ひとつの車種にはさまざまなグレードが存在する。様々悩み抜いた末に落ち着きがちなのが「中間グレード」だが、一口に中間グレードといってもその価格幅は意外に広く、選ぶのに苦労する。メーカー側の値付けも実は巧妙だ。
値付けする側もその道のプロ。そこにはシロウトの買い手にはわからない、ビミョーな戦略が潜んでいるわけだ。ならばこちらもプロの指南を仰ぎ、グレードがお買い得なのかを知るべし! というのがこの企画。
【販売を押し上げた? それとも…?】 あの話題の追加モデルは孝行息子? 放蕩息子?
前回の「トヨタ車・ホンダ車編」に続き、今回は日産・マツダ・スバル・三菱・ダイハツ・スズキから厳選した15車種の中間グレードから、『オススメのお買い得グレード』を指南! 指南役は年中カタログとにらめっこしているコスパの鬼・渡辺陽一郎氏である。
〈今回エントリーの15車種〉
日産 セレナ
日産 ノートe-POWER
日産 エクストレイル
日産 リーフ
マツダ CX-8
マツダ CX-5
マツダ デミオ
スバル フォレスター
スバル XV
三菱 エクリプスクロス
三菱 デリカD:5
ダイハツ タント
スズキ ソリオ
スズキ スイフト
スズキ スペーシア
※本稿は2019年3月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年4月10日号
■日産 セレナ
●オススメグレード/X・Vセレクション2(価格:266万2200円)
日産 セレナ
セレナではe-POWERやエアロパーツを備えたハイウェイスターの人気が高いが、機能や装備と価格のバランスでは、標準ボディのノーマルエンジン搭載車が買い得だ。特にX・Vセレクション2に注目したい。
Xに両側スライドドアの電動機能など20万円相当の装備を加えて、価格上昇は15万7680円に抑えた。またXと違って、運転支援機能のプロパイロットもオプション装着できる。
■日産 ノートe-POWER
日産 ノートe-POWER
●オススメグレード/X(価格:196万5600円)
1.2Lのノーマルエンジンやスーパーチャージャー装着車も選べるが、現行ノートは発売から6年以上を経過した。今では魅力が乏しく、新鮮味があるのはハイブリッドのe-POWERだ。
燃費に加えて動力性能も優れ、アクセルペダルの操作だけで速度を自由に調節する楽しさも味わえる。価格は装備差を補正してノーマルエンジンよりも47万円ほど高いが、それに見合う価値がある。
■日産 エクストレイル
●オススメグレード/4WD・20X ※3列シート(価格:282万7440円)
日産 エクストレイル
悪路走破力が高いから駆動方式は4WDを選ぶ。ハイブリッドもあるが、ノーマルエンジンと比べた時の燃費数値が128%と低く、魅力が乏しい。
従ってグレードはノーマルエンジンと4WDを搭載する20Xだ。20Sに比べて42万円以上高いが、LEDヘッドランプやリモコンオートバックドアなどを備える。
3列目のシートを7万2360円で装着できることも魅力だ。CR-Vでは19万円以上の上乗せになる。
■日産 リーフ
●オススメグレード/X(価格:366万1200円)
日産 リーフ
追加されたe+は、駆動用電池の容量を40kWhから62kWhに増やし、航続可能距離と動力性能を向上させた。ボディと足回りの見直しで、安定性も少しよくなった。
ただしe+は価格が高い。装備の違いを補正しても40kWhに比べて39万円の上乗せだ。CEV補助金の交付額は、40kWhと同じ上限額の40万円だから、EV専用カーナビなどを備えた40kWhのXが買い得だ。
■マツダ CX-8
●オススメグレード/4WD・XDプロアクティブ(価格:392万5800円)
マツダ CX-8
SUVだから駆動方式は4WDを選ぶ。そうなるとターボを備えない2.5Lのガソリンは、2WDのみだから選べない。
2.2Lクリーンディーゼルターボの価格は、2.5Lガソリンターボに比べて約14万円高いが、この差額はディーゼルのエコカー減税が免税になるから取り戻せる。
実質同額だから、動力性能が高く、低燃費のディーゼルが買い得だ。グレードはXDプロアクティブ。
■マツダ CX-5
●オススメグレード/4WD・XDプロアクティブ(価格:334万2600円)
マツダ CX-5
2Lのガソリンエンジンは2WDのみで、2.5Lを搭載する4WDとの価格差は約23万円だ。つまり500ccの排気量は価格に加算されず、2.5Lが割安で2Lは割高になる。
ただし2.5Lのガソリンも、動力性能が物足りない。結論は2.2LクリーンディーゼルターボのXDプロアクティブだ。駆動方式は4WDを選ぶ。なお2.5Lガソリンターボはディーゼルとほぼ同額だから割高だ。
■マツダ デミオ
●オススメグレード/XDツーリング(価格:201万4200円)
マツダ デミオ
デミオは後席や荷室の広い実用指向のコンパクトカーではない。居住性は前席が優先され、走行性能に力を入れた。そうなるとエンジンは、ガソリンではなくクリーンディーゼルターボを選びたい。
実用回転域の駆動力が高く、運転して楽しいからだ。燃料代も安い。ディーゼルの価格は装備差を補正してガソリンよりも25万円程度しか高まらず、エコカー減税も免税だから、買い得。
■スバル フォレスター
●オススメグレード/Xブレイク(価格:291万6000円)
スバル フォレスター
全車が4WDを搭載する。ハイブリッドのアドバンスは、ドライバーモニタリングシステムなども装着してプレミアムとの価格差が7万5600円だから、ハイブリッドのコストを価格に上乗せしていない。
ただし価格自体は309万9600円と高い。そこでXブレイクを推奨する。潑水フロアボードなど、SUVらしい装備を採用して価格は291万6000円だ。2.5Lエンジンで走りにも余裕がある。
■スバル XV
●オススメグレード/2.0i-Lアイサイト(価格:250万5600円)
スバル XV
ハイブリッドのアドバンスは、2Lのノーマルエンジンと比べた時の価格上昇を12万9600円に抑えた。エコカー減税の差額を差し引くと約10万円だから、6万kmを走れば、この実質価格差を燃料代の節約で取り戻せる。
ただし車両重量が約100kg重く、走りの軽快感は乏しい。1.6Lは動力性能が足りない。買い得グレードは2Lの2.0i-Lアイサイトで、装備を充実させながら価格は250万5600円だ。
■三菱 エクリプスクロス
●オススメグレード/4WD・G(価格:293万4360円)
三菱 エクリプスクロス
エクリプスクロスの4WDは高機能で、舗装路でも安定性を高める。従って4WDのGが買い得だ。
Mに比べると車間距離を自動制御できるレーダークルーズコントロール、LEDヘッドランプなどを加えて、前方の車両に対する緊急自動ブレーキの作動上限速度も時速80km以上に高まる(Mは時速80kmが上限)。
これらの装備は22万円に相当するが、Gの価格上昇はMと比べて18万円弱に抑えた。
■三菱 デリカD:5
●オススメグレード/4WD・2.2クリーンディーゼルターボGパワーパッケージ(価格:408万2400円)
三菱 デリカD:5
デリカD:5では、2.2Lのクリーンディーゼルターボ搭載車が売れ筋だ。そこでディーゼルのみに大幅なマイナーチェンジを実施した。
最も買い得なグレードはGパワーパッケージだ。リアゲートが電動開閉式になり、Gには装着できない後側方車両検知警報などをオプション装着できる。
外装の異なるアーバンギアは12万円少々高い。なおディーゼルの駆動方式は4WDのみになる。
■ダイハツ タント
●オススメグレード/X・SA3(価格:142万200円)
ダイハツ タント
標準ボディのX・SA3が買い得だ。L・SA3に、左側スライドドアの電動機能、キーフリーシステムなど14万円相当の装備を加えて、価格上昇は13万5000円になる。特に安くないが、装備と価格のバランスは取れている。
試乗してパワー不足を感じたら、XターボSA・3も検討したい。価格はX・SA3よりも8万1000円高いが、フォグランプなども備わり実質6万円でターボが装着される。
■スズキ ソリオ
●オススメグレード/ハイブリッドMXセーフティサポート装着車(価格:184万1400円)
スズキ ソリオ
エンジンは1.2Lのみだが、ノーマルタイプ、マイルドハイブリッド、フルハイブリッドの3種類がある。このうち最も買い得なのはマイルドハイブリッドだ。
フルハイブリッドの燃費数値はマイルドの115%にとどまり、燃料代の節約で価格差を取り戻すのに20万km以上の走行を要する。上級のバンディットもあるが、標準ボディのハイブリッドMXが割安で、緊急自動ブレーキなどを装着する。
■スズキ スイフト
●オススメグレード/2WD・ハイブリッドRSセーフティパッケージ装着車(価格:185万4360円)
スズキ スイフト
エンジンは1.2Lのノーマルタイプ、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、1Lターボ、さらにスイフトスポーツの1.4Lターボもある。
この内、燃費や価格を考えると、最も買い得なのはマイルドハイブリッドだ。特にマイルドハイブリッドRSは、エアロ形状のバンパーなどを装着した上で、価格の上乗せが少ない。緊急自動ブレーキのセーフティパッケージを装着したい。
■スズキ スペーシア
●オススメグレード/ハイブリッドX(価格:146万8800円)
スズキ スペーシア
上級のカスタムも選べるが、価格は標準ボディが割安だ。フロントマスクも個性的で、少々通俗的なカスタムよりも魅力がある。
グレードはハイブリッドXを選ぶ。マイルドハイブリッドの搭載でJC08モード燃費は28.2km/Lだから、全高が1700mm以上の軽自動車では燃費が最もいい。
ハイブリッドGに両側スライドドアの電動機能など19万円相当の装備を加えて、価格上昇は13万5000円だ。
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