現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 欧州に渡ったスカイライン!? GT-R復活前夜の特別な1台とは

ここから本文です

欧州に渡ったスカイライン!? GT-R復活前夜の特別な1台とは

掲載 更新 12
欧州に渡ったスカイライン!? GT-R復活前夜の特別な1台とは

■目立たない存在ながら「いぶし銀」の魅力があるGTS-R

 1957年、プリンス自動車の前身である富士精密工業から発売された初代「スカイライン」は、アメリカ車を思わせる重厚なデザインに、当時としては先進的な技術が注ぎ込まれたミドルクラスセダンです。

【画像】 超カッコイイ! 新型「Z」の正体が明らかに!

 そして、プリンス自動車になって登場した2代目、日産と合併してから最初に発売された3代目は、レースで活躍することでスカイライン=高性能モデルというイメージを定着させました。

 その後、オイルショックや排出ガス規制の強化もあり、一旦はスペック的に目をみはるものはありませんでしたが、1980年代になるとターボエンジンの登場により一気に高性能化が進みます。

 しかし、スカイラインシリーズのみならず、日産の中大型車を支えてきたエンジン「L型」も、さすがに設計の古さは否めなりました。

 そこで、1985年に発売された7代目スカイラインからは、新世代のエンジン「RB型」を搭載。なお、7代目ということで「7th(セブンス)」の愛称で呼ばれました。

 RB型エンジンでは初代と2代目スカイラインGT-Rに搭載された「S20型」以来となる、直列6気筒DOHCが復活。さらに高性能な「RB20DET型」ターボエンジンも加わります。

 また、スカイラインは1985年から始まったレース「全日本ツーリングカー選手権」に本格参戦していて「グループA」と呼ばれるカテゴリーで争っていました。

 このグループAでは変更できる部品が厳しく制限されており、ノーマルの状態でのポテンシャルがそのまま戦闘力の向上につながりました。

 そのため、日産は1987年にレース用のベースに特化した「スカイラインGTS-R」を800台限定で発売します。

 GTS-Rには専用のターボチャージャー、エキゾーストマニホールドなどが採用され、シリーズ最強の210馬力を発揮する「RB20DET-R型」エンジンを搭載。

 外観では固定式のフロントスポイラーや、当時としては大型のリアスポイラーを標準装備するなど、ひと目で只者ではないとわかるルックスに変貌しています。

 そして、発売年の1987年シーズン終盤から、全日本ツーリングカー選手権へと投入されました。

■スカイラインGTS-Rが残した功績とは!?

 1987年当時の全日本ツーリングカー選手権には、トヨタ「スープラ」、フォード「シエラRS500コスワース」三菱「スタリオン」など、強豪がひしめく状況でした。

 そんななか、スカイラインGTS-Rはライバルと対等以上の戦い見せ、1989年のシーズンでは長谷見昌弘/A.オロフソン組が3勝を挙げ、シリーズタイトルを獲得。

 辛くもチャンピオンとなったスカイラインGTS-Rでしたが、他を圧倒するようなパフォーマンスではなく、1990年からは16年ぶりに復活したスカイラインGT-Rで参戦します。

 スカイラインGT-Rは無敵の強さで連勝を重ね、いまでは伝説にまでなりました。そうして役目を終えたスカイラインGTS-Rには、実はもうひとつのストーリーがあります。

 それは、スカイラインでは初となる海外のレース「欧州ツーリングカー選手権」への参戦です。

 このツーリングカー選手権は、市販車のポテンシャルを証明することで、販売増に繋がるという効果が期待できました。

 スカイラインGT-Rが強さを見せ、約500万円という高額なモデルながら人気となったのは、まさにレースの効果です。

 では、欧州をはじめ輸出されなかったスカイラインが、なぜ欧州ツーリングカー選手権に参戦したのでしょうか。それは後の「ル・マン24時間耐久レース」への布石でした。

 1988年シーズンを戦うためにイギリスに「NME(日産モータースポーツ・ヨーロッパ)」という拠点を設け、文字どおり欧州を転戦。

 マシンは日本のグループA車両と同等の仕様で(排気量は異なる)、また、イギリスで仕立てていたので、電装系やシートなどのパーツ類も日本の仕様とは異なっていたといいます。

 そうして欧州ツーリングカー選手権を戦ったスカイラインGTS-Rは、最高位はスパ・フランコルシャン24時間レースの6位と、大きな結果は残していません。

 わずか1シーズンの戦いでしたが、日産ワークスによる後のル・マン24時間耐久レース挑戦への体制作りに、多大な貢献をしました。

※ ※ ※

 歴代スカイラインの多くは、レースで輝きました。スカイラインGT-Rは、その集大成といえます。

 しかし、このスカイラインGTS-Rがあったからこそ、伝説につながったのではないでしょうか。

こんな記事も読まれています

ルクレール、”チームオーダー無視”のサインツJr.を批判「優しくすると、いつも損をするんだ!」
ルクレール、”チームオーダー無視”のサインツJr.を批判「優しくすると、いつも損をするんだ!」
motorsport.com 日本版
F1 Topic:ホテルでも空港でも遊べる“ギャンブルの街”ラスベガス。気になる賭け率とガスリーの躍進
F1 Topic:ホテルでも空港でも遊べる“ギャンブルの街”ラスベガス。気になる賭け率とガスリーの躍進
AUTOSPORT web
異形の「センチュリーロイヤル」!? 唯一無二の“Sワゴン型”なぜ存在?
異形の「センチュリーロイヤル」!? 唯一無二の“Sワゴン型”なぜ存在?
乗りものニュース
クルマはいまやボディだけじゃなくてシートもコーティングが基本! 車内で飲食するなら「布シートコーティング」は必須だった
クルマはいまやボディだけじゃなくてシートもコーティングが基本! 車内で飲食するなら「布シートコーティング」は必須だった
WEB CARTOP
エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
レスポンス
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
motorsport.com 日本版
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
motorsport.com 日本版
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
レスポンス
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
VAGUE
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
くるまのニュース
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
バイクのニュース
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
AUTOSPORT web
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
Auto Messe Web
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
モーサイ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
motorsport.com 日本版
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
バイクブロス
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
THE EV TIMES
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
レスポンス

みんなのコメント

12件
  • この最初のR31の画像にある「GTオートスポイラー」
    これこそが、現代のスーパーカー等で盛んに使われている
    「アクティブスポイラー」の嚆矢なんでしょうかね…?

  • 31はアテーサE-TSの試作・実証試験と
    スタッフの育成には貢献したのかな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

547.5632.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.02050.0万円

中古車を検索
スカイライン ハイブリッドの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

547.5632.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.02050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村