普段使いできる最高のスポーツカー
現代のポルシェが生み出す、最高の普段使いスポーツカーはケイマンだと思う。賛否あることは理解している。それでも、小さなボディに不足ない魅力が詰まっていることは間違いない。
【画像】最高の普段使いスポーツカー ポルシェ・ケイマン 同時期のボクスター 現行モデルも 全109枚
ケイマンは、リアエンジン・スポーツカーを連綿と作り続けてきたスポーツカー・メーカーによる、毎日乗ることを前提とした秀作だ。911と同様に世界クラスの技術が投じられ、細部までこだわり抜かれている。
ミドシップ・レイアウトで動的能力に優れるだけでなく、軽くコンパクトで操縦性も抜群。よりお手頃な価格設定は、われわれの味方でもある。なかでも2代目となる981型のケイマンは、現時点では最高の価格価値にある。
初代、987型のケイマンは2012年に登場。それを更に磨き込んだ2代目は、2012年に発売された。ポルシェ・ボクスターのクーペ版という、基本的なポジショニングは当初から変わらない。
シャシー中央に搭載されるエンジンは、ベースグレードの英国仕様で274psと29.5kg-mを発揮する自然吸気の2.7L水平対向6気筒。控えめな数字といえるが、落ち着きのある足まわりと相まって、腕利きのドライバーへ不足ない充足感を与えた。
トランスミッションは、7速デュアルクラッチATのPDKか6速MTが選べた。PDKなら電光石火の超高速な変速で、ケイマンの動力性能を手軽に引き出せる。一方のMTなら、適度な重み付けのペダルを操りアナログな体験を堪能できる。
パワーステアリングは電動機械式。それでも、ステアリングフィールは素晴らしい。
走りを磨いたSにGTS、GT4も登場
ポルシェだから、オプションもふんだん。アダプティブダンパーが組まれるPASMは優れた乗り心地をもたらし、トルクベクタリング機能のPTVも実装できた。スポーツクロノ・パッケージを選ぶと、スロットルマッピングとシフトマナーが1段シャープになった。
当時のポルシェ911 カレラに積まれていた、3.4L 水平対向6気筒エンジンを積むケイマン Sも当初から用意された。こちらは325psと37.6kg-mを発揮し、一層意欲的な走りに興じれる。
魅力的なオプションが標準で一式装備されていたのが、ケイマン GTS。スポーツクロノとPASM、20mm車高の落ちるスポーツサスペンションが組まれ、見た目もわずかに差別化されていた。
さらに3.4Lエンジンは、英国仕様で339psと38.6kg-mまで増強。シリアスさを求めるドライバーへ、より秀でた動力性能をもたらした。
2015年には、ポルシェのGT部門が手を加えたサーキット前提のケイマン GT4も登場。空力特性が磨き込まれ、380psと42.6kg-mを発揮する3.8L水平対向6気筒エンジンを獲得している。
リア・サスペンションは設計し直され、フロント・サスペンションはGT3から流用。3段階の調整式アンチロールバーと、ハイグリップなミシュラン・カップ2タイヤで熱い走りを受け止めた。
お値打ち価格で流通している981型
近年の英国の中古車市場を眺めてみると、この981型ケイマンがお値打ち価格で流通していることへ気が付く。悪くない状態のものでも、2万5000ポンド(約415万円)前後で入手が可能なようだ。
毎日の通勤を楽しくしてくれるだけでなく、素晴らしい操縦性は週末の最高の伴侶にもなってくれる。ミドシップの2シーター・クーペとして考えれば荷室は広く、お買い物にも困らない。インテリアは上質で、堅牢に作り込まれている。
今後は、経年による価値の低下も小さいはず。もっとも、ひとたびオーナーになったら手放したいとは考えにくいはずだが。
新車時代のAUTOCARの評価は
これほど優れた動力性能と操縦性を備えたライバルは、他に存在するだろうか。停まった状態の美しさも見逃せない。
価格は競争力に長け、今後の価値も約束され、燃費も優秀。車内は快適で、2シーターのスポーツカーとして考えれば実用性も低くない。このクルマの真価は、すぐには理解できないほど高いといえる。(2006年1月17日)
購入時に気をつけたいポイント
メンテナンス間隔
ポルシェは2年か3万2000km毎の点検整備を指定しているものの、専門家は年1回は実施した方が良いと話す。油脂類を新鮮な状態に保ち、潜在的な不具合へ早期に対応するためだ。結果的には安く済むという。
ダイアグノーシスへつなぎ、ダッシュボード上の走行距離に偽りがないか事前に確かめたい。エンジンをレブリミットまで回した履歴や、エラーコードが出ていないかなども確認できる。
サスペンションとブレーキ、クラッチ
PASMのアダプティブダンパーからオイルが滲むことがある。
ブレーキペダル部分のブッシュは劣化しやすい。まれにペダルが完全に戻らず、ブレーキが軽く掛かったままの状態になり、ディスクが加熱することも。早期に修理したいポイントだ。
MTの場合、クラッチペダルが重い場合は寿命が近い証拠。
ボディとシャシー
ボディは多くがアルミニウム製なため錆びにくい。フロントバンパーやフェンダー、サイドシル、フロントガラスなどは飛び石キズが付きやすい。予め観察したい。
維持状態が悪いとエアコンのコンデンサー、ラジエター、エグゾーストシステムの固定部分などにサビが生じがち。
インテリア
PDKを積んだケイマンのステアリングホイールには、PDK用のボタンが付いていた。スポーツ・ステアリングホイールとシフトパドルには、専門ショップで交換できる。
タイヤ
ケイマンにはN規格のピレリPゼロが標準装備されていた。ワンダリングが強いため、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sなどへ交換されていることがある。
オーナーの意見を聞いてみる
イアン・フィリップス氏
「2014年式ポルシェ・ケイマンを4年前に購入しました。運転を楽しむために。最初は911を考えていたのですが、981型のケイマンを試乗したら考えが変わりました」
「操縦性は素晴らしく、5000rpmを超えた辺りからのエンジンサウンドにも惚れ惚れします。長距離ドライブでは、燃費が14.0km/L以上まで伸びることもありますよ。ベスト・ドライバーズカーだと思いますね」
「基本的には堅牢なので、ポルシェ・ディーラーでメンテナンスされてきたクルマを、個人売買で購入しています。今もディーラーへ点検整備をお願いしていますが、年間400ポンド(約7万円)ほどは最低でも必要です。維持費は高めといえるでしょう」
「最近、エアコンの修理代としてかなり払いました。それでも、981型ケイマンの設計は優秀ですし実用的。所有し運転する喜びには代えられません」
知っておくべきこと
ポルシェの技術開発部門チーフ、ヴォルフガング・ハッツ氏の誕生日に、ポルシェのGT部門はGT3用エンジンを搭載した981型ケイマン GT4をサプライズで運転させ驚かせた。ハッツ自身も、以前から温めていたアイデアだったという。
ポルシェの上層部もこのプロトタイプへ試乗し、最終的に最新の718ケイマン GT4 RSの開発へゴーサインが出たという。その素晴らしさは、AUTOCARでもご報告済みだ。
英国ではいくら払うべき?
2万5000ポンド(約415万円)~3万4999ポンド(約580万円)
走行距離が長めの981型ケイマンを英国では探せる価格帯。基本的にはどれも状態は悪くないようだ。オプションを装備した例も多く、ケイマン Sも含まれていた。
3万5000ポンド(約581万円)~4万4999ポンド(約746万円)
走行距離が短くなる。スポーツクロノ・パッケージなど、理想的なオプションが組まれた例を選べる。
4万5000ポンド(約747万円)~5万9999ポンド(約995万円)
ケイマン GTSを英国では狙える価格帯。ケイマン Sなら走行距離は短め。価格帯の上限にはGT4も含まれる。
6万ポンド(約996万円)以上
走行距離3万km以下の981型ケイマンを英国では選べる。お好みの内容の1台をどうぞ。
英国で掘り出し物を発見
ポルシェ・ケイマン 2.7PDK(英国仕様) 登録:2014年 走行距離:11万1100km 価格:2万7995ポンド(約464万円)
今年の春にポルシェ・ディーラーで整備を受けた、4オーナー車。内容は直接確認した方が良いだろう。車検がもうすぐ切れるため、購入時に改めて一式点検してもらうことをオススメする。オプションが多数載っていて、渋めの条件でも手が出てしまいそうだ。
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みんなのコメント
少し前は中古車がもっと安かったのに…
どんなコアな人を対象にした記事なのか・・
誰か参考になったの?
私には意味のない情報だった。