EVコスト低下、2026年にICE並み
全世界的に見ると進展は遅いかもしれないが、ここ数年で着実に進んできたEVシフトは、各種の補助金などの資金的なサポートや、税制優遇措置によって後押しされてきた。
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しかし、アーリーアダプター(新しい技術や製品が市場に登場した際に、他の人よりも早くそれを採用する人々たち)たちが享受してきたこの恩恵の期間は、徐々に終わりを迎えつつある。特に米国では、2025年のトランプ政権が補助金の廃止を検討しているとの報道があり、これがEV購入を検討している人々に少なからぬ影響を与える可能性がある。
今後、EVの普及は鈍化するのだろうか。しかし、EVの普及には依然として明るい展望がある。たとえ補助金がなくても、今後はEVの所有と維持にかかるコストが大幅に低下することが予測されている。
米国に本拠を置く世界的な投資銀行および金融サービス会社「ゴールドマン・サックス」が2024年10月に発表した調査リポートによれば、
「バッテリーパックの価格」
が下落し続けることで、2026年にはEVの所有コストが内燃機関車(ICE)と同等になる可能性があるという。リチウムイオンバッテリーの価格はすでに下落傾向にあり、研究者たちは2024年末までに、世界のバッテリーパックの平均価格が1kWh(1時間にわたって1kWの電力を使用したときに消費されるエネルギー量)あたり
「111ドル(1万7123円)」
に下がると予測している。ちなみに2023年の価格は149ドル/kWhで、2011年には驚くべきことに780ドル/kWhだった。
さらに2026年までには、バッテリーパックの価格は26%下がり、82ドル/kWhになると予測されている。これは2023年の価格の約半分に相当する。ゴールドマン・サックスは、10年後には価格が64ドル/kWhにまで下落するとの見通しを示している。
バッテリー価格下落でEV復活
バッテリー価格の下落の要因は、
・より多くのエネルギーを低コストで収容できる「技術の進歩」
・リチウムやコバルトなどの「希少金属の価格低下」
だ。ゴールドマン・サックスは、2026年にEVの所有コストが補助金なしでも内燃機関車と同等になると予測しており、これは画期的な出来事だと指摘している。
ゴールドマン・サックス・リサーチのアジア太平洋天然資源・クリーンエネルギー研究の共同責任者であるニキル・バンダリ氏は、2026年にはEVの所有を目指す消費者が増えるだろうと説明している。
「純粋に経済的な観点から見ると、2026年には需要が力強く回復すると考えられている。また、2026年には消費者主導の導入フェーズが始まると予測されている」
と彼は述べている(リポートより)。2026年が“EV復活”のスタートなのだ。
また、この時期には初期のEVユーザーがバッテリー交換を意識し始める頃である。バッテリーやEV関連用品が市場の拡大により手頃な価格になれば、EVを乗り続ける意欲もさらに強まるだろう。
リース満了が生むEV旋風
ゴールドマン・サックスによると、EV復活のポイントは2026年だが、その2年後の2028年にも
「さらに追い風が吹く可能性」
がある。というのも、その年にはリース契約が終了した多くのEVが中古車市場に大量に流入するからだ。
米市場調査会社「J.D.パワー」が2023年10月に発表した調査リポートによると、2028年にはリース契約が満了したEVが中古車市場に出回ると予測されている。
J.D.パワーの「E-Vision Intelligence Report」によれば、2023年には新車EVのリース台数が前年から355%増加し、2024年9月時点でさらに前年の88%増と驚異的な伸びを記録している。これにより、2026年にはリース返却されるEVの台数が
「230%増加」
する見込みだ。そのため、今後2年間で合計約28万台の中古EVが市場に登場することになる。
2028~2029年、中古EV市場の大波
リース契約が終了した後、ユーザーにはいくつかの選択肢がある。現在のリース契約を延長したり、リース終了後のEVを安く買い取ったりする人が多ければ、これらの中古EVが大量に中古車市場に流れることはないだろう。
しかし、リポートによるとそれは起こりそうにない。過去2年間、新車EVの価格は着実に下がっており、この傾向は今後も続くと予想されている。
ゼネラルモーターズは現在9台のEVを販売しているが、これらのモデルより手頃な価格のバージョンが複数台、近く販売される予定だ。さらに、BMW、ヒュンダイ、起亜、ステランティスなどからも低価格帯のEVが新たにラインアップに加わる見込みだ。
実際、個人が新車EVに支払う平均価格は現在3万5900ドル(約557万円)で、2年前の2022年に比べて4万8500ドル(約752万円)から大幅に下がっている。
また、コンパクトスポーツタイプ多目的車(SUV)などの平均的なEV車両のリース契約者にとって、契約を延長したり車両をローンで買い取ったりするよりも、同じカテゴリの新車EVをリースし直した方が月額費用が安くなると試算されているようだ。
新車価格の下落に加え、今後のEVへの税制優遇が不透明であることを考えると、多くのリース契約満了ユーザーが新車EVのリースを結び直すか、新車EVを購入する選択をすることになりそうだ。
さらに、現在EVを所有している人の94%が、次の車として
「再びEVを選ぶ可能性が高い」
と回答している。この事実を踏まえると、2026年頃から中古EVが市場に増え始め、その後2028年や2029年には、新車を選択した人々によって、さらに多くの中古EVが市場に出回るというシナリオが描かれる。
補助金消滅の行方
今後、EVのバッテリー価格や新車価格の下落に加え、非常に手頃な価格の中古EVが市場にあふれることで、2026年からEVシフトに追い風が吹く条件が一部で確実に整ってきそうだ。
ただし、補助金や税制優遇については不透明な部分が多く、それらが完全に撤廃された場合、市場が再び変化する可能性もあるだろう。
直近ではEVの普及が鈍化することは避けられないかもしれないが、2026年、そして2028年にEV市場がどのような動きを見せるのか、これからも注視しなければならない。
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みんなのコメント
笑っちゃうな。
ゴミが増えるだけだろ。