顧客満足度(CS)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D.パワージャパンは「2022年日本自動車初期品質調査」の結果を発表した。
この日本自動車初期品質調査は、新車購入者を対象に年1回実施されており、今回で12回目となり、本調査は2021年に調査内容を刷新し、新調査項目では2回目の実施となる。
あっぱれ! 新車の初期品質調査でダイハツが総合1位! どうしちゃったんだトヨタ 国産最下位の衝撃!!
今年の日本自動車初期品質調査で総合1位に輝いたのはなんと!? ダイハツだった。古くは、内装の品質ではトヨタ、技術では日産と言われてきたが、ダイハツがトヨタを抜いて1位になるとは……。
さっそく、ランキングの中身を見ていこう。
文/ベストカーweb編集部
写真/ベストカーweb編集部、J.D.パワージャパン
■ダイハツが総合1位を獲得
ダイハツが首位、トヨタが国産8メーカーのなかで最下位となっていることに注目。出典:J.D.パワー「2022年日本自動車初期品質調査」
まず、「J.D. パワー 2022 年日本自動車初期品質調査」がどんなものなのか、説明しておきたい。
年に1回、新車購入後2~13ヵ月経過したユーザーを対象に、所有する自動車の不具合経験を9カテゴリー221項目について聴取し、自動車の初期品質に関するユーザー評価を明らかにする調査。カテゴリーは「外装」、「走行性能」、「装備品/コントロール/ディスプレイ(FCD)」、「運転支援」、
「インフォテインメント」、「シート」、「空調」、「内装」、「パワートレイン」の9カテゴリー。
すべての不具合項目はクルマ100台当たりの不具合指摘数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、スコアが低いほど不具合指摘が少ない(品質が高い)、つまり不具合箇所が少ないほと上位にランクインするというわけだ。
■実施期間:2022年5月~6月
■調査対象:新車購入後2~13ヵ月経過したユーザー(18歳以上)
■調査方法:インターネット調査
■調査回答者数:20,797
新車の初期品質調査というと、近年では、壊れるとか、動かないといった問題ではなく、分かりにくいとか、使いにくいといった設計上の問題がメインになりつつあり、このような市場変化に対応し、J.D.パワーは調査項目を刷新したそうだ。
こうした調査の結果、「J.D.パワー2022年日本自動車初期品質調査」では、ランキング対象ブランド中、最も不具合指摘が少なかったのはダイハツ(116PP100)で、初の総合1位を獲得した。
以下、ブランド別ランキングの順位を見ていただきたい。スコアが低いほど不具合指摘が少ない(品質が高い)ということになるが、1位のダイハツが116PP100と、2位のホンダ(126PP100)に10ポイントの差を付け、最大のライバルメーカーである3位のスズキ(131PP100)に対しても15ポイント差を付けた。
2022年の業界平均は138PP100(車両100台当たり138箇所の不具合指摘数)で、2021年の137PP100とほぼ同水準だった。
マスマーケットブランド平均が137PP100なのに対して、ダイハツは21PPも少ない点は特筆すべき。たしかにダイハツの品質に対する評価は最近うなぎのぼりで、新しいプラットフォームDNGAを採用しダイハツ主導で開発したトール/ロッキー(本家トヨタはルーミー/ライズ)の評価も高く、販売(トヨタのほうが圧倒的に売れているが)も絶好調。
軽自動車のアトレー/ハイゼットカーゴ、ムーヴキャンバスについてもユーザー目線に立った愚直で丁寧なクルマ作りをしているので納得の結果だと思う。
「どうしちゃったんだ!」と言いたくなるのは、トヨタがスバルと並んで最下位の8位(145PP100)になっていることだ。
■セグメント別でもダイハツが圧倒! 4セグメントで首位を獲得
セグメント別のTOP3。ダイハツ車は4セグメントで1位を獲得。出典:J.D.パワー「2022年日本自動車初期品質調査」
しかも、ダイハツはセグメント別ランキングでも8セグメント中、4セグメントで1位となった。ダイハツが開発・生産・販売している、ロッキー(トヨタライズ)、トール(トヨタルーミー)が1位となり、1位となったトヨタパッソもダイハツの開発・生産なので、それを含めると5セグメント1位となり、軽自動車、コンパクトクラスでは圧勝ということになった。
ダイハツ独自開発のシリーズハイブリッド、e-スマートハイブリッドを搭載したロッキープレミアムG HE
【セグメントアワード】
軽ハイトワゴン第1位:ダイハツキャスト
軽スーパーハイトワゴン第1位:ダイハツムーヴ キャンバス
コンパクト第1位:トヨタパッソ
コンパクトSUV第1位:ダイハツロッキー
ミッドサイズ第1位:スバルインプレッサ
ミッドサイズSUV第1位:スバルフォレスター
コンパクトミニバン第1位:ダイハツトール
ミニバン第1位: ホンダステップワゴン
■ラグジュアリーブランドではレクサスが1位
ラグジュアリーブランドではレクサスがメルセデス・ベンツに6ポイント差で首位に輝いた。出典:J.Dパワー「2022年日本自動車初期品質調査」
ラグジュアリーブランドでは、BMW(176PP100)、メルセデス・ベンツ(175PP100)を抑えて、レクサス(169PP100)が、不具合指摘が最も少なく、ランキング1位となった。
ちなみに2021年の同調査ではレクサスがブランド首位(111PP100)、マスマーケットブランドではダイハツが、不具合指摘数が最も少なく、1位(120PP100)となっている。
■不具合指摘が多い箇所はどこ?
最も多い不具合指摘項目は、車線逸脱ワーニング/レーンキープアシストの「 警告がわずらわしい」だった。写真はイメージです
さて、気になるのは不具合指摘が多かった箇所。9カテゴリー中、最も不具合指摘が多かったのは「インフォテインメント(24.8PP100)」だった。
「車載ナビゲーションシステム -分かりにくい/使いにくい」、「タッチスクリーン/ディスプレイ - 使いにくい/操作しにくい/分かりにくい」、「車載音声認識コマンドを認識しないことがよくある/分かりにくい/使いにくい」などの不具合指摘が多かった。
インフォテインメントは、ブランド間の不具合指摘数の差が最も大きいカテゴリーで、最少は17.6PP100、最多では84.3PP100と、66.7ポイントもの差がみられた。
最も多い不具合指摘項目は、車線逸脱ワーニング/レーンキープアシストの「 警告がわずらわしい」となり、2年連続で最多不具合指摘項目だった。
2021年に比べると不具合指摘数は減少し(2021年:6.3PP100→2022年:5.6PP100)、機能の品質改善は進んでいるとみられるものの、依然として多くのユーザーが不具合を感じている。
ちなみに米国で行われている同調査(J.D. Power 2022 U.S. Initial Quality StudySM)でも、この項目の不具合指摘数は上位項目だが、米国の調査結果(4.1PP100)に比べても日本の不具合指摘数は多いという。日本の道路、交通事情に即した機能の改善が望まれる。
新型車のオートライト義務化が2020年4月1日から始まった。写真はイメージです
また、オートライト義務化(2020年4月以降に発売となる新車、継続生産車は2021年10月~)へのメーカーの対応が不具合指摘の増加要因となっている。
「車外ライトのスイッチ類が分かりにくい/使いにくい/場所がよくない」という不具合指摘は2021年の1.3PP100から1.6PP100へと増加しており、関連するコメントとして「点灯/消灯タイミングの不自然さ」や「ライトを完全にオフにできない」などが挙げられている。
現在のオートライト機能がユーザーの利用感覚に合わないとする不具合指摘であり、機能そのものの改善に加え、販売時のユーザーへの仕様説明も改善が望まれる。
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