■スポーツSUVから原点回帰のクルマまで。どっちも運転が愉しい!
モータージャーナリスト嶋田智之氏が2021年に試乗したいクルマのベストスリーを選んでもらった。選出された3台に共通するのは、「クルマを操る愉しさ」満載であること。
自動運転が当たり前になってしまうかもしれない近未来。しかし、クルマを操る愉しさはきっとなくならないはず。2021年のカーライフのパートナーとしてオススメの3台を紹介しよう。
●第3位:アストンマーティン「DBX」
しばらく前はSUVにあまり興味がなかった僕だけど、それは動きが鈍くて眠たいクルマが多かったから。
よく走りよく曲がるモデルが増えた今では、セダンやステーションワゴンと同じで嫌いじゃない。日常的な利便性と走る楽しさを兼ね備えたスポーツ系SUVは、手元に1台あったらいいな、なんて思うくらい。
その筆頭はアルファ ロメオ「ステルヴィオ」なのだけど、それを超えてきたかも……と思える存在がアストンマーティン「DBX」だ。
おそらくダイナミクス性能を作り上げる名人、マット・ベッカーさんのドライブだと思うけど、まだ開発期間中に公開された動画の中で、まるで「ヴァンテージ」であるかのような華麗なスライドとともに曲がっていくクルマの姿勢を見た瞬間から、ずっと興味を引かれてる。SUVなのに、間違いなくモダン・アストンなのだ。
幸福なことに最新アストンには常に触れてこられたのだけど、巡り合わせが悪くて2020年にはDBXに試乗できなかった。2021年にはぜひ!
●第2位:フィアット「500」
職業柄ということもあれば個人的な好みもあって、これまで慣れ親しんできたスーパースポーツカーに対する関心は今も当たり前のように持ち続けている。
けれど、それらはあまりに高性能になりすぎて、然るべき場所に持ち込まない限り持てるパフォーマンスを解き放つことなんてできやしない。
街中では安楽で快適で、まるで尖ったカタチをした高級乗用車に過ぎない。これってこの先、永遠のジレンマなんじゃない? そんなふうに考えてたときにひさびさに試乗したクラシック「チンクエチェント」が、新鮮な感動を与えてくれた。
たった18ps。目がさめるほどに遅いのに、ドライバーがしっかり操縦してあげないと上手く走ってくれないし、きっちり操縦すれば見事に応えてくれる。想像を遙かに超えて楽しく走れるのだ。
途方もなくシンプルななかに大切なモノがたくさん隠れてる予感。なので、2021年はこの稀代の名車にもっと触れてみたい、という欲求が沸々してる今、だ。
■イタリアの情熱がほとばしるジュリアとは?
操る愉しさに加え、クルマに“パッション”を求めるのならイタリア車ほど適任のクルマはない。そうしたイタリア車の中で、2021年に最注目のクルマといえばアルファ ロメオ「ジュリアGTA/GTAm」しかない。
●第1位:アルファ ロメオ「ジュリアGTA/GTAm」
2020年はアルファロメオの創立110周年となる年だった。その節目に発表された「ジュリア・クアドリフォリオ」をベースにするGTA/GTAmの市販に向けた開発は、どうやら順調に進んでる模様。
アルファ ロメオF1チームのキミ・ライコネンとアントニオ・ジョヴィナッツィのテストをしている様子が、アルファ公式YouTubeで公開されてたりもする。
クアドリフォリオのエンジン・パワーを30ps上乗せし、車重を100kgほど軽くしたことで計算上+35ps相当、つまり合計+65psの575ps相当に。クアドリフォリオはただでさえ速いんだから、めちゃっ速でしょ。
脚ももちろんチューンされてるんだろうけど、前後のトレッドが50mmずつ拡大されて事実上のショートホイールベース化だっておこなわれてる。クアドリフォリオはただでさえシャープな運動性能を持ってるんだから、切れ味さらに鋭くなっちゃってるでしょ。……と、気持ちのなかには期待感しかない。乗ってみたくない人なんて、いないでしょ?
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