現在のF1は、コンストラクターズランキングの順位に応じて、各チームが行なうことのできる空力実験の量に差がつけられるようになっている。これにより、いずれかのチームだけが強さを維持し続けるという形を避けようと目論んでいる。
しかしメルセデスのジョージ・ラッセルは、コンストラクターズランキングによって差をつけるのではなく、獲得ポイントに応じて差をつけた方が、より接近した戦いを生み出すことができるはずだと語る。
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各F1チームの空力試験は、コンストラクターズランキングの順位に基づき、2ヵ月間の「空力テスト期間」(ATP)に行なうことができる風洞実験の時間や計算流体力(CFD)の量に差がつけられるように規定されている。
コンストラクターズランキングで1位になったチームは、基準値の70%になることが決まっており、逆に最下位の10位になったチームは、基準値の115%になるよう定められている。これにより、チーム間のパフォーマンス差を削減することが目指されている。
これは”空力開発ハンデ”と呼ばれることもある規則。そして6月30日をもって一旦リセットされ、7月1日以降の空力開発量は、6月30日時点のランキング順によって再設定されることになっている。
このリセットにより恩恵を受けることになるのはメルセデスだ。昨年はランキング2位で終えたため、今季前半は基準値の75%しか空力開発を行なうことができなかった。しかし今季はオーストリアGPで勝利を手にしたものの、フェラーリやマクラーレンの躍進もあり、現時点でランキング4番手に後退。その結果、シーズン後半の空力開発量は、基準の85%に引き上げられることになる。
これによりメルセデスは、1回のATP期間(8~10週間/1年が6つのATPに分けられている)内に行なうことができる風洞実験の回数が32回多く、(対気速度15m/sを超える)風洞実験の時間が8時間多く、そして風洞占有時間が40時間多くなることを意味する。また、CFDの稼働量も増えることになる。
レッドブルは引き続きランキング首位であるため、基準の70%しか空力開発を行なうことができない。またフェラーリは75%に、マクラーレンは80%に引き下げられることになる。
またランキング6番手に急浮上しているRBは、前半の105%から95%へと削減。ハースは昨年最下位だったものの今季現時点ではランキング7番手に上がったため、基準の100%になる。つまり15%分のマイナスである。
一方でアルピーヌとウイリアムズはそれぞれ10%増加。キック・ザウバーは5%増加することになった。
しかしラッセルは、この空力開発ハンデはランキングに応じて行なうのではなく、獲得ポイントに応じて変数を設定すべきだと語る。
現在レッドブルは、355ポイントを獲得してランキング首位に立っている。このポイントは、全チームの獲得ポイントの合計の1/4を超える数字だ。ラッセルは、この空力開発ハンデが獲得ポイントに応じて設定されれば、下位のチームは今よりもはるかに早く上位に追いつくことができるだろうと語る。
「風洞実験の制限は本当に良いモノだけど、それはポイントではなく、現時点でのランキングに基づいている」
そうラッセルは語った。
「レッドブルは2023年に、コンストラクターズランキング2位のチームの、2倍のポイントを獲得した。しかし風洞実験での2位や3位との差は同じだ」
「昨年、メルセデスとフェラーリの差はわずか3ポイントだった。だから、チャンピオンシップの順位ではなく、獲得ポイントに基けば、下位チームが早く追いつくのに役立つかもしれない」
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