■同門ライバル「プリウス」と「カローラ」
世界で初めての量産ハイブリッド車として1997年にデビューしたトヨタ「プリウス」は、「エコカー=プリウス」というイメージを築き上げ、20年以上にわたってグローバルで人気を博してきました。
SUV風トヨタ「カローラ」発表! 新型「カローラトレック」は車高アップで走破性向上
いまではどのメーカーもハイブリッド車に力を入れており、2020年に国内で販売された小型/普通乗用車の40%近くがハイブリッド車をはじめとする電動車が占めるなど、一般ユーザーにも広く浸透しています。
長年ハイブリッド車をけん引してきたプリウスですが、トヨタ「カローラ」が2019年にフルモデルチェンジしてから少し風向きが変わっているようです。
日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表する年間登録台数では、2019年度(2019年4月から2020年3月)はカローラが11万4358台、プリウスが11万3361台と約1000台の違いだったのですが、2020年度はカローラが11万2777台、プリウスが5万9160台と大きな差がつきました。
なお、カローラの集計では現行モデルの3タイプに加え、併売している先代モデル(カローラアクシオ・カローラフィールダー)が含まれています。また、プリウスは「プリウスPHV」と「プリウスα」の合算となります。
プリウスとカローラにはどのような違いがあるのでしょうか。両車を比べてみます。
現行モデルのプリウスは2015年にフルモデルチェンジした4代目です。登場当初は奇抜なデザインに賛否両論ありましたが、2018年のマイナーチェンジで親しみやすいフロントフェイスへと変更されました。
一方のカローラは、古くからトヨタを代表するモデルです。初代モデルは1966に登場。現行モデルは12代目と、55年にもおよぶ長い歴史を持つロングセラーモデルです。
2019年のフルモデルチェンジでは、セダンのカローラとステーションワゴンの「カローラツーリング」が登場。2018年にデビューしていたハッチバックの「カローラスポーツ」と合わせて3つのボディタイプを設定しています。
ボディサイズは、プリウスが全長4575mm×全幅1760mm×全高1470mm、カローラが全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mm、カローラツーリングが全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mmと、いずれもプリウスが上回っていますが、サイズ的にはそれほど大きな違いはないようです。
外観のデザインは、先進的で洗練された印象のプリウスと、スポーティなイメージのカローラ/カローラツーリングという違いがあります。
内装は両車ともに上質なデザインですが、プリウスはインパネ中央に縦型の11.6インチ大型ディスプレイを配置。センターメーターを採用しています。
一方のカローラは、トヨタ初のディスプレイオーディオ(9インチ)を搭載。スマートフォンと連携し、地図アプリや音楽などをディスプレイで操作することができます。
※ ※ ※
カローラシリーズのボディタイプはセダン、ステーションワゴン、ハッチバックの3タイプです。
プリウスは一見セダンのようなスタイルですが、独立した荷室を持たず、荷室とキャビンがつながっていることからハッチバックに分類されます。
しかしトヨタのウェブサイトを見ると、そもそもハッチバックのカテゴリーがなく、プリウスはセダンとして紹介されています。また、カローラスポーツはコンパクトカーに属しています。
■HV専用車のプリウスと複数のエンジンを用意するカローラ
プリウスのパワートレインは、1.8リッターエンジンにモーターが組み合わされた「THS II(トヨタハイブリッドシステムII)」が搭載され、トップレベルの低燃費を実現。カタログ燃費値はWLTCモードで27.2km/Lから32.1km/Lです。
対するカローラ/カローラツーリングは、1.8リッターのガソリン/ハイブリッド(THS II)に加え、1.2リッターターボをラインナップ。ガソリン車はCVT、ターボ車は6速MTが組み合わされています。
WLTCモード燃費はガソリン車が14.6km/L、ハイブリッド車が25.6km/Lから29.0km/L、ターボ車が15.8km/Lです。
駆動方式は、プリウス・カローラともに2WDと4WD(E-Four)を設定。とくに現行プリウスは、歴代モデルで初めて4WDが設定され、雪道での一般的な走行における発進をアシストすることにより、安定した走りを実現しています。
安全装備については、プリウスは衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備しました。
駐車場から後退する際に、左右後方から接近してくる車両を検知し、注意を促す「リヤクロストラフィックアラート」を設定するなど、充実した安全機能が備わっています。
さらに、ペダル踏み間違い事故のさらなる抑止・被害軽減のため既存のシステムに加え、新たな「急アクセル時加速抑制」機能を搭載した「プラスサポート」を導入。
すでに販売されたモデルにも「踏み間違い加速抑制システム」を後付けできるなど、アクセルとブレーキの踏み間違いを防ぐ機能が取り入れられています。
カローラ/カローラツーリングの安全装備は、自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備。
駐車場など低速時に壁や車両を検知し、衝突被害の軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]や、後方から接近してくる車両を検知し、衝突被害軽減に寄与する、リヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]が搭載されました。
プリウスとカローラ/カローラツーリングの価格について比べてみます。
プリウスは260万8000円から355万7000円です(消費税込、以下同様)。
カローラは、ガソリン車が193万6000円から231万5500円、ハイブリッド車が240万3500円から294万8000円、ターボ車が242万4400円。
カローラツーリングは、ガソリン車が201万3000円から236万5000円、ハイブリッド車が248万500円から299万7500円、ターボ車が247万3900円です。
ハイブリッド同士の価格を比べると、プリウスよりもカローラ/カローラツーリングのほうが安く設定されています。
さらに、カローラ/カローラツーリングにはさらに安いガソリン車やターボ車もあるので、プリウスよりも多くの選択肢のなかから選べます。
トヨタの販売店スタッフによると、最初はプリウスの購入を考えていても、最終的に性能やサイズが似ていて価格が安いカローラを選ぶユーザーも多いといいます。
※ ※ ※
カローラシリーズが好調な販売をキープする理由として、これまでよりスポーティになったデザインや、いまでは数を減らしたステーションワゴンが設定されていることがあげられます。
とくにステーションワゴンはカローラシリーズのうち約6割を占めるなど、売れ筋モデルとなっています。
2021年秋ごろにカローラにSUVの「カローラクロス」が追加されるとウワサされていますが、いま流行りのSUVタイプが新たに加わると、好調なカローラの販売をさらに引き上げることになりそうです。
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みんなのコメント
普通のかっこしているハイブリッドのカローラの方がどんだけ良いか。
もし本当だったら今後の活躍に期待。