■なぜトヨタは自動で走る「誰でも最速マシン」を開発したのか
2022年11月13日、トヨタは速く走ることを目的とした「自動運転車(ベースはGRヤリス)」を下山テストコース(愛知県)で世界初公開しました。
なぜ、トヨタはスポーツカーのGRヤリスをベースに「速く走ること」を目的とした自動運転車を開発したのでしょうか。
【画像】凄い…トヨタが開発した「誰でも最速マシン」最速で駆け抜ける実車を見る!(16枚)
自動運転と聞くと「レベル2」や「レベル3」といった段階や「手放しが出来るか」など、クルマ側の安全技術が注目されがちです。
その一方で、自動運転にはいくつかの目的に分けて考えることも重要といえます。
今回、公開されたGRヤリスの自動運転試作車は、トヨタとAI研究を手掛けるTRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)が共同で開発を進めてきました。
過去にTRIは、「GRスープラ」を使って自動ドリフト運転を披露するなど、事故を未然に防ぐ「ガーディアン」というテーマを単純な技術披露ではなくアクティビティを盛り込んだ形で自動運転の研究をおこなっています。
第一弾のGRスープラではドリフトという極限状態を自動運転することで、日常における障害物や路面状況で活用出来る制御技術の向上を図っていました。
今回のGRヤリスはそれの第二弾といえるもので、自動運転で「極限状態における車両制御(セーフティ)」と「安全と走る楽しさ(ファントゥドライブ)」を高次元で両立されることをテーマに開発されました。
これらを具現化するにあたり参考になったのが、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの代表であるヤリ-マティ・ラトバラ氏の運転技術です。
ラトバラ氏の運転技術をもとに前述の「ガーディアン」に加えて、運転がもっと上手になる方法を教える「ドライビング先生」という要素をGRヤリスに盛り込んでいます。
これは人と自動運転が競争することを目的としたものではなく、人と技術が強調することを目指したといい、プロの技術を真似するだけでなく、「なぜ優れた運転が出来るのか」をAIで学習し多様な条件への適応を目指せば、「安全と運転の楽しさ」を同時に向上されることが可能だといいます。
今回のGRヤリスは、MPC (Model Predictive Control )により、将来的なクルマの状態を随時予測してステアリング、ブレーキ、アクセルの操作をおこなう仕様で、本来は設定の無い8速ATを搭載。
さらにコースは事前にAI学習している状況でコースの状態に応じ、最速かつスムーズな走りとなる経路を生成しており、自動運転で「速く走ること」を体感出来ます。
実際に同乗体験をすると、最初にスタッフがコースを1周走行します。
そしてスタート位置に戻り、自動運転で走りはじめますが、まず驚くのはその加速感で、なめらかに8速ATが加速したかと思うと、コーナー直前ではステアリング、ブレーキを上手く自動で制御しお手本のような走りを披露してくれます。
その後も、高速のコーナリングや切り返しが自動運転でおこなわれ、人の操作による溜めや微調整のないスマートな運転を披露しました。
今回の自動運転の範囲は「速く走ること」を目的としており、まさにラトバラ氏のようなプロの走りを自動運転で体感出来るのです。
しかしながら、現状の技術ではラトバラ氏のほうが運転技術としてはまだまだ上だといいます。
今回の体験会には、トヨタの前田昌彦副社長も来ており、自動運転の技術について次のように語ってくれました。
「自動運転技術の向上によって(先進運転支援システムの)トヨタセーフティセンスなどが進化することで交通事故は減少していきます。
しかし、いくらクルマ側の自動運転や安全技術が進化しても、もらい事故など完全には防げないこともあり、本当の交通事故ゼロは難しいです。
それでも事故を減らしていくには、自動車メーカーはさらに技術を向上させることのほかに、交通インフラなど周囲の環境や、ユーザー同士の意識変化も重要です」
※ ※ ※
各自動車メーカーは、日々安心・安全の技術を進化させ続けています。
しかし、歩行者や自転車の無理な横断や、見通しの悪い交差点など外的要因となるさまざまな要素により、完全な交通事故ゼロを達成するのには難しいのも現状です。
そのため、これら自動車メーカー、ユーザー、交通インフラといった三位一体が重要です。
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みんなのコメント
今回惨めにヒョンデに負けて、
レース関係者の何人かクビが飛んだらしいじゃん