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CX-5のエンジン+MX-30のEV技術 マツダCX-60(1) らしい輝きはあるか 長期テスト

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CX-5のエンジン+MX-30のEV技術 マツダCX-60(1) らしい輝きはあるか 長期テスト

初回 マツダ初のPHEV ライバルはボルボやBMW

マツダCX-60は、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)化された4気筒ガソリンエンジンを搭載し、車重は1980kgもある。ボルボやBMWによる、同クラスのライバルになることが目指されている。歴代のマツダの量産車で、最もパワフルな点も興味深い。

【画像】CX-5のエンジン+MX-30のEV技術 マツダCX-60 競合のPHEV SUVと写真で比較 全107枚

車重増を嫌うメーカーらしく、動的能力にフォーカスしたRXビジョンというコンセプト・スポーツカーが、量産化されるのではないかと考えられていた。テールハッピーなRX-7の後を継ぐように。ロータリー・エンジンの復活も噂されていた。

その実現は遠のいてしまったようだが、電動化技術への世界的なシフトは待ってくれない。CX-60の出番となった。

このSUVは、欧州市場では重要なポジションといえる、少し大きめのDセグメントに属する。電動化技術を本格的に採用し、駆動用バッテリーとモーターが載り、パワフルで、荷室は広い。

お値段は少々張る。長期テスト車のようにオプションを少し追加すると、英国価格は5万4000ポンド(約896万円)に接近する。

英国マツダを率いるジェレミー・トムソン氏の発言が思い返される。「わたしたちの願いは、歴史ある主力のプレミアムブランドに並ぶ、信頼を得ることです。ドイツ以外の存在として」

素晴らしい仕上がりのインテリア

実際、インテリアの仕上がりは素晴らしい。素材は厳選され、心に響くような装飾が控えめに施され、実際に押せるスイッチ類が残されている。もちろん、インフォテインメント・システム用の大きなモニターもある。

これは、どこか冷淡にすら感じられるドイツ勢のインテリアとは好対照。標準装備は初めから充実しており、追加したい機能は思い当たらない。

CX-60の全長は4740mmあるが、マツダの魂動デザインという哲学が展開されつつ、存在感が大きい。ボンネットは、2023年に英国へ導入される見込みの直列6気筒エンジンを載せるためか、不自然に長い。ボディサイドはやや単調で、リアには塊感がある。

印象は人それぞれだと思うが、スタイリング重視のクーペ風シルエットではない。車内空間が犠牲になっていないことがうれしい。実用性に疑問はない。友人の引っ越しを手伝う機会が増えそうだ。

ステアリングは適度にクイックで、運転席からの視界は良好。ロンドンの入り組んだ道を走っても、1960年代に建てられた狭い立体駐車場に入っても、まだボディは擦らずに済んでいる。

CX-5のエンジン+MX-30のEV技術

筆者がCX-60で最も驚いたことは、PHEVの採用に当たり、戦略的な協力関係にあるトヨタを頼らなかったこと。モデルとしては、2.5Lのアトキンソンサイクル4気筒エンジンと、18kWhの駆動用バッテリー、2基のモーターを積むRAV4 PHEVに近い。

CX-60のPHEVシステムは、マツダ独自に開発が進められた。内燃エンジンはCX-5にも積まれている2.5L 4気筒がベース。電動化技術は、バッテリーEV(BEV)となるMX-30 EVのモノを展開しているという。

CX-5もMX-30も、ドライブトレインはモデルの強みとはいえなかった。内燃エンジンは自然吸気でパワーが伸びず、燃費は今ひとつ。駆動用バッテリーは容量が小さく、航続距離が短い。

ところが、2つを組み合わせることで、現代のこのクラスのPHEVとして充分な能力を生み出した様子。車重とは裏腹に、駆動用モーターは鋭い加速力を発揮する。内燃エンジンのサウンドは単調だが、PHEVとして主役ではないことの表れといえる。

PHEVだから、燃費には期待がかかる。WLTP値でのカタログ燃費は66.6km/Lと、相変わらず現実離れしているものの、実際にはどの程度の数字が得られるだろうか。

マツダらしい輝きを放てるのか

駆動用バッテリーでの航続距離は、62kmがうたわれている。SUVの一般的な使われ方として、充分な距離といえる。平日の通勤はEVモードで、週末の長距離レジャーは内燃エンジンと共用で、という走り方が想像できる。

筆者の場合、通勤距離は往復で19km。最近は週3回の出社だから、充電無しで1週間もつかもしれないと期待したが、実際に走れる距離はカタログ値の半分に近かった。真冬に向けて、もっと短くなると考えて良いだろう。

職場で充電することで、基本的には内燃エンジンに頼らず通勤できている。それでも、今のところ平均燃費は14.0km/L程度。燃費の優れない4気筒を眠ったままにするべく、気を使って運転しても。ガソリン価格は下がらないものだろうか。

マツダが主張するように、CX-60がプレミアムSUVに属するモデルであるなら、エネルギー効率以外にも比較される分野は多岐に渡る。マツダらしい輝きを放てるのか、これから数か月をかけて確かめてみたい。

セカンドオピニオン

CX-60の発表会へ出向いた時、マツダが抱く期待の大きさが伝わってきた。CX-5をこれまでの成功モデルとするなら、CX-60はその未来を受け継ぐモデル。持続可能性に対するマツダの「マルチソリューション」戦略の一部をなしている。

これからの成功の糸口として、このSUVが背負うものは大きい。フェリックス・ペイジも気に入る仕上がりであることを期待しよう。 Piers Ward(ピアス・ワード)

テストデータ

テスト車について

モデル名:マツダCX-60 2.5PHEV AWD タクミ(英国仕様)
新車価格:4万9520ポンド(約822万円)
テスト車の価格:5万3370ポンド(約885万円)

オプション装備

コンビニエンス&ドライバー・アシスタンス・パッケージ:2100ポンド(約34万8000円)
パノラミック・サンルーフ:1000ポンド(約16万6000円)
ロジウム・ホワイト塗装:750ポンド(約12万4000円)

テストの記録

燃費:66.6km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

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