートは居心地最高。サーキット後半に連続する複合コーナーでは、4本のタイヤががっちりと路面を掴んでいるフィールがステアリングにびしびし伝わってくる。それを抜けたストレートでは、4WDの明確なトラクションによって車速が一気に伸びる。
大きなアクセルペダルを床まで踏んで3速、4速、5速とシフトアップしていくと、バックミラーに映る後方の車があっという間に小さくなっていく。路面はわずかに濡れているが、ハイドロプレーニングを起こす気配は全くなし。ストレート前半部分で早くも7速265km/h。あと1速残っているのでどこまで車速が伸びるのか、と思ったところで先導車は加速をやめた。安全面と、後ろのクルマとの車間が空き過ぎたことによるものだ。
BSの純正タイヤはレヴエルトのための専用設計
今回の試乗会には、ARTAの鈴木亜久里氏と共に、純正装着タイヤである「ポテンザ・スポーツ」を開発しているブリヂストンのスタッフも参加していた(同社は2023年からオフィシャルテクニカルパートナー契約を結んでいる)。
聞けばこのランフラットタイヤはレヴエルトのための専用設計で、その巨大なトルクに対応するために内部の剛性を高めたり、タイヤがヨレないように溝のハイトが抑えられたりしているとのこと。そして製造もランボのお膝元であるイタリア製だ。レヴエルトで走った感想を聞いた亜久里氏も、タイヤも含めたクルマの総合性能が非常に高いところにある点を強調しているのが印象的だった。
濡れた路面で1000馬力オーバーを試すというスリリングな試乗会だったが、当日は朝からの雨で、午前の部の参加者は、前車が巻き上げる巨大なウォータースクリーンに包まれた走行を強いられたとのこと。最高速も200km/h程度まで。それに比べると、雨が上がった午後の部の走行タイミングは、ランボルギーニの高性能ぶりを少しだけ垣間見ることができたので、本当にラッキーだったといえるかもしれない。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ レヴエルト|Lamborghini Revuelto
ボディサイズ:全長4947×全幅2033×全高1160mm
ホイールベース:2779mm
車両重量:1772kg
駆動方式:4WD
エンジン:6.5リッターV型12気筒 DOHC 48バルブ
エンジン最高出力:825PS(607kW)/9250rpm
エンジン最大トルク:725Nm(73.9kgfm)/6750rpm
トランスミッション:8段AT
モーター:永久磁石同期電動機
モーター数:3基
フロントモーター最高出力(1基あたり):150PS(110kW)
フロントモーター最大トルク(1基あたり):350Nm(35.7kgfm)
リアモーター最高出力:150PS(110kW)
リアモーター最大トルク:150Nm(15.3kgfm)
システム最高出力:1015PS(746kW)
タイヤ:(前)265/30ZR21(後)355/25ZR22(ブリヂストン ポテンザスポーツ)
最高速度:350km/h以上
0-100km/h加速:2.5秒
価格:6543万円
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みんなのコメント
あと、おざなり感が否めない。
結局カウンタックに敵わないコンプレックスを形にしたような車。