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ホンダの4WDは雪道で役に立たない!? そんな噂を実際に「フィット」4WDモデルで走って確認してみた

掲載 更新 199
ホンダの4WDは雪道で役に立たない!? そんな噂を実際に「フィット」4WDモデルで走って確認してみた

■実際に現行型「フィットe:HEV」4WDで信州の雪道を走ったところ…

 ホンダ車の4WDは雪道であまり役に立たない……。

限定1500台! ホンダが旧型「フィットRS」のカッコイイ特別仕様を発表!

 そんなことを耳にしたことがある人もいるかもしれません。はたしてその噂は真実なのでしょうか。

「では実際に雪道で乗って、確認してみてはどうでしょう」ホンダからそんなお誘いを受けて、雪道でホンダ車を試してみることにしました。

 何を隠そう、筆者にとって雪道でのホンダの4WDは初体験。雪深い場所で、まずはハイブリッドの「フィット」の4WDモデルに乗り込みます。

「はたしてどうだろうか?」とドキドキしつつ、アクセルを踏み込み気味にスタートしてみると……おや、何も起きません。

「何も起きない」というと「4WDが役に立っていないのではないか」と思われるかもしれませんが、そうではなくむしろ逆。ドライバーが感じられるような反応遅れなく後輪にトルクが伝わり、後輪がしっかりと仕事をするからスリップなくスムーズに発進できるのです。

 結論をいえば「ホンダの4WDが役に立たない」なんてことは決してありませんでした。

 ホンダがフィットに組み合わせている4WDは「ビスカスカップリング式AWD」と呼ぶもの。「e:HEV」と呼ばれるハイブリッドモデルも同様です。

 ライバルは独立したモーターで後輪を駆動する仕組みが増えていますが、そうではなくビスカスカップリングを通じてエンジンやフロントモーターの力を機械的に後輪へ伝えるのが特徴です。

 驚いたのは旋回中の挙動。旋回中にハンドルを切りながらアクセルをグッと踏み込んでも車体がコーナーの外側へ向かっていくような挙動(アンダーステア)はなく、しっかり曲がっていくではないですか。これは、アクセルオン時にも後輪に強いトルクがレスポンスよく送られるからにほかなりません。

 また、ビスカスカップリングの特性を踏まえ、前後のスリップ比が大きくなる(前輪と後輪の回転差が大きい=前輪がスリップしている)状態では、後輪へのトルク配分が増えて求められる駆動力に対応するように味付け。さらにハイブリッドモデルでは、モーター駆動による安定したトラクションコントロール制御が加わることで、発進初期から駆動力を発生し、そこから速度が高まっても前後輪ともに最適なスリップ量を維持するよう調律されています。

 発進から旋回まで、不足も違和感もなく機能し、気持ちよく曲がれるうえに、挙動もスムーズ。フィットハイブリッドの4WDは雪道でしっかり頼れるし、運転しやすい4WDでした。

■フィットにライバル車と異なる4WDシステムを搭載している理由とは

 またVSA(横滑り防止装置)のオン/オフを試してみたところ、オンでは介入が少なく強制的なスロットルオフなどを感じさせる状況が少ないこと、いっぽうオフ時はオフにしたからといって挙動が大きく乱れるようなことがないことを実感。そんな走りからも、4WDがしっかりと機能していることを感じられます。

 日本では昨今、このクラスのハイブリッドカーの4WDモデルは、後輪の駆動系がエンジンやフロントモーターと機械的に繋がっていないのが一般的。後輪を独立したモーターで駆動するモデルが増えています。トヨタ「ヤリス」のハイブリッドモデル、「アクア」、そして日産「ノート」などです。

 しかしフィットは、同じくハイブリッドのコンパクトカーながら、最新モデルでもその仕掛けにしませんでした。後輪も機械的に繋がっているのです。なぜそうしなかったのでしょう? どんなメリットがあるというのでしょうか。

 ホンダのエンジニアは「パッケージングと駆動力のバランスがいい」と説明します。

 走りのために必要な駆動力を持とうとすると、高トルクを発生する大きなリアモーターが必要です。すると、モーターのサイズが大きくなるので床が高くなり荷室が狭くなることから、コンパクトカークラスではパッケージングの犠牲が大きくなるというわけです。

 たしかにフィットの荷室容量(床上)は、ハイブリッド車とガソリン車での違いこそあるものの、FFと4WD間では同等。4WDを選ぶと荷室の床が高くなるライバルに対し、4WDを選んでもFFと変わらないスペースを確保しているのは、使い勝手を考えると大きなアドバンテージといえるでしょう。

※ ※ ※

 冒頭に書いた「ホンダ車の4WDは雪道であまり役に立たない」というのは、じつは以前のホンダ車の4WDに対していわれることが多かったコメントです。

 以前(フィットでいうと2013年まで販売していた2世代前のモデル)までは、「デュアルポンプ式」という4WDシステムが同社で広く使われていて、確かにそれは反応が鈍めで、前輪が多めに空転してからリアにトルクを回すなど雪道で走るのにはもの足りなかったといいます。

 しかし構造を改めて「ビスカスカップリング式」としたうえで、ハイブリッドモデルではモーター制御も活用して作動遅れを解決した現行のフィットは乗ってみると「もの足りない」どころか運転を楽しめるほどの実力を秘めた、安心できるし運転が楽しい4WDに成長。

 過去の話はもう過去の話、といえる進化を遂げていることがよくわかりました。

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みんなのコメント

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  • ホンダはSONYと同じく、技術面で他社とは違い我が道を行くと言うスタンスだと思う。それが良い方に働けばラッキーだが、必ずしもそうでは無さそうだ。4駆システムやDCTの採用も同様で、ユーザーの利益になったかと問われれば、否と答えるしかない。残念ながら現時点で殆どの市販のホンダ4駆は、なんちゃって4駆だと思う。
  • ホンダは、創始者の本田宗一郎の時代から「他社とは違う」機構を取り入れたがる。
    その結果、商品としては他社よりも脆弱なモノができあがり、ホンダの○○はダメと言われる由縁です。
    他と違うモノを作りましたは別に良いけど、同等以上でないとね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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