この記事をまとめると
■トラックドライバーは私たちの暮らしを支える存在
トラックドライバーを「底辺」と揶揄する人も! 本当に「誰にでもできる仕事」なのか元ドライバーが内情を語る!!
■しかしクレーマーの標的になってしまうことも多い
■トラックドライバーへのクレームの例を紹介
派手なデコトラで仕事をするのが困難に
なにかにつけて反社会的な行動や存在に敏感な日本。そんな国民性が功を奏し、安全で住みよい暮らしが維持されているといっても過言ではない。しかし、ときおり自由の国と称されるアメリカのような、遊び心に憧れを抱く瞬間はないだろうか。反社会的な脅威をよしとする思いはさらさらないが、アメリカ人の子どものような純粋な行動が、羨ましく思えたりもするのである。
映画の制作現場においても、現代の日本では交通法規に則った撮影が必要とされる。昭和時代の日本はまだ寛大だったのだが、法定速度や信号の遵守は当然のこと、爆発物においても可能なレベルが事細かに制限されるようになった。もちろん重大な事故を未然に防ぐための策ではあるのだが、アメリカでは街を上げて撮影に協力しているという。そのため優れた映画を撮ることができるのだ。日本の映画界がアメリカのアクション映画に遠く及ばないのは、ある意味当然の結果だといえるだろう。
改造車においても、日本はとにかく批判しがち。交通ルールを完璧に守るような人は極めてまれな存在であると考えられるが、改造車に対しては妙な正義感が働いたりもする。そのため、日本発祥の改造車文化が少ないのかもしれない。
そんななかで、デコトラだけは若干様相が異なる。れっきとした改造車でありながら、真面目な日本国民にも受け入れられてきたのだ。しかし、近年では企業コンプライアンスが叫ばれるようになり、派手な装飾を施したデコトラで仕事をするのが難しくなった。周囲の目を気にする荷主や顧客たちが、自社に出入りをするトラックに注文をつけるようになったのだ。つまり、比較的ゆるかった物流の世界においても、遊び心がなくなってしまったのである。
もちろん、違法改造車や見るからに危険な改造を施した車両が批判されるのは当たり前の話。しかし、なかには理不尽ともいえる難癖をつけてくる会社もある。食品を扱う工場では、車体の外装にわずかなサビが浮いているだけで出入り禁止になった例もあれば、メーカーの純正オプションパーツであるメッキに交換しただけでもクレームをつける現場もある。ここまでくれば、もはやイチャモンだと受け止めてしまうのも無理はないだろう。
トラックドライバーに理不尽なクレームをつける人もいる
めったに自宅に帰ることがないような長距離を走るトラックドライバーたちは、トラックそのものが会社であり自分の部屋でもある。仕事中はもちろん、休憩中やプライベートな時間でさえもトラックで過ごしているのだ。そんなトラックのことを可愛がるのは自然な流れであるし、それゆえに手をかけたいと思うのも道理だろう。
自動車が好きな人間はクルマを大切に扱う。そのぶん、事故を起こす可能性も少なくなる。それが現実であるにもかかわらず、なぜにクルマ好きを排除するような手段を講じるのだろうか。甚だ疑問であるが、そこまでしなければならない会社側にも同情してしまう節もある。なにかいわなければ気が済まないようなクレーマー気質の人たちが多くなった日本を変えるためには、遊び心を養うことが先決ではないだろうか。
バスの運転手が、高速道路のサービスエリアでカレーを食べている。これは何気ない日常のひとコマであるのだが、じつのところはそうではない。現実にバス会社に届いた目撃者からのクレームである。一体、なにが問題だというのだろうか。これは極端な例であるが、なかには田んぼの所有者にカエルの鳴き声がうるさいというクレームが出たケースも。ここまでくれば、イチャモン以外の何物でもないだろう。
デコトラに話を戻すが、積み下ろしの現場ではよけいな労働を強制されるにもかかわらず、些細なことでクレームが付けられることもある。車内に人形を置いていたり、キャラクターのぬいぐるみを飾っていたり。それだけでも、クレームをつける人は存在するのだ。
「フロントガラスに、虫の死骸がいくつかついている。汚いし、視界が悪いから危ない。入る前にフロントガラスを拭いてから敷地内に入ってこい」
これは、現実に荷受け側の会社からとあるデコトラドライバーがいわれた言葉である。夏場の高速道路を走ると、当然のごとく虫が大量にぶつかってくる。乗用車よりもフロントガラスが寝ていないトラックであれば、なおさらだ。
デコトラドライバーからすれば、もちろん好んで虫の死骸をつけているわけではない。本音をいえば、大切なデコトラに虫の死骸など一匹たりともつけたくはないのだ。だが仕事である以上、やむなく夜間の高速道路を遠路駆けてきたのである。それなのにこの発言は、とかく納得できるものではないだろう。
自分のことを棚に上げて妙な正義感を振りまわし、中身のない綺麗ごとを述べることに生きがいを感じているようなクレーマー気質の人たちには、ぜひとも改善を要求したい。また、自分自身の周囲にそういう人がいないことを、切に願う次第である。
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