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日産キューブはなぜ販売終了に? 歴代車種を振り返る!

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日産キューブはなぜ販売終了に? 歴代車種を振り返る!

 この記事をまとめると

■日産キューブの歴史を振り返る

バカ売れノートやセレナだけじゃない! 逆風時代に注目したい日陰の日産車3選

■日産の人気モデルだったが、当時の経営戦略に振り回されたモデルでもあった

■今でも人気があり、モデル廃止が悔やまれる一台

 日産キューブとは

 コンパクトカーのマーチをベースに、室内の広さやユーティリティを重視するため、背高ルーフを組み合わせて登場した初代キューブ。「立方体」を表す車名通りの箱型ボディを身にまとった初代は、自動車ファンのみならず、開発した日産ですら予想しなかったほど売れに売れ、1998年の国内新車販売台数はカローラについで2位の座を獲得しました。当時、経営不振に陥っていた日産を大いに支える救世主となっています。

 日産は1999年にルノーとの資本提携を結びましたが、その後もキューブの人気は衰えず、2002年には2代目が登場。当時のカルロス・ゴーンCOOが大攻勢をかけるべく「日産180」を発表した直後に登場した2代目は、左右非対称のエクステリアやインテリアなど、特にデザインに力を入れ、初代から引き続き高い人気を誇るブランドとして成長しています。

 2代目のコンセプトをさらに昇華させ、登場した3代目も大きな注目を集めましたが、人気ブランドとなったにもかかわらずモデルチェンジは行われず、2020年に惜しまれつつブランドは消滅してしまいました。

 現在は販売終了?

 先程お伝えしたように、一世を風靡したキューブは2019年12月に生産終了、2020年3月に販売終了となっています。

 多くの自動車ユーザーが「なぜフルモデルチェンジしない?」「なぜブランド消滅??」と思ったはずですが、なぜ日産はこのような判断をくだしたのでしょうか。

 今見ても2代目、3代目のデザインは斬新で、またホンダ・フリードやトヨタ・シエンタなどのコンパクトミニバンが人気を集めるなかなぜブランドが消滅したか、その理由を考えていきましょう。

 なぜ日産キューブは販売終了になったのか?

 理由その1:海外展開の不調

 3代目からグローバルモデルとして国内外の販売を開始したキューブ。斬新なデザインやユーティリティ性能が高いコンパクトカーとして国内同様、海外市場でも大きな人気を集めると予想されたキューブですが、残念なことに成功しないまま海外展開は終了してしまいました。

 一見、海外での失敗はキューブの生産終了に関係ないように思えますが、一昔前に比べ国内自動車市場のみで勝負するには厳しいのが実態。当然、4代目キューブの開発も考えられたはずですが、グローバルモデルとして成功が見込まれないなか国内専売モデルとして登場するまでには至らなかったのです。

 理由その2:日産の業績不振

 3代目キューブから4代目へとフルモデルチェンジが予定された時期、具体的に言えば2013~2018年あたりの日産は、業績が不振だったこともキューブが消滅した大きな理由となるでしょう。

 リーマンショックや東日本大震災、国内市場軽視などの影響で日産の経営状況は順調とはいえませんでした。2018年ともなると販売台数がグローバルで大幅な減少となりました。

 この結果、不採算車種を整理することが決まり、キューブもその対象に含まれてしまいました。

 理由その3:他のハイトワゴンの人気

 キューブと同じクラスのホンダ・フリードやトヨタ・シエンタは好調な販売を続けています。しかし、それらにあってキューブにないもの「3列目シート」と「スライドドア」、この2つの有無が大きな違いとなり、ブランドの消滅の大きな要因となりました。

 フリードやシエンタのメインターゲットとなる子どもがいるファミリー層にとって、チャイルドシートを装着した2列目シートから子どもの乗り降ろしがしやすいスライドドアは必須装備。また年数回とはいえ発生する多人数乗車時に3列目シートは大きな購入ポイントとなります。

 そもそもキューブのメインターゲットは家族ではなく若者。しかし、若者たちが憧れるのはコンパクトカーではなくSUVとなったこともキューブが消滅した理由のひとつになるかもしれません。

 歴代キューブについて振り返ろう

 初代(1998~2002年)

 全長3750mm×全幅1610mm×全高1625mm、ホイールベース2360mm

 マーチをベースに約200mmも背高なキャビンを配し、コンパクトミニバン化したのが初代キューブ。ベースとなったマーチが女性ユーザーから支持されていたことに対し、初代は男性ユーザーを中心に取り込む次世代のベーシックカーとして開発されました。

 車名通り箱型のシンプルなデザインを採用してデビューした初代は、4mを切る全長ながらもスペース効率が良い室内空間や車両販売価格が114万8000円からとお手頃な値付け、なによりカスタム向きなスクエアでシンプルなフォルムが人気を集め、大ヒットとなりました。

 デビュー時、初代に搭載されたパワーユニットはCG13DE型1.3リッター直4エンジン。ベースとなったマーチにも用意されたこのエンジンをキューブ用にリファインし、最高出力などをアップさせて搭載しています。

 エンジンに組み合わされるトランスミッションはCVTとともに4速ATを用意。すべてのグレードで両トランスミッションを選ぶことができましたが、CVT仕様は排気規制値を最大限に満たしたロー・エミッション・ビークルとなっていたのが違いです。

 初代で特質すべき点はデビュー時の乗車定員が4名であること。これはホイールベースが同様のマーチと比べ、リヤシートのヒップポイントを高めつつ、ニースペースを広げるため後方へ移動したことでシート両端がホイールアーチに干渉。座面幅が狭くなったことでリヤシートが2名がけになったことによるものです。ただ、ユーザーから不評をかったことで2000年のマイナーチェンジで定員が5名へと変更されています。

 2代目(2002~2008年)

 全長3730mm×全幅1670mm×全高1640mm、ホイールベース2430mm

 初めてのフルモデルチェンジで登場した2代目キューブ。初代登場から4年後に登場した2代目ですが、同じブランドとは思えないほどエクステリアデザインが大きく変貌していました。

 車名通りハコ型を全面に打ち出し、サイドボディは左右非対称デザインに仕立てるなどユニークなデザインはインパクト抜群。ただ斬新なデザインだけでなく、ユーティリティ性能も特筆できるものでした。垂直に近いサイドパネルやドア、テールゲートを用いたことで初代から全長は20mm短くなったものの、居住空間は拡大。リヤシートのニールームは83mmも広がっています。

 そのリヤシートは220mmのスライド機構付き。リヤシートを調整することで、ラゲッジルームも最大828mmまで伸ばすことが可能でした。

 パワーユニットはCR14DE型1.4リッター直4エンジンを採用。初代同様、4速ATとCVTが組み合わされていました。

 また、2代目にはモーター駆動式4WD「e-4WD」が用意されたこともトピックスのひとつでしょう。

 エンジンで前輪を駆動しながら、路面状況などに応じて後輪モーターで駆動するこのシステムは、トランスファーやプロペラシャフトがないことでスペース効率にすぐれ低コストで車両に搭載可能。新世代の4WDシステムとして注目を集めました。

 2代目キューブは2007年のマイナーチェンジでフロントマスクのデザインを変更。丸目ヘッドランプから、ヘッドランプとウインカーランプを一体型とした横長ランプを採用しています。その後、一部改良を繰り返し2008年まで販売されました。

 キューブキュービック(2003~2008年)

 全長3920mm×全幅1670mm×全高1650mm、ホイールベース2600mm

 2代目キューブの全長とホイールベースを170mm延長し、3列目シートを配した派生車のキューブキュービック。同じく3列目シートを備えたライバル車のホンダ・モビリオよりもコンパクトなミニバンとしてデビュー時は大きな話題を集めました。

 2代目と比べ、ボディが大きくなりましたが搭載されるエンジンはCR14DE型1.4リッターエンジンそのままで、トランスミッションも4速ATとCVTが用意されています。トランスミッションはボディが重くなったキューブキュービック専用のチューニングが施されています。

 キューブキュービック最大の特徴である3列目シートは、大人が乗車するには厳しいスペースでしかなかったのが正直なところ。ただ、緊急用として3列目シートがあるのとないとは大きな違いがあるもの事実です。

 また2代目キューブで大きな人気を集めたエクステリアデザインがボディを延長しても、その印象が変わらなかったことも特徴といえるでしょう。2代目キューブのデザインが好きだけど、もう少しユーティリティ性能が欲しい、3列目シートが欲しいというユーザーにキューブキュービックはハマりました。

 ただ、完成度が高い2代目キューブのデザインを維持することに力を入れすぎ、ボディの拡大を170mmに抑えたことが窮屈な3列目シートとなったことも事実。使い勝手という面でデメリットとなってしまいました。

 筆者は6名乗車のキューブキュービックを運転したことがありますが、多人数乗車時の走行性能はイマイチ、というか最悪なものでした。高速道路の上り坂ですらアクセルを思いっきり踏み込まないと登っていかない非力さは、運転することを今すぐ止めたくなったほど。日産は多人数乗車時を想定しなかったのだろうかと疑問を呈したほどです。

 パワーユニット自体、キューブキュービック用に排気量を増したエンジンやパワーアップを施すべきでした。

 残念ながら3代目キューブの登場とともにキューブキュービックの販売も終了。様々な理由はあったのでしょうが、3代目キューブに3列目シートを配したキューブキュービックが用意されなかったのは、キューブの運命を消滅に導いた要因となったかもしれません。

 3代目キューブ(2008~2020年)

 全長3890mm×全幅1695mm×全高1680mm、ホイールベース2530mm

 初代、2代目と日産を支える基幹車種にまで成長したキューブは2008年に3代目へとフルモデルチェンジ。キューブの大きな特徴である左右非対称デザインと横開きのリヤゲートを継承し、デザインも2代目のイメージを踏襲しました。

 3代目の大きなトピックスは、キューブとしては初となるグローバル展開をスタートしたこと。左ハンドル仕様を製造するにあたり大きなネックとなる左右非対称デザインは、ハンドルに合わせ左開きと右開き2つのボディを作ることで解決しました。

 国内仕様の3代目キューブはHR15DE型直4エンジンを搭載。先代まで用意されたATはなくトランスミッションは全車CVTとなりました。また4WDシステムは先代同様、後輪を電気モーターで駆動するe・4WDを採用。ただし、モーターの大型化や電流量やトルクをアップ、また、CVTとの協調制御を施すなどの改良が加えられています。

 歴代キューブが力を入れている居住空間については、2代目から100mmホイールベースを延長したことで空間を拡大。リヤシートのニールームは45mm拡大、ヒップポイントは70mm後退しています。また、リヤシートのヒップポイントを前席より64mm高めたシアターレイアウトを採用し、後席乗員の開放感を高めました。

 インテリアも先代同様、自分の部屋でのくつろぎ感をイメージしたデザインを踏襲。居心地の良さにこだわった空間に仕立てています。スピーカーグリルやカップホルダーなどに用いられている波紋型の意匠や、柔らかな透過光が室内を照らすSHOJIシェードなど2代目にはない多くの工夫が施されています。

 3代目はデビュー後、細かい改良やマイナーチェンジが行われましたが、前述したように2019年をもって生産終了。2020年3月に販売終了となりました。

 まとめ

 一世を風靡したブランドですら消滅してしまうことは珍しくありませんが、キューブについてはもう少し日産がなんとかすることで継続も可能だったかもと思ってしまいます。

「もしファミリー層をターゲットとしたキューブキュービックが3代目にも設定されていたら」、「3代目も国内専売モデルとして展開していたら…」など素人的な考えではありますが、改めて考えてもキューブというブランドを消すのは残念でありません。

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みんなのコメント

12件
  • 往年のパイクカーシリーズの雰囲気も漂わせつつ、クリーンでシンプル、でも質感も伴った2代目のデザインは相当秀逸。
    事実未だに街中で見ても全く陳腐化してない。
    こういうのをキチンとブランド化して売れる様にならないとトヨタみたいになるぞ(笑)
  • 初代と2代目に乗っていました。3代目はあまりにブルドック過ぎて他者に移りましたが。
    2代目は今でも街で見かけると良いなと思ってしまうし、今若い人にパイクカーが人気なので国内向けでも良いから復活して欲しいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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