■名車か迷車か!? ユニークなデザインのクルマ5選
新型車がヒットするかしないか、その明暗を分ける重要な要素のひとつは外観のデザインです。
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そのため自動車メーカーは優秀なデザイナーを育てたり、有名なデザイナーにデザインを依頼して、時間とお金をかけて外観を決定します。
一方、最近のクルマはあまりデザインで冒険しないイメージがあります。大ヒットしたクルマが出ると、モデルチェンジしても大きくデザインを変えない、いわゆる「キープコンセプト」を狙いますが、ユーザー目線では目新しさがないのも残念です。
そこで、過去に販売された日本車のなかから、大胆なデザインのクルマ5車種をピックアップして紹介します。
●ダイハツ「ミゼットII」
日本が高度成長期に突入していた1957年、町の酒屋さんや八百屋さんの配達の頼りになる3輪の小型トラックの名車ダイハツ「ミゼット」が誕生しました。
それから40年ほど経った1996年、ダイハツから「ミゼット」のデザインとコンセプトを継承した軽トラック「ミゼットII」が発売されます。
「ミゼットII」はさすがに3輪ではありませんが、1996年当時の軽自動車規格よりも小さく設計され、1人乗り(デビュー時。後に2人乗りも追加)で、かつ装備も可能な限り簡素化され、荷物の運搬に特化したクルマでした。
また、「ミゼットII」のユニークさはデザインのみならず、ベルトコンベアに乗ったラインやロボットを使わず、手作りの生産ラインだったこともあります。
これは熟練者の技術を若い人に伝承することと、熟練者の技能を十分に活用する目的からでした。
一見非効率な生産方法でしたが、価格は46万9000円(消費税含まず)からと非常に安く、商売ではなく趣味で買うユーザーもいたくらいです。
●スズキ「ツイン」
1997年にドイツのスマートから2人乗りのマイクロカーが発売され、大きな話題になりました。このスマートの日本版といえるのが2003年に発売された軽自動車スズキ「ツイン」です。
通常、軽自動車の寸法は規格内ギリギリに拡張されて設計されていますが、「ツイン」は手軽に使えるクルマとしての使われ方を想定して、全長はわずか2735mmとなっていました。
デザインはとにかく「丸」を基調としていて、ヘッドライトもテールライトも丸く、全体のフォルムもコロッとしています。
さらに、「ツイン」には軽自動車として初のハイブリッド車もあり、これはエンジンとトランスミッションの間に薄型モーターを配置して、加速時などにエンジンをアシストするマイルドハイブリッドでした。アイドリングストップシステムも採用され、34km/L(10・15モード)の超低燃費を実現しています。
極力シンプルな装備により価格は49万円(5MT、消費税含まず)からと低価格になっていましたが、やはり2人乗りでは販売台数は苦戦し、僅か2年8か月ほどで販売を終了。ちなみにハイブリッド車の価格は129万円からとなっていました。
●日産「マイクラC+C」
2代目日産「マーチ」にはソフトトップのオープンカー「マーチ カブリオレ」がありました。3代目になった「マーチ」にはオープンカーは設定されませんでしたが、2007年に「マーチ」とは別車種という扱いで「マイクラC+C(シープラスシー)」がデビューします。
「マイクラ」は欧州向け「マーチ」の車名で「マイクラC+C」は「クーペ」+「コンバーチブル」、つまり開閉可能なハードトップを持つモデルです。
電動で開閉できるルーフはガラスになっていましたので、屋根を閉じていても開放的な室内を演出。スタイルはルーフを閉じているときが非常にユニークで、横から見た姿は丸みのあるセダンのようです。
「マイクラC+C」は英国日産で生産された輸入車で、エンジンは国内モデルの「マーチ」には搭載されなかった1.6リッターを搭載し、足回りのセッティングも「マーチ」と異なりスポーティな味付けに。
また、2+2のシートはシートヒーター付きの本革であったり、メーターもホワイトパネルを採用、ほかにもバンパー、グリルのデザインなど「マーチ」とは差別化されていました。
「マイクラC+C」の価格は5MT、4ATとも249万9000円(消費税込)、1500台の限定販売です。
■優れたパッケージングの「iQ」とアイデア満載の「エスカルゴ」
●トヨタ「iQ」
スズキ「ツイン」やスマート「フォーツー」はどちらも2シーターですが、同じような車体形状で4シーター化したモデルが2008年発売のトヨタ「iQ」です。
ボディサイズは全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mmと軽自動車よりも短く、この中に4つのシートを収めるには、超効率的なパッケージングが必要でした。
具体的には専用設計されたトランスミッションで前輪をエンジンより前に出し、エアコンも専用に小型化。また燃料タンクを床下に格納したり、運転席・助手席シートバックの薄型化などで、4シーターを実現。厳密には、大人3人と子ども1人の3+1が快適に乗れる限界でした。
また、後席の乗員を追突事故時に保護する、世界初のリヤウインドウカーテンシールドエアバッグを全車に装備しています。
ちなみに「iQ」はアストンマーティンにも供給され、外観を大きく変えて「アストンマーティン・シグネット」として販売されました。
●日産「エスカルゴ」
1987年に発売された日産「Be-1」は、いわゆる「パイクカー」と呼ばれた最初のモデルですが、その第2弾として1989年に発売された「パオ」と同時に登場したたのがライトバンの「エスカルゴ」です。
「エスカルゴ」という名はカタツムリを意味しますが、英文では「S-Cargo」と表記され「Cargo=貨物」のスペイン語読み「カルゴ」と「S」を掛け合わせて「エスカルゴ」になっています。
文字通り車体はカタツムリのようなフォルムとなっていて、荷室高1230mmのスペースは実用的で、ルーフはスタンダードのほか開放感のあるキャンバストップも選べました。
また、荷室の外側は面積が広いため、イラストを入れたり、カラフルにペイントできたりと、宣伝スペースになることも想定していたようです。
室内ではインパネのセンターにメーターを配し、その前にはいまのインパネシフトの先駆けであるATのシフトノブが位置します。
また、シフトノブ、ウインカーレバー、ワイパーレバーはデザインが統一され、ハンドルのスポークも独特な形状にデザインされているなど、内も外も遊び心満載のクルマでした。
※ ※ ※
今回紹介した5車種以外でも、ユニークなデザインのクルマはほかにもあります。
例えばスズキ「X-90」、スバル「ヴィヴィオ Tトップ」、トヨタ「セラ」、いすゞ「ビークロス」など、デザイナーの遊び心が感じられます。もう、こんなクルマが出てくることはないのでしょうか。
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