トヨタ自動車が展開する高級車ブランドのレクサスは2023年3月30日、ブランド初のバッテリーEV(BEV)専用モデルとなる「RZ」を発売した。車種展開は通常モデルのRZ450e“Version L”(880万円)と、発売を記念した500台限定の特別仕様車のRZ450e“First Edition”(940万円)で構成。最初に販売する500台は、特別仕様車のRZ450e“First Edition”となる。
レクサスRZは、2019年に発表した同ブランドの電動化ビジョン「Lexus Electrified」の具現化に向けた第1弾となるバッテリーEV(BEV)で、最新の電動化技術を用いた基本性能の大幅な進化を実現して、レクサスのBEVならではのドライビング体験やライフスタイルを提供する。
基本骨格にはトヨタbZ4Xと同様、BEV専用プラットフォームの「e-TNGA」を採用し、Cセグメントクラスのプレミアムな電気自動車SUVに仕立てる。パワーユニットはローターや磁石の配置を最適化して高回転・高出力を実現したモーター、モーターを制御するインバーター、ギアなどの駆動系トランスアクスルを一体化したコンパクトで高効率な「eAxle(イーアクスル)」を前後に搭載してAWDを構成。フロントのeAxleは前後方向に短い配置、リアのeAxleは低背な配置とし、室内や荷室の拡大につながるパッケージングを構築する。モーターの最高出力/最大トルクはフロントの1XM型が150kW/266Nm、リアの1YM型が80kW/169Nmを発生。駆動用リチウムイオンバッテリーは総電力量71.4kWh、総電圧355.2Vを確保し、一充電走行距離はWLTCモードで標準の20インチタイヤ装着車が494km、オプションの18インチタイヤ装着車が534km、交流電力量消費率はWLTCモードで20インチタイヤ装着車が147Wh/km、18インチタイヤ装着車が135Wh/kmを実現した。
充電に関しては、右フロント部に普通充電用、左フロント部に急速充電用の充電ポートを配備。充電リッドを指で容易に開けられるプッシュオープンの開閉方式や、普通充電インレットを照らす照明を採用するなど、使い勝手の良さにも配慮する。また、駐車時にオーナー以外の第三者が充電リッドを開けられないようにする充電リッドロックシステム、充電中または充電終了後にオーナー以外の第三者による充電コネクターの取り外しなどを防ぐ充電コネクターロックシステムも組み込んだ。充電時間は200V/6kW(30A)の普通充電器を用いた場合が約12時間、200V/3kW(16A)の普通充電ケーブルを用いた場合が約21時間、50kW(125A)出力の急速充電器を用いた場合が約60分、90kW(200A)出力の急速充電器を用いた場合が約40分でこなす。クルマへの充電に加えて、クルマに蓄えた電気を自宅などに供給できるV2H(Vehicle to Home)システムも設定した。
レクサスならではの走りの味「Lexus Driving Signature」を、BEV化に合わせてより進化させたことも訴求点だ。まず駆動系には、電動化技術を活用した四輪駆動力システム「DIRECT4」を採用。車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて前後輪の駆動配分を100:0~0:100の間で制御する。具体的には、直進加速時がピッチングを抑え、かつダイレクトな加速感が得られるよう60:40~40:60の範囲で、コーナリング時のステアリング切り始めがフロント寄りの75:25~50:50の範囲で、脱出時がリア寄りの50:50~20:80の範囲で駆動力を配分。しかも減速、操舵、加速の一連の動作がシームレスにつながるようセッティングした。
操舵機構には、ドライバーの意図に忠実な車両コントロールを可能にした制御機構を組み込むステアバイワイヤシステムを採用する。さらに、ボディ骨格の接合にはレーザースクリューウェルディング(LSW)や構造用接着剤、レーザーピニング溶接技術を多用するとともに、リアのラゲッジ開口部は二重環状構造としたうえで高剛性発泡剤を内包。合わせて、フロント/センターピラーおよびフロントレールに1.8GPa材と1.5GPa材を重ね合わせたパッチワーク構造を、ルーフセンターリインフォースメントに1470MPaの引っ張り強さを持つ冷間厚延鋼材を、フロントフードに軽量アルミ材を、ドアモールディング/ホイールアーチモールディング/バックドアガーニッシュに発泡樹脂成型を導入し、高剛性かつ軽量なボディに仕立てた。ラジエーターサポート部とロワバック部に補強を施し、同時にタワーバーとフェンダーブレースを追加したこともトピックだ。
一方、シャシーは前マクファーソンストラット式/後トレーリングアーム式ダブルウィッシュボーンで構成。ここに路面入力の周波数に応じて伸び側ストロークの減衰力を変化させ、乗り心地を損なうことなく高い操縦安定性を提供する周波数感応アブソーバーのFRDIIをレクサスで初採用する。ドライバーへクルマの状態変化を自然に伝える音作りと高い静粛性を追求したことも訴求点だ。音作りでは速度に合った周波数、加速度に応じた音量などに配慮したサウンドを発生するようにチューニング。静粛性の面では、床下バッテリーに遮音壁の機能を持たせたほか、フード開口の全周へのシール配備や前後席へのアコースティックガラスの装着、新断面のガラスランの採用などによって、高速走行時でも乗員の会話を邪魔しない静粛性を確保した。
エクステリアについては、「Seamless E-Motion」をデザインコンセプトに、BEVならではのシームレスな加速感とトルクフルな躍動感を外観で表現したことが特徴だ。基本フォルムは、低いノーズから始まりキャビンへ滑らかに連続して後方にピークを持たせるシルエット、大径タイヤの四隅配置による低重心スタンスなどによって、レクサスBEVならではの伸びやかさと力強さを創出。また、内燃機関におけるグリル開口部の冷却用構造を必要としないBEVの特性を反映し、スピンドルグリルに代えて、「スピンドルボディ」という塊感のあるボディと一体となった新デザインを採用する。合わせて、フロントバンパーのスピンドルボディを強調する造形とカラーリングに、立体的なフェンダーを組み合わせて、印象的かつ力強いマスクを具現化した。一方でサイドビューは、抑揚のある立体的な前後フェンダー部に、前後フェンダーを淀みなくつなぐドアを配して、艶やかで見応えのある面構成を演出。ドアノブには、握っただけでロックが電子制御で解除され、あとは軽く引くだけでドアが開けられるe-ラッチシステムを装備した。そしてリアビューは、クリーンでシンプルな水平基調のラインに張り出したタイヤを強調する造形を組み合わせ、ここに一文字のコンビネーションランプを配して、シャープで躍動感のある後ろ姿を実現する。空力性能も重視し、サイド部の形状により発生させた縦渦が横風発生時のボディに働く空気力を抑えるルーフスポイラーや、傾斜させたリアガラス面から車両後方へとスムーズに風を流すルーフ中央部、後部の風の流れを整えるリアゲートエンドのダックテール形状、フラット化したアンダーカバー、そしてフロントに配したグリルシャッターなどによって、優れたエアロボディを構築した。
ボディサイズは全長4805×全幅1895×全高1635mm、ホイールベース2850mmに設定。シューズは前8J/後9.5J×20アルミホイール(ブラック塗装+切削光輝)+前235/50R20 104V/後255/45R20 105Wタイヤを標準で装着し、オプションで電費志向の前7.5J/後8J×18アルミホイール(ダークグレーメタリック塗装+切削光輝)+前235/60R18 103H/後255/55R18 105Vタイヤと、高級志向の前8J/後9.5J×20アルミホイール(ダークプレミアムメタリック塗装)+前235/50R20 104V/後255/45R20 105Wタイヤを設定する。一方、外板色はBEVの軽快な走りを感じさせるイーサーメタリックや、新たな金属質感を表現したソニックカッパーのほか、ソニッククォーツ、ソニッククロム、ソニックイリジウム、グラファイトブラックガラスフレークという計全6色を用意。さらに、スピンドルボディ正面から上面のフード、ルーフにかけてソリッドブラックをあしらったバイトーンカラーのイーサーメタリック×ブラックとソニックカッパー×ブラックもラインアップした。
内包するインテリアは、カウルからドアへと連続感のある全体造形に、低く配置したインストルメントパネルや前2席の間を抜ける空間を設けたコンソール、シンプルかつスマートなドアトリムなどによって、クリーンで開放的な空間を創出。また、ウルトラスエードであしらったシートやドアトリムオーナメント、木目調のコンソールアッパーパネルを配して、上質なおもてなし空間を実現する。加えてセンターコンソール前方にはおくだけ充電トレイを設定したほか、インストルメントパネルに充電用USBコネクタ(Type-C)を2個設定するとともに、通信用USBコネクタ(Type-C)を1個設定。さらに、センターコンソール後部にも充電用USBコネクタ(Type-C)2個とアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)、HDMI 端子(1個)を配備するなどして、ユーザーの利便性を向上させた。キャビン空間自体は、ロングホイールベースによって1000mmのカップルディスタンスを確保したほか、後方にピークを持たせたキャビンシルエットにより、開放的で前後に抜けのいい後席スペースを演出。また、乗員の開放感をより高めるパノラマルーフを設定した。シート表皮はバイオ素材を30%使用した前述のウルトラスエードを設定。インテリアカラーは先進性とクリーンさを併せ持つオラージュ、モダンな印象のグレースケール、華やかさが際立つヘーゼルの3タイプを用意する。さらに、アンビエントイルミネーションには世界初となる陰影イルミネーションを採用した。
ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携させた「Tazuna Concept」をコクピットに取り入れた点も見逃せない。運転に集中しながら各種操作が行え、合わせてタッチパネル式の14インチディスプレイには多くの機能を集約する。また、センターコンソールにはレクサス初となるダイヤルシフトノブを配備。繊細に作り込まれた意匠で高い質感を演出するとともに、スマートかつ簡便な操作性を実現した。一方、ラゲッジルームは後席使用時で荷室長978×幅1003(最大1503)×高446mmおよび522リットルの容量を確保。加えて、デッキサイドにはアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付)を1つ設置し、さらにデッキサイドに2つ、バックドアに1つLEDランプを設定して、使用時の利便性を高めた。
予防安全システムとしては、最新の「Lexus Safety System+」を採用する。プロアクティブドライビングアシスト(PDA)には、信号交差点に対する右左折時の減速支援や車線内走行時の常時支援を追加。また、ドライバーモニターと連動したプリクラッシュセーフティ[PCS]やレーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、レーンディパーチャーアラート[LDA]などの機能拡充を図った。一方、快適な移動を支えるLexus Teammateには、自動車専用道路で0~約40km/h走行時にドライバーの疲労軽減を図るアドバンストドライブ(渋滞時支援)や、スマートフォンによる車外からのリモート操作も可能な駐車支援システムのアドバンストパークなどを設定。さらに、EV距離の最大化に向けて、高効率ヒートポンプシステムや幅射熱ヒーター(フィルム式)を採用する。パノラマルーフには、レクサス初となる調光機能を組み込んだ。ほかにも、常に最新のソフトウェアに更新可能なOTAアップデートやデジタルキー専用のスマートフォンアプリなどを採用している。
最後に、特別仕様車のRZ450e“First Edition”の内容を紹介しよう。外板色には専用の配色を施したバイトーンのイーサーメタリック&ブラックとソニックカッパー&ブラックを設定。足もとには大径タイヤの四隅配置をいっそう際立たせる専用ブラック塗装の前8J/後9.5J×20アルミホイール+前235/50R20 104V/後255/45R20 105Wタイヤを装着する。内包するインテリアでは、ステアリングホイールに特別仕様車専用の印字を、センターコンソール部に“RZ450e First Edition”と刻印した専用プレートをあしらい、合わせてインテリアのカラーリングをオラージュ&ブラックの専用配色で仕立てて、通常モデルとは異なる特別なキャビン空間を演出した。
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みんなのコメント
病んでる?
実車見たが、内装の質感は現行RX同様に落ちてるが、外装は意外とカッコ良かっただけに残念ポイント