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730万円からのトヨタ新型「クラウン」発売! 再び「セダン」復活のワケは? 全長5m超えボディ&後席重視な「新しいセダン」とは

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730万円からのトヨタ新型「クラウン」発売! 再び「セダン」復活のワケは? 全長5m超えボディ&後席重視な「新しいセダン」とは

■トヨタとして2車種目のFCEVを設定した新型クラウンセダン

 トヨタは新型「クラウンセダン」を2023年11月13日に発売すると発表しました。
 
 15代目クラウン(セダン)が姿を消してから約1年半ぶりにセダンがラインナップされる16代目クラウン。
 
 どのような経緯でクラウンセダンは誕生したのでしょうか。

【画像】「えっ…!」これがトヨタの「正統派」セダン! 全長5m超えモデルを画像で見る! (50枚以上)

16代目クラウンのキーワードは「あなたのフラッグシップ」です。

 それを体現すべく4つのボディタイプが設定されていますが、クロスオーバー、スポーツに続いてセダンが追加されました。

 そもそも、16代目はセダンからの決別がコンセプトだったはずですが、なぜ今回もセダンが設定されたのでしょうか。

 それは3年前の商品化決定会議の話でした。豊田社長(当時)は開発陣から先代のマイナーチェンジモデルのデザインスケッチを見せられ、「本当にこれでクラウンが進化できるのか?」と疑問を呈し、何とボツに。

 商品化決定会議はよほどの事が無ければ通過するのが従来のトヨタだったが、豊田氏はそうはさせなかったのです。

 その場にいたMSカンパニープレジデント(当時)の中嶋祐樹氏は「疑問と言うより“怒り”に近かった」と語っています。

 そして、豊田社長は「マイナーチェンジを飛ばしてもいいので、もっと本気で考えてみてほしい」と、16代目の開発がスタートしたといいます。

 元々15代目のチーフエンジニアとして前任の秋山晃氏から受け継いだ皿田明弘氏(当時)は、ここから16代目のチーフエンジニアとなったのです。皿田氏は当時のことをこのように振り返っています。

「私はここが商品化決定会議デビューだったので、『こういう事もあるんだ』と言うのが素直な気持ちです。

 この時、15代目はデビューして2年くらいしか経っていなかったので、『まずは、シッカリと育てよう』と言う気持ちはありましたが、心の中には『将来クラウンをこうしたいよね』と言う構想が無いと言えば嘘になります。

 それを社長に見事に見破られた感じでしたね」

 かつてクラウンは高級車の大名詞でしたが、ここ何代かはレクサスブランドの日本展開。

 トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の存在、高級車の立ち位置の変化、更には輸入車の躍進などにより、その立ち位置が危ぶまれていたのも事実でしょう。

「ボツになり、『じゃあ、どうするの?』と言う心の叫びはありましたが、この機会に『クラウンをゼロから考え直す』に携われるのは、むしろ『幸運なんじゃないか』と思いました。

 それが私だけでなくクラウンチーム全員がそうでした。皆、心のどこかに『クラウンは今のままでいいのか?』と言う想いがあったので、悩むよりも『やろう!!』と言う雰囲気の方が強かったですね」(皿田氏)。

 開発陣は実務に入る前に「クラウンとは何か?」を徹底的に見つめ直しました。

 そこでわかった事は、クラウンが歴代受け継いできた事は、クルマの形や駆動方式、搭載エンジンと言ったロジカルな部分ではなく、「もっといいクラウンにしたい」と言うパッションの部分だった事でした。

 そこで開発陣が決断したのは「セダン」、そして「日本専用車」からの脱却でした。

 恐らく、営業部門からは猛烈なクレームが入ったと思いますが、ロングセラーだからこそこれまでの固定概念に囚われない変革が必要だったのでしょう。

 と言っても、開発期間はわずか2年。これまでのトヨタなら間違いなく不可能な時間軸でしたが、TNGA、カンパニー制に加えて、モータースポーツを起点としたアジャイル開発と言ったトヨタの「クルマづくり改革」をフル活用してミッションを完了。それが新時代のクラウンとなる16代目です。

 ただ、セダンからの脱却と言いながら、なぜセダンが設定されたのでしょうか。

※ ※ ※

 実は企画当初はクロスオーバーのみの開発でしたが、クロスオーバーがある程度カタチになった時期に豊田社長から「セダンも考えてみないか?」と言う提案があったといいます。

 当時の様子を中嶋プレジデントは次のように振り返っています。

「正直言うと、耳を疑いましたが、『セダンの呪縛が解けた今だからこそ、新たな発想でセダンを作りなさい』と言う問いかけに聞こえました。

 その上で豊田社長は『選択しは3つ。カムリをベースにするのか? それとも15代目の進化版にするのか? それともMIRAIをベースにするのか? 今決めて!』と言われ、私は『MIRAIをベースに開発します』と言いました」

 MIRAIは2代目で大きく刷新されたものの、販売は残念ながら芳しくありません。

 ただ、筆者はトヨタ/後輪駆動セダンの中で最良の仕上がりだと評価していますが、この基本素性を活用すれば、今までにないセダンが実現できるかも。

 更にMIRAIが取りこぼしていたショーファーニーズにも応えられるかも。

 そして圧倒的にバリエーションの少ないFCEVに選択肢ができるかもと中嶋プレジデントは考えたのでしょう。

■新生クラウン、クロスオーバー・スポーツ・エステートと異なるセダンの魅力とは

 そんなセダンはパーソナルにもビジネスにも応える「ニューフォーマル」という新たな価値観に挑戦して開発。

 クロスオーバー/スポーツ/エステートはFF横置きレイアウトの4WDのパッケージ(GA-K)を採用しますが、セダンのみFR縦置きレイアウト(GA-L)を採用するのが1番の特徴となっています。

 エクステリアは「オーソドックスなセダンはつくりたくない」というデザイナーたちの思いを具体化。

 水平基調&クーペライクなプロポーションにより、伸びやかで美しいたたずまいを実現しています。

 フロント/リアのデザインは16代目共通のテイストを盛り込みながらも、存在感、煌びやかさ、そして未来感が高められています。

 インテリアは他のクラウンと共通のインパネデザインながらも、大型の杢目調パネルや光物が多めの加飾、更にはコクピット感を高めるセンターコンソール周りなど、セダンらしいフォーマルさと高い質感を備えています。

 ちなみに光のよる演出も行なわれ、全64色から選択可能です。

 ただ、筆者的にはメーターくらいはセダン専用デザインを奢ってもよかったかなと思う部分も。

 居住性において、絶対的な寸法はアルファード/ヴェルファイアにかなわないものの、3000mmのロングホイールベースを活かし、足元スぺースは広々なのはもちろん、乗降時の足抜きの良さなども抜かりなし。

 ショーファーニーズに対応するために、リラクゼーション機能や電動サンシェードと言ったおもてなし装備も数々用意されています。

 パワートレインは2種類設定。

 ひとつはクラウン初となるFCEVです。基本的にはMIRAIと同じシステムを搭載していますが、モーター駆動ならではの滑らかな走りと静粛性と1充填で約820kmの航続距離を両立。

 フォーマルユースで活用できるクラウンとの組み合わせにより、MIRAIではゲットできなかった官公庁や自治体などでの需要も賄えるはずです。

 もうひとつはHEVモデルですが、直列4気筒2.5リッターエンジンに組み合わされるシステムは「THS II(シリーズパラレル式)」ながらも、有段ギア(4速AT)を組み合わせた「マルチステージハイブリッド」です。

 4気筒との組み合わせは初となりますが、エンジン最高出力を使用できる速度域を下げる(約140→約43km/h)、高速走行時は回転数を抑える制御を新たに採用した事で、2.5リッターながらも強い動力性能と燃費性能、更に静粛性を両立させたそうです。

 この辺りは実際に乗って判断したいと思いますが、他のクラウンとは異なるシステムというのは気になる所です。

 フットワーク系はMIRAIをベースにするためプラットフォームはGA-Lが採用ですが、ホイールベースはMIRAIの2920mmに対して3000mmとロングホイールベース化されています。

 サスペンションはもちろんクラウン専用セットアップ(AVS)で、路面の凹凸を伝えない乗り心地とどんな状況でもばね上はフラットに保つボディコントロールが特徴となっています。

 走りの味付けは後席優先ではあるものの、基本素性の高いFRレイアウトに加えて現在トヨタ/レクサスのセダン最良と言ってもいいMIRAIの走りの実力考えると、筆者はドライバーズカーとしてのポテンシャルも高いと予想しています。

 グレードはFCEV/HEV共に1タイプ(Z)のみで、価格はFCEVが830万円、HEVが730万となっています。

 セダンから脱却したからこそ生まれた「新時代のセダン」と言える存在と言えるでしょう。

 月販基準台数は600台と他のクラウンと比べるとかなり控えめですが、“良い”日本車セダンが減ってしまった現在、安定した需要はあると思っています。

 そして、ロイヤルカスタマーから「やっぱり、クラウンはセダンだね」と言われる事を祈っています。

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みんなのコメント

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  • dko********
    セダン好きとして言わせてもらうと、このデザインはセダンじゃないと強く言いたい。世界的に超絶不人気な5ドアハッチバックのデザインだと思う。
  • tok****
    - 皿 -
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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