■トラクターからスーパーカーへ
1960年代に、農業用トラクターの開発と生産で財を成したフェルッチオ・ランボルギーニが、次なる目標としたのは、長年の夢であった自動車メーカーの設立だった。
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彼は現在も本社が置かれている、ボローニャ近郊のサンタアガタ・ボロネーゼの地に自動車メーカー、アウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニ社を創立するための土地を購入。自らの名を掲げた自動車を生産するためのファクトリーの建設を始めたのである。
●1967 ランボルギーニ「400GT 2+2」
ランボルギーニからの第1作、「350GTV」は、1963年10月に開催されたトリノ・ショーで華々しくデビューを飾る。
フロントに搭載されたエンジンは、フェラーリをライバルとするだけに、3.5リッターV型12気筒を採用。チーフ・エンジニアは、フェラーリで「250GTO」などの作を残したジョット・ビッザリーニであり、彼とランボルギーニとの間には、一定のギャランティのほかに、設定以上のパワーを得ることができたら、さらにボーナスが支払われるという独特な契約までもが結ばれていたという。
ビッザリーニ作のV型12気筒エンジンがもっとも大きな特徴としていたのは、まだフェラーリも採用していなかったDOHCのカムシャフトレイアウトを実現し、各々のバンクのカムシャフト間にキャブレターを配置するという構造だった。
最高出力は360psに達成し、フェルッチオを大いに満足させるが、実際のフィーリングはレーシングエンジンの如くピーキーで、フェルッチオが目指す高級GTのキャラクターには適さなかったようだ。
フェルッチオはボディデザインに完全に満足していなかったこともあり、トリノ・ショーの終了を待たずに、350GTVをサンタアガタの本社へと引き上げてしまったという逸話も残っている。
■クラシック・ランボルギーニは買いか?
ここから始まったのが、ジャン・パオロ・ダラーラやパオロ・スタンツァーニという、まだ20代という若さのエンジニアによる350GTVの改良作業だった。
エンジンはダウンドラフト・タイプのキャブレターを新採用するなどの手が加えられ、最高出力は270psへと低下するが、扱いやすさは確実に向上した。
そして1964年のジュネーブ・ショーで、350GTVの改良版である「350GT」は、250km/hの最高速を誇る、高性能でかつ高品質なGT=グラン・ツーリスモとしてデビューを飾るのである。
●1967 ランボルギーニ「400GT 2+2」
今回RMサザビーズが2021年2月のレトロ・モービルに併せて開催する「パリ・オークション」に出品した「400GT 2+2」は、この350GTをベースにさらに高性能化を図ろうと企画されたモデルである。
その背景にはフェラーリが、それまでの「250GT」シリーズの後継車として「275GTB」を発表。最高出力を280psにまで高めたことも理由にあったはずだ。
サンタアガタ・ボロネーゼのエンジニアリング・チームは、既存のV型12気筒エンジンの排気量を4リッターに拡大することで、新たに320psの最高出力を得ることに成功した。
キャビンにはリアにプラス2シートが設けられ、車名は正式には400GT2+2と呼ばれるようになった。エクステリアでは350GTの楕円形2灯式から、丸型4灯式を採用したのが大きな特徴となる。
さらにボディの素材もスチールに変更され、これが車重の増加に大きく影響を及ぼすことになる。
400GTの生産は1968年まで継続され、生産が終了するまでに274台がサンガアガタ・ボロネーゼの本社工場をラインオフしている。
。
オークション・マーケットでは、「ミウラ」と「カウンタック」以外は、相場は値上がりしないと評されるランボルギーニだが、同社のクラッシック部門であるポロ・ストリコの調べによれば、400GT2+2、あるいはその前身である350GTにも確実に値上がりの様相が見られるという。
参考までにパリ・オークションでの結果は、47万7500ユーロ(邦貨換算約6160万円)であった。
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