MY19を飛び越してさらなる高みへ
2007年12月6日、日本を皮切りに発売が開始されたR35型GT‒R。翌年4月、北米でのリリースが始まったタイミングで早くも最初のアップデートが施され、その後も毎年10月~11月に次年度のMY(モデルイヤー)を発表してきた。途中、日本ではMY16だけが欠番となったが、2016年には”BIGマイナーチェンジ”と呼べる大幅な進化版のMY17をラインアップ。そして、昨年発表されると思われたMY19も欠番となっていたことから、最新MY20もMY17同様に大きな変貌が約束されていたと言ってもいいだろう。
6000万円で買える究極の市販レーシングカー「NISSAN GT-R NISMO GT3」
令和に改元される2週間前の2019年4月17日。日産自動車はGT‒Rの2020年モデルを発表した。基準車/ニスモという従来グレードの進化に加え、今年が生誕50周年に当たるフェアレディZとともに、R35GT‒Rにも「50thアニバーサリー」を期間限定で発売することも併せてアナウンスされた。
GT-Rといえば、これまでの度重なる改良で「最新のRこそ最良にして最強」という事実を目の当たりにしてきただけに、MY20のアップデートには自ずと注目が集まる。そこで、基準車、ニスモ、アニバーサリーの最新モデルについて触れてみたいと思う。
【GT-R(MY20)】
基準車(ピュアエディション/ブラックエディション/プレミアムエディション)は、6月から発売開始しており、価格やスペックも正式に発表されている。ニスモほどの大胆な変更はないものの、アブレダブルシールを採用した新型タービンやダンパー減衰力およびトランスミッション制御のリファイン、そして”いつかは”採用されると予想されていたボディカラー、ワンガンブルーの追加などが主な変更点である。この新色はBNR34型スカイラインGT-Rに採用されたベイサイドブルーを最新の塗装技術で一新。ベイサイドを日本語に訳した直球のネーミングだ。また、ホイールはMY20から新デザインへと変更されている。
なお、メーカーのリリースには記されていないものの、MY20から基準車/ニスモともにターボのハウジングとエキマニが別体構造となったとの情報がある。従来はインコネル素材のエキゾースト側タービンとエキマニが一体式だったが、MY20ではフランジ接合式に改められたという。価格は1063万1520円から。
【GT-R 50th Anniversary】
次に50周年のアニバーサリー仕様。こちらは2020年3月までの期間限定販売でありながら、台数限定とはなっていない。最大の特徴となるエクステリアは、初代GT‒R(C10型スカイライン)のハコスカレーシングをオマージュしたストライプを配するモダンレトロな出で立ちが新鮮そのもの。外装は青&白、白&赤、銀&白の3パターンを用意。ただし、内外装や専用ステッカー&エンブレム以外、基準車との差異はとくにない。
また、カタログ上のスペックはMY18と同一(最高出力=570ps/最大トルク=65.0kg-m)だが、新型タービンの採用によりアクセルレスポンスを向上。ニスモ同様に低中速での過給の立ち上がりスピードが早まり、アクセルのツキの良さを実現するという。また、可変減衰力機構(ダンプトロニック)を持つビルシュタインのダンパー制御も一新されている。価格は1319万2200円~。
【GT-R NISMO(MY20)】
そして、最強のRと呼ぶべき「GT‒Rニスモ」に大きな改良が施されたこともトピック。正式発表は7月以降を予定しており、詳細なスペックや価格に関しては現時点(2019年5月上旬段階)で公表されていないが、フロントフェンダー/ホイールのデザインが変更されたことがわかる。また、注目すべきは従来ゴールドだったブレンボ製のブレーキキャリパーがイエローに改められた点だ。
今回のニスモは、レースカーであるGT3譲りのエア排出用のダクトを備えたフロントフェンダー以外に、ボンネットフードとルーフパネルにカーボンを採用。GT‒Rニスモはこれまでも前後バンパーとリヤウイングにカーボンを用いていたが、車両運動性能に大きな影響を与えるフロントまわりと車両最上部のルーフを軽量化することで、さらなるポテンシャルアップが図られたことは明白だ。
また、キャリパーのみならず、ボンネット&ブレーキパッドもカーボンセラミックが標準となった。かつてスペックVにカーボンブレーキが装備された例もあるが(一部の他グレードはオプション)、今回ニスモに装備されたブレーキシステムは全くの新規開発。驚くほどの制動能力を持ち合わせているという。足元はGT3マシン同様のレイズ製9本スポークホイールが装着される。 そして、レース仕様のGT3マシンと同等のIHI製・新開発タービンを採用。ブレードの枚数を11枚から10枚に減らすことでレスポンスを約20%向上しているという。これにより、最高出力を落とすことなく低中速域のレスポンスを向上させた。
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