確実にイメージアップする「インチアップ」の注意点
クルマを手ごろにカスタムできることで、人気が高いインチアップ。ホイールをより大径化することで、愛車のイメージを大きく変えるドレスアップ効果が得られるほか、ハンドリング性能やコーナリング性能の向上などのメリットもあるが、気をつけたいのがタイヤ・ホイールの選び方だ。
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きちんとしたサイズなどを選ばないと、乗り心地が悪くなったり、燃費が低下するなどの性能面でデメリットが出てくる。また、あまり無理なインチアップをすると、タイヤがタイヤハウスからはみ出して、フェンダーが割れたり、車検に通らないなんてこともある。そこで、ここでは、インチアップ時にタイヤ・ホイールを選ぶ際の注意点を紹介する。
インチアップとは
そもそもインチアップとは、単純にホイールを大径化することではない。タイヤサイズを偏平率の低いものにすることで、タイヤの外径を変えずに径の大きなホイールを履かせることだ。
ここでいう偏平率とは、タイヤの幅をサイドウォール(側面)の高さで割った数値をパーセント(%)で表したもの。タイヤサイズは、サイドウォールに刻印されていて、例えば、「195/65R15」というサイズであれば、「65」という数字が扁平率となる。扁平率の数値が小さくなるほど、クルマを横から見たときにゴムの部分が薄くなり、タイヤの幅は広くなる。
元々、インチアップはスポーツ車などで、ハンドリング性能やコーナリング性能を向上させたり、より大径のブレーキローターやキャリパーを装着し制動力を強化するためなどを目的に行われてきた。
ところが、最近はホイールをより大きく好みのデザインにすることで、愛車をドレスアップする目的としてもよく行われる。ホイールとタイヤを替えるだけである程度のカスタム感が出やすいため、手軽な手法として高い人気を誇っているのだ。
タイヤ選びの注意点は「外径」や「負荷能力」
そんなインチアップだが、前述の通り正しいサイズのタイヤやホイールを選ばないと、実際に装着したらはみ出したなどのトラブルも起こる。タイヤは大前提として、純正装着と同じ外径になるサイズを選び、ロードインデックスも標準サイズと同等以上のものを選ぶ必要がある。
まずは、外径が同じになる適合サイズ。これは、主要なタイヤメーカーの多くが、カタログやホームページなどに早見表を出しているので、それがあればインチアップした際に外径サイズがほぼ同じになる適合サイズはすぐにわかる。ただし、タイヤメーカーによっては、対応するサイズが異なることもあるため、自分がどのメーカーのタイヤを使うかで、適合するサイズを調べる必要がある。
次に、ロードインデックスもチェックする。ロードインデックスとは、既定の条件下でそのタイヤに負荷できる最大負荷能力を示したもの。インチアップをするときには、標準タイヤサイズのロードインデックスを下まわらないタイヤを選ぶことが重要となる。負荷能力が低い仕様だと、タイヤがクルマを支えられなくなり、事故や故障につながるためだ。これも、先述したインチアップ対応のタイヤサイズ早見表に載っていて、「LI」という欄に書かれているのでチェックする。
実際に、先に例を挙げた195/65R15が純正サイズの場合で説明しよう。ちなみに、このサイズは、トヨタ「プリウス」の一部グレードなどに装着されているものだ。195/65R15のロードインデックスは91なので、某メーカーの早見表で調べると、外径が同じになり、ロードインデクスも同等なサイズは以下のようになる。
(サイズ) (LI)・205/55R16 91・215/55R16 91・215/50R17 91・225/45R17 91・245/40R17 91
以上が、外径とロードインデクスが純正タイヤと同じになるサイズだが、車種によってはあまり幅が広いタイヤでは、はみ出してしまうことがあるので注意が必要。走行に支障が出るだけでなく、車検にも通らず、整備不良車(不正改造車)として取り締まりの対象になるので注意したい。ちなみに、ロードインデックスは、例の場合91以上の数字であれば問題ない。
空気圧も扁平タイヤに適合させる
また、インチアップで低扁平率のタイヤを装着した場合は、サイズだけでなく、空気圧にも注意したい。低扁平タイヤは内部の空気量が減り、同時にタイヤが支えられる負荷(荷重指数)も少なくなるため、純正タイヤより空気圧を高くする必要があるためだ。
ただし、むやみに空気圧を上げすぎてもバーストの恐れが出てくる。基本的にはタイヤメーカーの指定空気圧に合わせれば大丈夫だが、不安な場合は、タイヤを購入するカー用品店など専門業者に相談するのが一番だ。
ホイールは「装着」できて「収まるサイズ」
ホイール選びでは、とくに重要なのがハブの穴数と間隔だ。まず、ハブの穴数だが、ホイールハブとホイールはボルトナットで結合されるが、車種によってボルトの穴数が違うからだ。これは、ホイール中心部にあるナットの数をみれば一目瞭然。国産車は5穴タイプが多いが、車種や年式によっては4穴や6穴もあるので注意しよう。
また、ボルトで固定するハブの間隔も車種によって違うので注意が必要だ。これは、PCDという規格で現されていて、国産車では114.3mmや100mmが一般だ。PCDが違うと、ハブにホイールの穴をはめ込むことができないので注意しよう。
ほかにもホイールには、インセットというものがある。リム幅の中心を基準に、ホイールの車体取り付け面(ハブ)までの長さのことでmmで現される。
インセットの数値が大きいほど、ハブがリム幅の中心より外側になり、ホイール全体はより車体の内側にセットされ、「インセット」と呼ばれる。逆に数値が小さい方が、ハブはリム幅の中心より内側になるため、ホイール全体はより車体の外側にセットされ、これを「アウトセット」という。なお、リム幅の中心とハブが同じ位置の場合は「ゼロセット」となる。
加えて、ホイールのリム幅が大き過ぎるとタイヤが装着できないとか、引っ張って装着したために、走行中にリムが路面などに当たり傷が付くことなどもある。ちなみに、ホイールのサイズは、以下のような数値で表される。例えば、「16×6.5J 5-114.3 50」の場合、16はリム径、6.5Jはリム幅、Jはフランジ(ホイールとタイヤが接合する部分の)形状、5はハブ穴数、114.3はPCD、50はインセットだ。読み方を覚えておけば、ホイールのサイズ選びの参考になる。
このように、インチアップは手ごろなようで、じつは奥が深い。とくに初めてトライする人の場合、前述の空気圧も含め、専門のショップなどに相談することをおすすめする。ホイールやタイヤも安い買い物ではないし、安全に関わる重要なパーツだ。自分で勝手に選び、あとで後悔したり、事故などを起こさないよう細心の注意を心掛けてほしい。
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みんなのコメント
薄いゴムとスカスカのホイールが、『どう見ても自転車タイヤ』といつも思ってしまいます。