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ヤリス試乗プレイバック 燃費の良さは大いに魅力だけどなんかワクワクできないのはなぜなんだ??【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

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ヤリス試乗プレイバック 燃費の良さは大いに魅力だけどなんかワクワクできないのはなぜなんだ??【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

 ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はトヨタ ヤリス(2020年-)試乗です!(本稿は「ベストカー」2020年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:西尾タクト

ヤリス試乗プレイバック 燃費の良さは大いに魅力だけどなんかワクワクできないのはなぜなんだ??【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

■ヴィッツあらため世界共通ネームのヤリスに

トヨタ ヤリスハイブリッドZ(229万5000円・電気式無段変速)。ヴィッツから世界共通名のヤリスになったトヨタの主力モデル。ヴィッツから数えると4代目となる

 今回はヴィッツ改め、ヤリスに試乗。車名が世界共通ネームのヤリスになった。

 ヤリス(ヴィッツ)で思い出すのは、なんといっても初代だ。ギリシャ人のコヴォス氏がデザインしたスタイルは斬新で、コンパクトカーの新しい世界を見せてくれた。

 コヴォス氏はソアラの最終型(その後レクサスSC)もデザインしており、私はそれも気に入っている。実は今、最終型ソアラの中古車が安く、本気で探しているところ。レクサスになる前のトヨタソアラが私の好みだ。

 本題に戻ろう。

 今回のヤリスはハイブリッド。なんでも燃費が異常にいいらしく、当連載の担当者は「街中でも30km/Lを切らない」と興奮している。渋滞にハマっても燃費が落ちないのがトヨタのハイブリッドのいいところなのだそうだ。

燃費スペシャル的なチープ感はまったくなく、走りはしっかりしているし、発進加速も鋭い。緊急自動ブレーキなどの先進安全装備は充実しているが、ACCは30km/h以下でキャンセルされ、完全停止までは対応していない

 新型コロナで多くの人の収入が落ちそうな今、クルマの燃費は大事。これはヤリスの大きな武器になるだろう。

 しかも走りが爽快。発進からモーターがぐいぐいと引っ張ってくれるから加速がいいし、スピードを上げるほど安定してくる。エンジンの音はイマイチだけど、この燃費のよさでこれだけ走ってくれたら充分だろう。

 ただし、走りがよくなったといっても、「誰もが驚くほど」というわけでもない。私はフランス車の走りが好みだが、そこまでの魅力はなく、やはり、あくまでも実用車的な日本のハイブリッド車の域。もう少し走りの個性や特徴がほしいところだ。

 驚いたのは価格。今回乗った「ハイブリッドZ」の車両価格は229万5000円だが、試乗車には実に66万5000円ものオプションが付いていて、296万500円と表示されていたのだ。

 アルミホイールが8万2500円、ホワイトのボディカラーが3万3000円、アクセル踏み間違い防止装置などの安全装備が10万100円(緊急自動ブレーキは標準)、コネクテッド機能付きのカーナビが11万円と、まるで高級輸入車のような「オプション地獄」が展開されている。

 国産コンパクトカーで、こういう売り方はどうなのか? そもそもヤリスに300万円、乗り出し総額だと340万~350万円も出す人がどれだけいるのか疑問である。

4WDターボのGRヤリスのベースになるだけに、ベーシックカーとはいえ骨格はしっかりしていそうだ。ライバルのフィットと対照的にスポーティな外観

 調べてみたら、1Lガソリンエンジン車に車両価格139万5000円のグレードがあった(X Bパッケージ)。

 レンタカーや社用車としての需要を当て込んだグレードっぽいが、私がヤリスを買うなら迷うことなくこれにする。

 そして、ボディに『お笑いバックドロップ』(編註:テリーさんのユーチューブチャンネルです)の宣伝ステッカーをバンバン貼って、走り回るだろう。あるいは痛車にする手もある。

 こういうクルマは気取って乗るもんじゃない。

■「ヤリス48」にワクワクできるか?

カラーバリエーションは豊富で頑張っているのだが、クルマ全体の地味な感じがちょっと残念

 それにしても、ヤリスのような普通のコンパクトカーは今、厳しい立場にあることがよくわかる。

 この秋にはSUVタイプのヤリスクロスが登場するらしいが、そっちに乗りたい人のほうが多いのではないか。派生車ではなく、こちらが本命という時代になったのだ。

 ただし、普通のヤリスハイブリッドで(オプション込み)約300万円なら、クロスは330万円くらいになってしまいそうだ。私なら、トヨタの販売店を素通りして中古ソアラを探しに行くだろう。

 ヤリスを眺めていて、つくづく思ったのは「1台では場がもたないクルマだな」ということだった。

 私がヤリスのCMを作るなら「できるだけたくさん走らせろ」と指示するだろう。1台だけではインパクトがなさすぎるのだ。

 つまり、AKB48と同じということだ。ひとりではダメでも48人並べれば壮観という売り方。なぜそうなるのかを考えると「ヤリスは世界戦略車だから」という答えにいきつく。

モーターのアシストがあって、動力性能に不満なし。スピードを上げるほど安定してくるし、運転もしやすい。若い人に乗ってほしいクルマだ

 ユーザーにとっては「世界戦略」なんてどうでもいいことだ。それより「300万も出しているんだから、俺の顧客満足度を考えろ」と言いたくなるだろう。

 このあたりがトヨタ車の難しいところだ。トヨタのクルマ、特にヤリスのようなコンパクトカーは世界中で圧倒的な数を売らなければならない。ユーザー一人ひとりの顔を見ていられないのである。

 だから「ヤリス48」にしないと場がもたないし、買ったら宣伝カーや痛車にしたくなってしまう。これでいいのだろうか?

■テリー伊藤 今回のつぶやき

 オプション込み約300万円の価格に驚愕。実用燃費の高さは大いに魅力だが、本命はヤリスクロスのような気もする。

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

【画像ギャラリー】テリー伊藤、トヨタ ヤリス試乗の様子をギャラリーでチェック!(10枚)

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