積算1万5388km レクサスの強みは変わらない
レクサスUX 300eが長期テストにやってきて以来、筆者は毎回の運転が楽しみだった。次に何どんな体験が待っているのか、期待させてくれた。
【画像】レクサス初のBEV UX 300e RZ 450e プロトタイプとトヨタの新型bZ4Xも 全82枚
レクサス初となるバッテリーEV(BEV)のUX 300eは、他社のモデルにはない多くのことを達成している。この特長が新しいRZ 450eにも受け継がれれば、素晴らしいクロスオーバーに仕上がる可能性は高い。
ハイブリッドのUXを、BEVに仕立て直したモデルではある。だが、軽くない駆動用バッテリーを搭載しつつ、レクサスの強みといえる運転のしやすさや優れた質感を保っている。快適でラグジュアリーで、動的能力は洗練されている。
UX 300eは、内燃エンジン版より車重が275kg重い。だが運転していて、重いと実感する場面はない。数ヶ月一緒に暮らしてみて、このセグメントのライバルと比較しても、その居心地の良さには感心させられた。
乗り心地はしなやかで、車内は静かで落ち着いている。ドライバーが求めれば、想像以上に速い。レクサスらしい個性といえる。駆動用モーターの特性上、ハイブリッドのUXより0-100km/h加速は1.0秒も鋭い。
ただし諸手を上げて、というわけではない。英国の場合は市街地に住んでいるか、充電器を日常的に使える環境にいない限り、公称値で315kmという航続距離は充分ではない。郊外の充電インフラが整うまでは。
物足りない航続距離と急速充電能力
筆者は、目的地での充電という意識によって、UX 300eでの長距離移動は自然と避けるようになっていた。また長距離通勤しており、航続距離が一層短くなる冬場は、駆動用バッテリーを温存するため暖房をオフにすることも多かった。
ヒーター内臓のシートが、身体を温めてくれる唯一の手段といえた。とはいえ、これは稀なケースだろう。UX 300eを選ぶ人の場合は、基本的に近距離の移動が中心となるはず。普段の買い物程度なら、暖房を我慢する必要はない。
もう1つUX 300eの足を引っ張っていたのが、最大で50kWという急速充電能力。チャデモ規格の充電器では、54.3kWhの駆動用バッテリーを10%から80%まで回復させるのに、最短で52分も掛かる。
ヒョンデのアイオニック5なら、さらに大きな58kWhの駆動用バッテリーを、20%から80%まで20分以下で充電できる。こちらの航続距離は383kmで、レクサスより安価でもある。
筆者が1番残念に感じたのが、インフォテインメント・システム。この価格帯の最新モデルとしては、充分な内容とはいえないだろう。英国では最上級グレードのタクミに実装されるものとの差は、歴然としていた。
グラフィックは、数世代前と感じるほど。操作性も褒めにくい。アップル・カープレイへの対応で、それらの不満に対応しているが、タッチスクリーンではないため完全に補えていたわけではなかった。
長時間、心地よく運転できる
そうとはいえ、筆者がこれまで運転した経験のあるモデルのなかで、UX 300eほど運転中にリラックスできるものはなかった。路面を問わず滑らかで、郊外の管理の悪い舗装でも、快適性は失われにくい。
リアから聞こえたガラガラという振動音は、筆者が原因。充電ケーブルを、荷室にそのまま転がしておいたためだった。フロア下には、ちゃんと収納する空間が用意されていて、そこにしまえば不快な音も出ない。
リラックスして運転できるということは、長時間、心地よく運転できることにも繋がる。クルマ自体が、出しゃばっているような印象もない。
レーンキープ・アシストやアダプティブ・クルーズコントロールなど、長期テスト車には複数の運転支援システムが搭載されているが、デフォルトでオフな点も筆者には好印象。RZ 450eでも、引き継いで欲しい設定だ。
実用性はほどほど。だが、これは同サイズのクロスオーバーでは共通すること。
フロントシートはとても快適。しかし、着座位置が低いため、リアシートに座った人がつま先を潜らせる空間が残っていない。身長が160cmほどの筆者の母は、少ししっくりこない姿勢と狭い足元に嘆いていた。
都市部向けのコンパクト・クロスオーバーの場合、前後に大人が座って遠くまで移動するという乗られ方は、レアケースといえる。子供なら、不満なく過ごせると思う。
条件が適合すれば素晴らしい選択肢
総合的に判断して、このクラスのプレミアムBEVクロスオーバーでは、レクサスUX 300eの競争力は低くない。自宅に充電器があり、日常的な移動が240km程度に留まるユーザーにとって、素晴らしい選択肢だといえる。
これ以上の距離をレクサスで走りたい場合? RZ 450eを待つのが良いかもしれない。
セカンドオピニオン
ジャック・ウォリックはUX 300eに感銘を受けたようだが、1週間のみ運転したわたしの場合は、レクサス初のBEVとして出色の出来とまでは感じなかった。印象は、決して悪いものではなかったけれど。
航続距離やレクサス流の品質を、ユーザーがどう判断するかだと思う。読者はいかがだろう。 Piers Ward(ピアス・ワード)
テストデータ
気に入っているトコロ
上質なインテリア:レザーで仕立てられたシートとダッシュボード、人間工学に優れた操作系など、車内には高級感が漂う。
鋭い発進加速:即時的なパワーデリバリーのおかげで、信号ダッシュは他車をリードできる。控えめなルックスから、想像できないかもしれない。
快適な乗り心地:ロールス・ロイスとまではいわないが、レクサスらしい快適さは、しっかり受け継がれている。
気に入らないトコロ
インフォテインメント・システム:扱いにくく、機能も物足りない。グラフィックスは時代遅れで、タッチスクリーンでもない。アップル・カープレイが便利だ。
冬場の航続距離:往復の長距離通勤を賄うため、冬場はエアコンを切っていた。
走行距離
テスト開始時積算距離:2534km
テスト終了時積算距離:1万5388km
価格
モデル名:レクサスUX 300e プレミアム・プラス(英国仕様)
開始時の価格:4万5245ポンド(約755万円)
現行の価格:4万6145ポンド(約770万円)
テスト車の価格:4万5815ポンド(約765万円)
オプション装備
セレスティアル・ブルー塗装:570ポンド(約9万5000円)
燃費&航続距離
公称航続距離:315km
駆動用バッテリー容量:54.3kWh
平均航続距離:254km
最高航続距離:284km
最低航続距離:225km
長期テスト車のスペック
全長:4640mm
全幅:1845mm
全高:1645mm
最高速度:161km/h
0-100km/h加速:7.5秒
車両重量:1840kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
最高出力:203ps
最大トルク:30.4kg-m
ギアボックス:1速オートマティック
トランク容量:367L
ホイールサイズ:17インチ
タイヤ:215/60 ZR17
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:429ポンド/月(約7万1000円/月)
CO2 排出量:0g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
エネルギーコスト:469ポンド(約7万8000円/電気)
エネルギー含めたランニングコスト:469ポンド(約7万8000円)
1マイル当りコスト:0.06ポンド(約10円)
不具合:なし
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