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日本独自の「軽自動車」なぜ「軽」と呼ばれる? 小型・軽量だからじゃない!? 「軽」が使われる意外な理由とは

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日本独自の「軽自動車」なぜ「軽」と呼ばれる? 小型・軽量だからじゃない!? 「軽」が使われる意外な理由とは

■かつての「軽」は最新の「戦車」だった!?

 いまでは新車販売のおよそ4割を占めるほどに成長した「軽自動車」は、日本国民の生活に欠かすことのできない存在となっています。
 
 そんな軽自動車ですが、なぜ「軽」という文字が使われているのでしょうか。

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 ほとんどの人は、軽自動車は普通自動車や小型自動車よりもコンパクトであり、物理的に軽いことが多いために「軽」の文字が用いられていると理解しているようです。

 もちろん、この解釈は決して間違ってはいません。よほど特殊なケースをのぞいて、軽自動車はそれ以外のクルマよりも「軽い」ことは事実であるからです。

 ただ、道路運送車両法における軽自動車の定義を見ると、そこに車両重量に関する記載はありません。

 したがって、理論上は、普通自動車や小型自動車よりも重い軽自動車も存在することができます。

 このように考えると、単に物理的な重さだけに注目して「軽」の文字が用いられているわけではないようです。

 では、「軽」という漢字には、本来どのような意味があるのでしょうか。

『角川新字源 改訂版』によれば、「軽」という漢字は「まっすぐかろやかに走る戦車」に由来しているといいます。

 ここでいう「戦車」は、かつての中国における兵車のことを指すと見られ、「軽」という漢字に「車」が含まれている大きな理由とされています。

 そもそもまっすぐ走ること自体が困難であった当時の兵車において、新たに登場した「軽」と呼ばれる兵車は、軽量化されたボディなどによって高い走行性能を持っていたと推測されます。

 つまり、「軽」という漢字の成り立ちを見ると、「物理的に軽い」というのは副次的な意味であり、どちらかと言えば「軽快」というような意味のほうが本来のニュアンスに近いと考えられます。

 ただ、「軽」という文字は、1949年の時点ですでに「物理的に軽い」という意味合いで用いられることが多かったことから、軽自動車に「軽快なクルマ」というニュアンスはなさそうです。

■軽自動車の「軽」は英語に由来している

 結論から言えば、軽自動車には「軽」という文字が用いられている理由は、英語からの翻訳にあると考えられます。

 明治期以降の日本には、欧米などから多くの外来語が流入してきました。ただ、現代ほどカタカナ語が浸透していなかった当時の日本では、外来語を翻訳して日本語のなかに取り込むことが盛んにおこなわれました。

 特に「science」や「philosophy」のような抽象的な概念は、そのままカタカナ語として理解することは難しかったために、「科学」や「哲学」といった翻訳語として日本語のなかに取り込まれたのです。

 そうした抽象的な概念のひとつに「light」があります。

「light」は、物理的な重さが軽いという意味に加え、程度が小さいといった抽象的な意味も持っています。

 現在では日本語の「軽」も「light」とほぼ同じ意味を持っていますが、「軽」が抽象的な意味も含むようになったのは、明治期以降であると考えられます。

 具体的には、1800年代後半にイギリスから「Light Railway」を輸入した際に、「軽便鉄道」と翻訳したことが、そのひとつのきっかけになったと見られます。

 軽便鉄道は一般的な鉄道よりも簡素なため、建設期間や費用を抑えることができるのが魅力で、日本では1910年代頃から多く建設され、国民の移動を支える存在となりました。

 軽便鉄道の多くは、その後クルマの普及とともに廃線となってしまいます。それはつまり、国民のおもな移動手段がクルマへと変化していったことを意味しています。

 その原動力となったのが、「light」なクルマとして企画された軽自動車であることは言うまでもありません。

「Light Railway」には「物理的に軽い鉄道」というニュアンスは含まれておらず、その後イギリスで登場した「Light Car」も、決して「物理的に軽いクルマ」という意味ではなく、あくまで抽象的な意味で用いられています。

 軽自動車の「軽」がそうした外来語に由来しているとすると、物理的に軽いから「軽自動車」と呼ぶというのは、必ずしも正しくはないようです。

※ ※ ※

 軽自動車が普通自動車や小型自動車に比べて「軽い」のは、物理的な重量のほかに、取り回しの負担や維持の負担などが挙げられます。

 これらは、物理的に軽いことよりもはるかに大きなメリットとして、軽自動車を選ぶユーザーに受け入れられています。

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みんなのコメント

48件
  • tma********
    ダイハツウエイクに乗っているが、
    ウエイクは1.2Lロッキーより200mm車高が高く、10kg重い。
    タントよりも80mm高いのでバカみたいに荷物を積むことができる。
    見た目ほど走行性が悪いわけでもないので、是非新型で復活を望む。
  • ali********
    軽自動車・・・
     税金が軽いから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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