インドネシアで生産される三菱エクスフォースの納車体制が整ったという。「なんだよ海外で売られるクルマかよ」と目を背けないでほしい。三菱の新世代デザインをまとったクルマだし、次期RVRとして日本で市販される可能性だってあるためだ。改めてその可能性を探ってみよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/三菱自動車
RVR PHEVとして市販してくれ! 三菱エクスフォースのカッコよさが諦めきれない!
■4つのドライブモードまで備えるエクスフォース
三菱エクスフォース
2023年の11月16日、インドネシアにある三菱自動車の現地法人が「インドネシア全土に向けたエクスフォースの供給準備が整った」と発表した。
エクスフォースについておさらいしてみよう。このクルマは8月に行われたインドネシア国際オートショーで、三菱自動車が発表したコンパクトSUVだ。同社はこのクルマをインドネシアで生産し、アセアン諸国はもちろん、南アジアや中南米、中東、アフリカにも展開するという。
ところがその姿を見てみると、新興国向けで終わらせるのは惜しいと感じる。エクステリアにはアウトランダーやエクリプスクロスとは異なる新世代のダイナミックシールドが採用されているし、FFながら「ノーマル」「ウェット」「グラベル」「マッド」という4つのドライブモードまで備えているからだ。
いっぽう日本には、エクスフォースを導入すべき事情がある。日本市場における三菱のSUVラインナップは、「アウトランダー」「エクリプスクロス」「RVR」という3兄弟で構成されているが、ボトムを担うRVRが旧態化しているためだ。
インドネシアで行われたエクスフォースの出庫式
実はRVRは欧州市場で「ASX」という名前で販売されており、こちらは一足先にフルモデルチェンジを果たした。ところがその実態はルノー キャプチャーのOEMで、キャプチャーが市販されている日本に導入しても存在感が出せない。つまり、日本には別のRVRが必要なわけだ。
ここでエクスフォースの存在が急浮上してくる。最大の理由はボディサイズだ。エクスフォースは全長4390mm×全幅1810mm×全高1660mm。これを現行RVR(全長4365mm×全幅1810mm×全高1640mm)と比べると、ほぼ同じなのだ。
次期RVRについては来年にも登場するはずの日産キックスがベースという説もあるのだが、いかんせんボディサイズが一回り小さい(現行モデルで全長4290mm×全幅1769mm×全高1605mm)。先代比でキャビン容積が小さくなってしまうため、こちらの可能性は低いと言わざるを得ない。
■パワーユニットと安全法規対応が壁
エクスフォースのインパネ回り
ということでエクスフォースへの期待が高まるわけだが、このクルマにも立ちふさがる問題はある。パワーユニットと安全法規対応だ。
まずパワーユニットだが、インドネシアで作られるエクスフォースは1.5Lの自然吸気ガソリンエンジン(現行エクスリプスクロスが積む4B40型の一世代前の4A91型)を積む。日本で発売するにはこれだけでは厳しく、やはりPHEVが必要になるだろう。
となるとアウトランダーやエクリプスクロスが積む2.4Lガソリンエンジン+モーターというPHEVユニットを収め、かつ4WD化が必要になるのだが、エクスフォースでこれが可能かどうか、現時点では情報がない。
安全法規対応はどうか。エクスフォースはASEANほか新興国の基準に照らして設計されているため、日本の衝突安全基準をクリアできない可能性が高い。歩行者頭部保護といった先進国特有の基準は、ゼロから検討する必要も出てくるはずだ。
これらを乗り越えるためには、エクスフォースに大きな改良が必要となる。この場合、日本市場だけでは採算が厳しいので、オーストラリアなど先進国市場全体をにらんでの戦略が必要になるだろう。
繰り返すが、エクスフォースを新興国向けで終わらせるのはもったいない。日本の街角で、ぜひともその姿を目撃したいものだ。
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みんなのコメント
ライターさん、絶対買わないだろ?
ほんと無責任だな
これも出れば売れる