現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 働くクルマにエコ技術は不要? 「ハイエース&キャラバン」にハイブリッド車を設定しないワケ

ここから本文です

働くクルマにエコ技術は不要? 「ハイエース&キャラバン」にハイブリッド車を設定しないワケ

掲載 更新 16
働くクルマにエコ技術は不要? 「ハイエース&キャラバン」にハイブリッド車を設定しないワケ

走行距離の多いクルマなのになぜ?

 地球温暖化に端を発するCO2排出量規制強化の動きから、乗用車はもちろん商用車にまで電動化のトレンドが波及しているにも関わらず、電動車の設定が皆無に等しいカテゴリーが存在する。

国内での販売熱望! 日本車なのに未発売のカッコいいクルマたち

 その一つが、トヨタのハイエース(レジアスエース)や日産NV350キャラバンといったミッドサイズのキャブオーバーバンだ。 世界は地球温暖化対策の流れだが、この両車になぜ、ハイブリッドカーやPHV、EV、FCVといった電動モデルが設定されないのかを考えてみたい。

車載スペースがを優先的に設計

 やはり第一は、確実に荷室容量が減るからだろう。

 エンジンがなくパワートレインのレイアウト自由度が高いEVやFCVでも、巨大な駆動用バッテリーや高圧水素タンクを搭載しなければならない。

 しかも、商用バンは基本的に荷物を積んで走るため加速時の負荷が大きく、最低でも1日電気を充電(または水素充填)せずに済むだけの航続距離を確保するには相応の容量が必要だ。ハイブリッドカーやPHVでも、燃費低減に寄与できるだけのモーター走行領域を確保しようとすればやはり、むやみに駆動用バッテリーを小型化することはできない。

積載フルで入り込めない電動化

 ふたつ目の理由としては、法的に認められる「最大積載量」の問題がある。

 最大積載量は、”車両総重量から車両重量(=キャブとシャシー、架装の合計)と乗車定員×55kgを引いた数値”だ。トラックがそうであるように、現実的には車格に応じて車両総重量=クルマが耐えられる重さが決まってくる。

 ハイエースやNV350キャラバンの場合は車両総重量が3トン前後となるわけだが、その中で車両重量が重くなり、乗車定員が増えるほど、最大積載量は減ってしまうのが実情。従って、車両重量の増加が避けられない電動化は、最大積載量の減少に直結するため、多くの荷物を積みたいユーザーのニーズに逆らうことになってしまうのだ。

コスト問題解決の大転換はあるのか

 最後の理由として、イニシャルとランニング、双方のコストの問題がある。

 ハイエースやNV350キャラバンは中小零細企業や個人事業主のビジネスユース、あるいは趣味で使う個人のユーザーが多いため、車両本体価格が高くなるのはNG。動力性能と燃費の両面で明らかにディーゼルエンジンよりも不利であると知りながら、ガソリンエンジンを設定するのはそこに大きな理由がある。

 また、総走行距離が数十万km、あるいは百万km台に達することも珍しくない両車の場合、乗用車では考えられないような劣化や故障が発生するリスクを想定する必要がある。そして電動化は高額な部品の点数増加に直結するため、それらが故障すれば整備費も高額になりがち。

 つまり、どれほど電動化によって燃費が改善され燃料費を節約できても、車両本体価格や整備費の上昇分を打ち消して余りあるほどでなければ、ユーザーは買ってくれない、というわけだ。

 以上のように、ハイエースやNV350キャラバンを電動化するには、何よりもまず駆動用バッテリー、またその他の電動パワートレイン部品を含めたシステムにおいて、現状よりも大幅にコストを下げつつ小型軽量化する必要がある。その道のりは決して近くも平坦でもないように思えるが、果たして…?期待せざるを得ない技術革新がそこにはやってくるのかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
ベストカーWeb
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
AUTOSPORT web
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
AUTOCAR JAPAN
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE

みんなのコメント

16件
  • 軽やセレナでもあったマイルドハイブリッド・マイクロハイブリッド(=オルタネータ・スタータの機構を流用or兼任させる形のヤツ)辺りならなんとかいけそうだし、少しは燃費よくなりそうだけど……やっぱりランニングコストや故障のリスクを考えると、ってなるのかな?
  • ガソリン軽油は経費なのだ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

211.6426.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60.0565.0万円

中古車を検索
NV350キャラバンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

211.6426.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

60.0565.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村