手ごたえはまるでFRスポーツカー? 兄弟車とのキャラクターの違いに驚く
「B3 GT」と同時にリリースされたグランクーペ・ボディを持つBMWアルピナ新型「B4 GT」をサーキットで試乗しました。まるでFRスポーツカーのように感じられるキャラクターの源泉を辿っていくと、B5用のひと回り大きなリアタイヤ、そしてリムジンとは異なるボディ剛性に秘密があることがわかりました。試乗してみて感じたこととは?
BMWアルピナ新型「B3 GT」にドイツ本国で試乗! 1年かけてプログラミングし直したコンピュータは変化を感じさせない絶品の仕上がりでした
ファッション・グレーに騙されるな
新登場となる「B4 GT」はこれまでの「B4グランクーペ」のLCI(Life Cycle Impulse)モデルだ。ちなみにBMW Mがリリースする「M3」と「M4」は4ドアセダンと2ドアクーペというボディ形式の違いがある。だがアルピナのB3とB4の場合はリムジンとグランクーペという違いこそあれどちらも4ドアであることに変わりはない。プラットフォームもほぼ同じだろうし、個人的には「カタチで選ぶもの」くらいの感覚でいたのである。
試乗の舞台となったドイツ、ザクセンリンクで目の当たりにしたB4 GT。その第一印象は「お洒落!」だった。アルピナらしいブルーやグリーンではなく「ファッション・グレー」のボディに対しGT専用のオロ・テクニコと呼ばれるゴールドで仕上げられたホイールやエンブレム、そしてボディサイドのストライプにこの上なく上質な印象を受けたのである。オロ・テクニコ仕上げ以外のB4からの変更点はフロントスポイラー両端のカナード追加。リアディフューザーも新デザインに変更されている。
中身の部分をアルピナ社のアンドレアス・ボーフェンジーペン社長に聞いてみた。
「B4はBEVのi4との関係性もあってもともとフロア部分がB3よりも強いんです。だから我々は今回のB4 GTにもB5用の1サイズ大きなタイヤセットを組み合わせて、アルピナらしさを演出できました。つまりそれは快適に走り続けられるということ。でもそこに走る楽しさもある。でなければ我々が手がける意味がありません」
巡航最高速度は時速305キロ! だから200キロでも余裕しゃくしゃく
足まわりと電子制御を担当するエンジニア、トビアス・ウィーガーによると、B4 GTの物理的な変更点はフロントのスタビライザーを1段階細くしているという。
「フロントサスをしなやかにして応答性を上げました。これはエンジンパワーやタイヤとの関係でそうした方がベストだと感じたからです。今回のようにサーキットで試乗する場合、B3 GTよりもB4 GTの方が楽しめるはずです」
B4 GTでコースインしてみるとすぐトビアスのコメントがそのまま走りに反映されていることがわかった。コーナーの脱出でスロットルを踏むと電制デフの締結が高まり、B3 GTより2サイズも太い285幅のリアタイヤがグッと踏ん張る様子が分かる。
B4 GTの駆動はアルラット=AWDだが、前後の駆動力の関係性ははっきりとリア寄りになっていることが分かる。529psのパワフルなエンジンとリア偏重の駆動配分というとプッシュアンダーを警戒してしまうが、実際にはフロントがしなやかにロールし路面を捉えてくれる。クルマ全体で曲がっていくイメージのB3 GTに対し、B4 GTは前輪で曲がり、後輪で加速していく感覚。ドライビングにFR車のようなメリハリが自然と宿るのだ。走っている最中に走行モードをトラックDSCに変え、少し攻撃的な走りをしてみたのだが、それでもリアが不意に滑り出すようなことはなかった。200km/h走行なら余裕たっぷり。そうでなければ彼らが標榜する305km/hという最高巡航速度(最高速度ではない!)を達成することなどできないということなのだろう。
素材=ベースモデルの特性を見極めたうえで、自分たちが目指す「真のグランツーリスモ」を作り上げるアルピナ。グランクーペ・ボディを与えられたB4 GTはリムジンの兄弟車よりもはっきりとスポーティな性格付けがされているが、同時にアルピナらしい落ち着きの払い方、スタビリティの高さを兼ね備えた作品だったのである。
BMW ALPINA B4 GT GRAN COUPE BMWアルピナ B4 GT グランクーペ
車両価格(消費税込):1660万円(左ハンドル/右ハンドル・オプション) ・全長:4800mm ・全幅:1850mm ・全高:1440mm ・ホイールベース:2856mm ・車両重量:1965kg ・シリンダー/過給機:直列6気筒/ビ・ターボ ・総排気量:2993cc ・最高出力:389 kW(529ps) ・最大トルク:730Nm(74.4kg-m) ・トランスミッション:アルピナ・スウィッチ・トロニック付き8速スポーツ・オートマチック ・0-100km/h加速:3.5秒 ・巡航最高速度:305km/h ・ラゲッジ容量:470~1290L ・タイヤ:(前)255/35 ZR20、(後)285/30 ZR20
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みんなのコメント
まあFRベースの車ですから当然でしょう
素人みたいな記者ですね