現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ポルシェ以外のメーカーがスポーツカーにRRレイアウトを採用しない理由とは

ここから本文です

ポルシェ以外のメーカーがスポーツカーにRRレイアウトを採用しない理由とは

掲載 更新
ポルシェ以外のメーカーがスポーツカーにRRレイアウトを採用しない理由とは

 RRならではのメリットはないに等しい

 FF、FR、ミッドシップ、4WDと並んで、クルマ好きなら誰でも知っている駆動方式、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)。このRRは、ミッドシップ以上に少数派で、むかしでいえばVWビートルや、アルピーヌA110、現代ではポルシェ911やルノー・トゥインゴ、スマートぐらいしか見当たらない。

【今さら聞けない】マツダやポルシェが採用するオルガンペダルの利点とは?

 RRはエンジンとミッションを車体後部に集められるため、室内空間が広くとれ、前輪側は、操舵装置オンリーになるので、ステアリングの切れ角を大きく取れることで、FRや4WDのようにプロペラシャフトもいらない。それだけに構造もシンプルで、製造コストや重量面にもメリットがある。

 またリヤタイヤの上にエンジンがあるため、駆動輪に荷重がかかりトラクション性能が優れているのが大きな特徴。ポルシェターボのようなハイパワーを2輪駆動で受け止めるには、RRが適していた。

 さらにリヤが重たいため、強いブレーキをかけてもリヤ側がリフトしづらく、ブレーキ時の動的前後重量バランスが50:50に近く、高いブレーキ性能を確保しやすい。

 一方で、フロントにかかる荷重は少なく、ステアリングの応答性も低いため、アンダーステアが出やすい傾向がある。

 筆者は以前、スバルのサンバートライ(RR)をレーシングカートのトランポ用に保有していたが、荷物をたくさん積んだRR(サンバー)は非常に曲がりづらく、おまけにブレーキもロックしやすいという悪癖だったことをよく覚えている。ちなみにポルシェ911(タイプ930系)なども、最上級のタイヤを選ばなかったり、劣化してきたりするとブレーキの限界は悲しいほど低くなった……。

 それ以上に問題だったのは、コントロール性と直進性。

 オシリが重たいRRは、一旦リヤが流れ始めると、なかなか収束してくれない。FRなら間に合うタイミングでカウンターを当てても、RRではスピンモードに突入して、けっこうひやひやさせられる。日常でもフロントが軽く、車体全体をリヤから押して進むRRは直進安定性がよくない。

 レイアウト的にちょうど正反対になるFF車は、直進安定性がよく、エンジン、ミッション、デフなどのメカをフロントに集中させることができるためスペース効率がよく、室内も広く、フロアもフラットにしやすく、ボディが軽くてシンプル、コストの点でもメリットが多い。このように高効率なレイアウトなので、FFは世界の乗用車の主流になったのだが、RRは直進安定性が悪く、コーナーでも手ごわく乗りにくい……。

 つまりRRは、スペース効率という長所はFFと同等だが、直進安定性では完敗。

 自慢のトラクションも4WDには敵わず、ターンインのしやすさ、ヨーの収束性の良さは、ミッドシップがベストで、ブレーキングはミッドシップも得意。

 コントロール性や素直さはFRとなると、RRならではの優位性はほとんどなく、このままポルシェがケイマンなど、ミッドシップスポーツにシフトしていくとなると、絶滅危惧種の仲間入りにする可能性が大きくなってくるだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ついに高速燃費が向上して価格も安く!! 日産が[第3世代e-POWER]を1年前倒しで投入か!?
ついに高速燃費が向上して価格も安く!! 日産が[第3世代e-POWER]を1年前倒しで投入か!?
ベストカーWeb
日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
日産 [アリア]って実は完成度高すぎる[クルマ]じゃない?
ベストカーWeb
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
ベストカーWeb
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
AUTOSPORT web
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
AUTOCAR JAPAN
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.0289.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.0360.0万円

中古車を検索
トゥインゴの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

250.0289.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

38.0360.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村