9/21,22に宮城県スポーツランド菅生で開催されたスーパーGT選手権第7戦のGT500クラスでCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが逆転勝利。これが今シーズンにおけるGT-Rの初勝利となった。
2戦連続ポールも
前戦に続きポールポジションを獲得したのは17号車KEIHIN NSX-GT、塚越広大がQ2でトップタイムをマークする。フロントロウには1号車RAYBRIG NSX-GT、そして3,4番手に36号車au TOM'S LC500、37号車KeePer TOM'S LC500と2台のトムス勢2台が並ぶが、36号車はエンジン交換のペナルティを受けることが決まっている。
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スタート時刻が迫るとまるで示し合わせたかのように小雨が路面を濡らし始める。多くのチームがグリッド上でウェットタイヤに交換する中、17号車NSXは作業時間ギリギリに一旦装着したウェットからスリックに再度交換。5番手スタートの19号車WedsSport ADVAN LC500もドライタイヤでのスタートを選択する。雨が止む可能性に賭けたのか、少しの雨ならイケると判断したのか。
81周の決勝レースは強く降り始めた雨によりSC先導でのスタートへ変更となった。スタート直前の5分間でそれほどまでに状況は悪化していた。そしてSCが明けた4周目のリスタート、案の定17号車NSXは加速が鈍り1号車NSX、そして37号車と36号車LC500に相次いで交わされてしまう。またその後方5番手の19号車LC500に詰まった6位以下の集団は大きく出遅れてのリスタート。
チャンピオン対決
トップは1号車NSXのジェンソン・バトン、2番手は37号車LC500のニック・キャシディ。昨年、一昨年のシリーズチャンピオンが意地を見せ合うが、雨のバトンは速かった。徐々に37号車を引き離しギャップを築いていく。遅れ始めたキャシディは27周終了時にピットイン、ドライバー平川亮へ交替。しかしタイヤは交換せずにピットアウト、ウォームアップの時間を削って再びトップを狙う。
トップの1号車NSXは36周でピットへ、山本尚貴へ交替と共にタイヤも交換して37号車の前でコースへ復帰する。しかし交換直後のタイヤは熱が入らず、37号車を抑えられずにトップが交替。そしてその後のSC導入で後続と差が詰まると、リスタート後もペースが上がらない1号車NSXは次々とパスされてしまう。この時点でトップを快走する37号車LC500も、後にタイヤの磨耗に苦しむこととなる。
水を得た2匹の魚
GT500クラスで唯一ダンロップタイヤを履く64号車Modulo Epson NSX-GTは、ナレイン・カイティケヤンから牧野任祐に替わると、路面とタイヤがマッチしたこともあり最速ペースでオーバーテイクショーを魅せる。52周目には3番手を行く23号車MOTUL AUTECH GT-Rを交わし表彰台圏内へ進出する。
タイヤ無交換でトップをキープしていた37号車LC500だが、2番手にはミシュランタイヤ装着の3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R、平手晃平から交替したフレデリック・マコヴィッキが猛プッシュ。弱まらない雨足と磨耗したレインタイヤに苦しむ37号車はついに54周目に交わされ2番手に落ちる。それだけでは終わらずに続く55周目には64号車NSX、さらには57周目に23号車GT-Rにも抜かれ4番手へとポジションダウン。
待ち焦がれた初勝利
そして81周目、追いすがる64号車NSXを逆に突き離し、約20秒の大差を付けた3号車GT-Rが逃げ切りトップチェッカーを受けた。レクサスから移籍の平手晃平、かつてホンダに所属していたマコヴィッキがコンビを組んで挙げたこの勝利は、2019年のGT-R初勝利でもあった。
渇望していたGT-Rの勝利にスタンドのニッサン応援団が祝福の歓声。2位は64号車のナカジマレーシングが2年ぶりの表彰台。3位には23号車ニスモのGT-Rが粘り強く入賞したが、37号車、6号車がポイントを重ねたためチャンピオン争いから実質的に脱落することとなった。
スーパーGT選手権 GT500クラス 第7戦決勝結果(ポイント獲得者)
1位 3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ)
2位 64号車 Modulo Epson NSX-GT(ナレイン・カーティケヤン/牧野任祐)
3位 23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
4位 37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ)
5位 17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)
6位 6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太)
7位 39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
8位 1号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)
9位 16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐)
10位 36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛)
残すは最終もてぎ戦のみ、チャンピオン争いは6号車WAKO'S 4CR LC500と37号車KeePer TOM'S LC500のレクサス対決となった。6号車は2位以上でゴールすれば王座確定となる。37号車は、優勝した場合には6号車が3位以下、2位なら5位以下(ポールを獲れば4位以下)、3位の場合には8位以下(ポール獲得で7位以下)と、依然として6号車が圧倒的優位な状況に変わりはない。23号車MOTUL AUTECH GT-Rは最終戦でポール・トゥ・フィニッシュを決め、6号車がノーポイントかつ37号車が5位以下という厳しい条件。これは奇跡が起きないかぎり・・・。
2019スーパーGT GT500クラス ドライバーランキング(上位10組)
1位 70pt 大嶋和也/山下健太(6号車)
2位 63pt 平川亮/ニック・キャシディ(37号車)
3位 49.5pt 松田次生/ロニー・クインタレッリ(23号車)
4位 44pt ヘイキ・コバライネン/中山雄一(39号車)
5位 38.5pt 立川祐路/石浦宏明(38号車)
6位 36pt 平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ(3号車)
7位 33pt 塚越広大/ベルトラン・バゲット(17号車)
8位 32pt 山本尚貴/ジェンソン・バトン(1号車)
9位 31pt 野尻智紀/伊沢拓也(8号車)
10位 26pt 中嶋一貴/関口雄飛(36号車)
(PHOTO:井上雅行)
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