多くのメーカーの販売台数でHVは半数を占める
世界中の自動車メーカーが電動化を推し進めるなか、現時点での圧倒的勝ち組は、ハイブリッドカーと言っていいだろう。その証拠に、2019年1~12月期の新車販売台数ランキングでは、1位トヨタ・プリウス、2位日産ノート、3位トヨタ・シエンタ、4位トヨタ・カローラ、5位トヨタ・アクア、6位日産セレナ、7位トヨタ・ルーミー、8位トヨタ・ヴォクシー、9位ホンダ・フリード、10位トヨタ・ヴィッツと、ベスト10に2台のハイブリッド専用車、ルーミーを除く9台のハイブリッドモデル/グレードを揃えるクルマがランクインしている。
あれ? 思ったほど伸びない……ハイブリッドなのに驚くほど燃費が良くない国産車6選
12位のホンダ・フィット、13位のトヨタ・アルファード、14位のホンダ・ヴェゼル、15位のトヨタC-HR、16位のトヨタRAV4、17位のトヨタ・ノア、18位のホンダ・ステップワゴンも、ハイブリッドが人気の車種である。
ところで、世界的な量産ハイブリットカー専用車のパイオニアは、もちろん、1997年にデビューした初代プリウスであり、その3代目の基本部分を使ったハイブリッド専用コンパクトカーがアクア。両車ともに乗用車販売ランキングの上位、どころか、ナンバー1の常連であり、まさに日本中、プリウスとアクアに埋め尽くされているといっても過言ではないほどだ。
ハイブリッドカーと言えば、プリウスに代表されるトヨタが早期から2モーターのストロングハイブリッド=THSを展開し、ハイブリッド=トヨタというイメージも強いが(以前、プリウスVSインサイトで、プリウスが圧勝したのは、インサイトが1モーターのハイブリッドだったからでもある)、今ではノートの人気を復活させたe-POWERもモーター駆動のハイブリッドカーの一種であり、軽自動車でもマイルドハイブリッドが燃費向上効果を含め、幅を利かせている時代なのである。
何しろ、各自動車メーカーのハイブリッドカー販売比率は日産が約61%以上、スズキが約60%以上、ホンダが約54%以上、車種が圧倒的に多いトヨタも約46%以上というデータがあるぐらいなのである。こう言っては何だが、2012年デビューの、もはや基本設計に古さのあるノートが今、爆発的にヒットし復活したのは、シリーズ式ハイブリットのe-POWERという電動化技術によるものと断言できるのだ。
つまり、冒頭で記したように、クルマの電動化の入り口として親しみやすく使いやすいハイブリッドカー全盛なのだが、価格的に有利なガソリン車とハイブリッドの両方を揃える車種が多い一方、初代以来、ハイブリッド専用車となるプリウスやインサイトも存在する。これだけハイブリッドカーの選択肢が増えている時代に、専用車種である必要はあるのか? という疑問が湧くのも不思議ではない。
専用設計がゆえの室内パッケージングが実現できる
が、ハイブリッド専用車の存在意義は、間違いなくある。思い出してほしい。初代プリウスが世界的に大ヒットした理由を。それは、専用車ゆえ、誰から見ても、ハイブリッドカーに乗っていることをアピールできることに尽きる。もし、プリウスにガソリン車とハイブリッドがあったとしたら、一目でハイブリッドカーには見えない。
当時、環境にこだわる自動車ユーザーや、先進性のあるクルマを望んだ人たちにとって、プリウスはまさに神器だったというわけだ。ハリウッドスターのレオナルド・ディカプリオが7台のプリウスを所有し、毎日違うプリウスに乗っている……なんていうニュースも、デカプリオの環境への関心をアピールするPRだったようにも思えるのだ。
そして、プリウスやアクアなど、ハイブリッド専用車は、クルマの企画、パッケージなどのすべてをハイブリッド専用とすることで、最初からエンジンを積まない専用設計ができるメリットもある。プリウスの室内空間の広さやフラットフロアを、4WDをラインアップしたとしても、後輪をモーター駆動とすることで成立させることができたというわけだ(前後輪のトルク配分は、前100:後0から前40:後60まで可変)。
つまり、プリウスに代表されるハイブリッド専用車は、まさにハイブリッドカーの象徴となるクルマそのものであり、「ハイブリッドカーに乗っています」アピールができる。それがハイブリッドカーファンにウケているとも考えていいだろう。たとえば、アルファードやヴォクシーのハイブリッドに乗っていても、世間的にはミニバンに乗っている、と思われるに過ぎないのである。
ちなみに新型ハスラーはNA、ターボともに全グレード、マイルドハイブリッド仕様だが、AC100V/1500Wコンセントが利用できる、プリウスのような2モーターのストロングハイブリッドとは違い、真正ハイブリッドカーとは呼びにくいのも事実だが……。
よって、プリウスのようなハイブリット専用車は、今後しばらくは、クルマの電動化の主役として君臨し続けるに違いないのである。
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(車名ランキング圏外、親から2度の勘当歴あり)