昨年(2019年)、新車販売が伸びなかったなか、好調な販売を続けているのが中古の軽自動車販売。
そんな人気の中古軽自動車を今選ぶとしたら、どのモデルがお薦めか? 中古車の流通、販売店に精通する萩原文博氏が、今買いの中古軽を教えます!
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※本稿は2020年2月のものに適宜修正を加えています。各車流通量の目安……★:50台以下、★★:100台以下、★★★:500台以下、★★★★1000台以下、★★★★★:1000台以上。なお、本企画中の流通台数は2月上旬の大手中古車サイト調べのもの
文:萩原文博/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年3月26日号
■01.中古軽自動車が売れている理由は?
2020年、冒頭から自動車業界には暗雲が立ちこめた。それは、登録車・軽自動車ともに2019年の新車販売台数が、対前年比マイナスとなったのだ。
10月に消費税の増税があり、自動車の税制も変わったことが影響していると考えられるが、登録車1.9%減、軽自動車0.7%減は非常に危惧される状況だ。
しかし2020年はトヨタヤリスやホンダフィットをはじめ、各自動車メーカーの基幹車種が次々と登場する予定。こうしたニューモデルの好調な販売によって登録台数増を狙いたいところだろう。
そんな逆風が吹くなかで、250万4576台と対前年比2.2%の成長を見せたのが軽乗用車の中古車だ。そこで今回は、どうして中古車の軽乗用車がプラス成長となったのかの理由を検証しつつ、今狙い目の軽自動車を紹介したいと思う。
まずは、本当に軽自動車の中古車が人気なのかを関西にある販売店に聞いてみた。この販売店は中古車だけでなく、新車も扱っている。
店長に聞いてみると、「現行型だけでなく、年式の新しい中古車の軽自動車はコンパクトカーと室内空間の広さ、そして走行&安全性能は遜色ないレベルとなっている。
そのうえ、税金などのランニングコストが半額ですから、クルマに特にこだわりのない人やどうしても5人乗せないとならないという人以外は登録車に乗るメリットがなくなっていると思います」と話してくれた。
軽自動車の中古車が人気の理由としてまず挙げられるのが、ランニングコストの安さということ。そして、コンパクトカーと遜色のない室内の広さや走行性能と安全性能の高さ。
もちろん、良質な中古車が予算100万円以下で購入できるのも好調な理由だ。
2019年中古軽乗用車販売台数
■02.中古軽の推しは現行型!この7モデルが狙い目!
それでは、現在中古車で購入できる軽乗用車のなかから、お薦めの7車種をピックアップしよう。今回ピックアップする軽乗用車には条件を設けた。
中古車の記事となると、相場にプライオリティ(優先順位)を置いて紹介することが多い。しかし、ココで紹介するクルマは、運転支援システムが装着され、衝突被害軽減ブレーキ、そしてペダル踏み間違い防止機能が装着されている車種に絞り、さらにお買い得感のあるモデルを紹介することにした。
日々テレビやインターネットのニュースでペダル踏み間違い防止による自動車事故が絶えない。しかもそういう事故を起こしているクルマは年式が進んでいて、こういった運転支援機能が装着されていないクルマであることが多い。
過信は禁物ではあるが、予算をちょっとプラスすることで、自分だけでなく家族も安心できるということであれば、運転支援システムが充実した中古軽乗用車を購入したほうが、どれだけ幸せで充実したカーライフを送れるだろうと考えた結果からだ。
まず、現行型軽乗用車の中古車でお薦めしたいのは、ホンダN-BOX。言わずと知れた軽自動車の王者で、5年連続して新車販売台数ナンバー1に輝いた大ヒットモデルである。
●ホンダ N-BOX(年式:2017年~)
オプション装備が多い個体は中古車のほうが価格は高いが、新車よりも50万円安い中古車も見つかる
・中古相場:68.5万~274.8万円(新車時価格:141万1300円~212万9600円)
・買い得度:★★★★★
・流通量:★★★★★
現行型N-BOXはシャシーやエンジンを一新。さらに軽自動車として高速道路などで追従走行が可能なアダプティブクルーズコントロールなどの機能を含むホンダ独自の先進運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に標準装備するなど、走行性能&安全性能そして室内の広さや利便性さらにセンスのいいインテリアなど、ネガティブなポイントが見当たらないほど。
現行型N-BOXは2017年に登場したが、すでに約4000台の中古車が流通している。そのうち未使用中古車と呼ばれるものが、約2900台と約72.5%を占めている。
グレードでは、カスタムG Lホンダセンシングや標準車のG Lホンダセンシングが中心となっている。
続いて紹介するのは2019年にフルモデルチェンジしたばかりの、軽スーパーハイトワゴンのパイオニア、ダイハツタントだ。優れた乗降性と利便性を両立したミラクルオープンドアを継承しながら、ボディ剛性を向上させ、走行性能や静粛性を高めたモデルだ。
●ダイハツ タント(年式:2019年~)
お手頃な登録ずみ未使用中古車も豊富に選べる状況にあるのが魅力的
・中古相場:100万~228万円(新車時価格(スマアシレス車を除く):133万1000円~)197万4500円
・買い得度:★★★★☆
・流通量:★★★★★
しかも運転支援システムはダイハツでは最新型の次世代型スマートアシストを搭載し、ターボ車は高速道路での追従走行を可能としている。
2019年に販売開始したフレッシュなモデルながら、現在中古車の流通台数は約1380台。そのうち約86%が未使用中古車となっている。グレードでは、ターボエンジンを搭載したカスタムRSが最も多く、カスタムXが続きカスタム系の中古車が目立つ。
さらに軽自動車の主力モデルとなっているスーパーハイトワゴン系車種からスズキスペーシアを取り上げたい。
●スズキ スペーシア(年式:2017年~)
現行型は登場から2年になり、新車より50万円程度安い中古車も出ている
・中古相場:75万~245万円(新車時価格:129万8000円~194万3700円)
・買い得度:★★★★☆
・流通量:★★★★★
現行モデルは2017年に登場。さらに2018年にはスペーシアギアを追加し、アクティブなイメージを強めたのが特徴だ。運転支援機能はデュアルセンサーブレーキサポートを核としているが、アダプティブクルーズコントロールは採用されていない。
現在、現行型スペーシアの中古車は約3580台流通していて、そのうち約64%が未使用中古車となっている。流通している中古車のグレードはカスタムXSが最も多く、次いで標準車のG、X、ギアXZが僅差で続いている。
そして2019年にフルモデルチェンジしたばかりの日産デイズ、三菱eKクロスは、日産と三菱の合弁会社NMKVが手がけた軽自動車だ。
●三菱 eKクロス(年式:2019年~)
姉妹車のデイズより流通量は少ないが、未使用中古車の割合は約74.8%と多い
・中古相場:100万~198万円(新車時価格:144万1000円~179万8500円)
・買い得度:★★★★☆
・流通量:★★★☆☆
基礎部分から一新し、デザインはメーカーごとに個性を際立たせた。また、高速道路などでの同一車線内半自動運転を可能としたプロパイロット(三菱はマイパイロット)を一部グレードに装備し、軽自動車トップレベルの充実した運転支援システムを誇っている。
中古車の流通台数は日産デイズが約1380台で、そのうち約37%が未使用中古車。また三菱eKクロスは約450台流通していて、約74.8%が未使用中古車となっている。
●日産 デイズ(年式:2019年~)
2019年に登場したばかりのモデルながら、新車より40万円近く安くなっている
・中古相場:86万~200万円(新車時価格:129万6900円~181万1700円)
・買い得度:★★★★☆
・流通量:★★★★★
続いては軽ハイトワゴンのパイオニア、スズキワゴンR。現行型は2017年に登場したが、中古車は約4660台もあり、そのうち約850台が未使用中古車となっている。
●スズキ ワゴンR(年式:2017年~)
現行型は登場から2年が経過し、特に割安感が出ているのがこのワゴンR
・中古相場:46万~180万円(新車時価格:109万8900円~177万6500円)
・買い得度:★★★★★
・流通量:★★★★★
そして最後は、2018年に登場した現行型ジムニー。中古車は約300台流通していて、約3割は未使用中古車。新車だと納車まで1年半待ちなので、すぐにほしい人にお薦めだ。
●スズキ ジムニー(年式:2018年~)
新車の納車待ちが1年以上の場所もあるため中古価格は高いが、すぐに買える
・中古相場:169万~269万円(新車時価格:148万5000円~187万5500円)
・買い得度:★★★☆☆
・流通量:★★★☆☆
■03.現行型じゃなくてもお薦めの中古軽あり!
軽自動車の中古車は現行型ばかりではない。当然のことながら、歴史の長いモデルの中には旧規格のモデルや残念なことにエッジの立ったコンセプトだったために、ひと世代で生産を終了した絶版モデルなど、さまざまなモデルが流通している。
ここでは、旧型でも運転支援システムをはじめとした安全装備が充実した2モデルと現行型にはない魅力を持った旧型&絶版モデルを3モデル紹介する。
旧型中古車のお薦め5モデル
旧型でも安全装備が充実している軽乗用車として、まず紹介するのは、2014年1月から販売開始され2019年12月にフルモデルチェンジを行ったばかりの初代スズキハスラー。
昨年(2019年)末に旧型になったばかりの旧型ハスラー
ワゴンRをベースとしたハイトワゴンのクロスオーバーモデルで、実は本格的な悪路走破性も兼ね備えたモデルだ。
初代ハスラーで狙い目なのは、2015年12月に行われた一部改良後のモデル。この時にXとXターボは運転支援システムがステレオカメラを採用したデュアルカメラブレーキサポートとなったのだ。
その後JスタイルIIなどの特別仕様車に装着車は拡大している。初代ハスラーの中古車は現在、約3180台流通しているが、2016年式以降のデュアルカメラブレーキサポート装着車を購入すれば満足度はかなり高くなる。
続いて紹介するのは、2019年にフルモデルチェンジしたダイハツタント。旧型タントは2013年に登場し、運転支援システムは2015年4月にスマアシII、2016年11月スマアシIIIにアップデートされている。
先代タントは運転支援システムを装備しながら割安な中古車が出てきている
理想はスマアシIIIだが、スマアシIIでも充分満足できる。旧型タントの中古車は約4620台と豊富なので、SAIIもしくはSAIIIと書いてある中古車を積極的に選びたい。
ここからは、運転支援系は目をつぶって、現行モデルにはない魅力を持つ3車種を紹介する。まず、ダイハツコペン。
丸目のこのスタイルのほうがイイ! という声も多い旧型コペン。今なら流通量も多く選びやすい
旧型となる初代コペンは2002年~2012年まで販売されたロングセラーモデル。搭載されているエンジンは現行モデルにはない、直列4気筒ターボというのが魅力だ。旧型コペンの中古車は約750台も流通し、なかには200万円近い高額な中古車もあるほどの人気を誇る。
続いて紹介するのはダイハツミラジーノ。最終モデルは2004年~2009年に販売された。
ダイハツ ミラジーノ
一世を風靡したレトロ調モデルの最後のモデルで、フロントグリルをはじめ、フロント&リアバンパー、サイドガーニッシュにメッキパーツをあしらい、その上質感は古さを感じさせない。最終型ミラジーノの中古車は約900台と非常に豊富で、安さを感じさせない魅力がある。
最後に紹介するのは、ホンダバモス。
ホンダ バモス。上のミラジーノと合わせ、今や中古車でしか選べないのが魅力
最終型のバモスは1999年~1918年まで販売された。エンジンをミドシップに搭載し、床面の低さが特徴だった。販売期間が長く、中古車も約860台と豊富。車中泊仕様などカスタマイズが手軽に楽しめる1台だ。
【番外コラム】現行型のハスラー、N-WGN、ルークスの中古は今後注目
2019年に登場したデイズやN-WGN、タントといった軽乗用車は小型車に匹敵する走行&安全性能を実現していて、軽自動車維新の年であると感じさせた。
さらにそれを強く印象づけたのが年末に発表され、2020年11月から発売を開始した新型ハスラーだ。構造用接着剤を採用し、走行安定性は現在販売されている軽乗用車中でトップと思うほどだった。
今年1月に発売したばかりの現行型ハスラー
今後もeKスペースやルークスといった新型車が発売され、中古車市場はさらに活気づくはずだ。
2019年8月登場ながら生産停止していたため中古車はほぼなかったN-WGN
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