ゴールデンウイークの短期集中連載企画として、日本のスーパーカーブームを築いた1970年代のスーパーカーを紹介していきたい。今回は、エンツォ・フェラーリの息子の愛称が冠された、ディノ 246GTだ。(ホリデーオート2018年11月号別冊付録より)
フェラーリの名は与えられなかった、初のV6エンジン搭載フェラーリ
「DINO 246GT:ディノ 246GT」
1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」
ディノは、1956年に若くしてこの世を去った、エンツォ・フェラーリの息子アルフレードのニックネームで、生前V型エンジンプロジェクトを推進していた彼の業績を偲んでこの名前が使われたことは、フェラーリ好きでなくともクルマ好きなら周知の事実だろう。
ディノの名を冠したフェラーリ製モデルは、1967年に発表された206GTが最初だ。翌68年から生産されたが、69年のトリノショーでエンジンを2Lから2.4Lに換装した246GTが登場。206はわずか9カ月、約150台を生産して姿を消した。
ピニンファリーナの手によるスタイリングは、ベースとなった206の全長を85mm伸ばしているが、贅肉を極限までそぎ落としたスチール(フロントリッドはアルミ)製ボディは、見るからに引き締まった曲線美を描き、工業製品と言うより工芸品の域に達していた。
このボディが架装されるシャシはフェラーリの伝統的な鋼管フレームで、ホイールベースは206より60mm長い2340mm。これにサブフレームを介して前後ダブルウイッシュボーン式サスペンションが取り付けられるのだが、セッティングは長いレース経験に裏付けられたもので、乗り手は選ぶものの、回頭性と安定性を極めてハイレベルで両立している。
エンジンはチェーン駆動DOHC機構を備えたバンク挟角65度のV6で、オイルサンプの下後方に置いた5速トランスミッションと一体でミッドシップに横置きマウントされるのは206と同じ。違いは総排気量が2418ccに拡大されたことと、エンジンブロックが軽合金から鋳鉄製に変わったことだ。
また、246GTは2度の改良で“L”、“M”、“E”とシリーズが進化しており、ウエーバーツインチョークキャブレターによる燃料供給は“L”と“M”が40DCN F/7×3、“E”は40DCN F/13×3となっている。が、いずれも公表出力は195psだった。
246GTは予想以上の売れ行きを見せたが、その人気をさらに確実なものにするため、好評を得ている246GTのスタイルを崩すことなくオープンエアドライブという付加価値を与えた246GTSを1972年のジュネーブショーでデビューさせる。
GTSは黒のデタッチャブル式ルーフパネルを備えたタルガトップモデルで、市販フェラーリでは初の試みだった。外観上も、リアクオーターウインドーが廃され、そこに車内換気用の角形スロットが3本切られた金属クオーターパネルが据えられるなど、サイドビューでもクーペの246GTとの差別化が図られている。
この方式は8年後の1977年に登場する308GTSに引き継がれ、フェラーリの新しい伝統となっていく。
ディノ 246GT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4235×1700×1135mm
●ホイールベース:2340mm
●重量:1080kg
●エンジン:V6 DOHC
●排気量:2419cc
●最高出力:195ps/7600rpm
●最大トルク:23.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:横置きミッドシップRWD
[ アルバム : ディノ246GT はオリジナルサイトでご覧ください ]
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