現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタ・カムリはなぜ日本から消滅? 歴代モデルの「役目」と今後の行方

ここから本文です

トヨタ・カムリはなぜ日本から消滅? 歴代モデルの「役目」と今後の行方

掲載 14
トヨタ・カムリはなぜ日本から消滅? 歴代モデルの「役目」と今後の行方

 この記事をまとめると

■トヨタ・カムリの国内販売終了が報道された

JPNタクシーの普及に暗雲! いま「シエンタ」や「カムリ」のタクシーが増えているワケ

■そこで今回は歴代カムリを振り返る

■カムリに代わるモデルについても検討

 ここ最近は「ひっそり」と売られていたカムリ

 トヨタ・カムリの国内販売終了のニュースが本稿執筆中に駆け巡っている。グローバルマーケットではトヨタの基幹販売車種であるカムリだが、ここ最近は日本市場においてはまさに「ひっそり」と販売が続けられていた。

 そのカムリの源流は1980年まで遡る。初代というか、初めて日本語の『冠』を源とするカ「カムリ」という車名をつけたモデルはFR(後輪駆動)を採用し、「セリカ・カムリ」と名乗っていた。人気の高い現行5代目プリウスのことを「セリカ4ドアクーペ」と表現した人がいた。その意味では駆動方式などは異なるものの、5代目プリウスのご先祖様といえるかもしれない。

 1982年にFF(前輪駆動)を採用した2代目カムリがデビューする。ただ歴代カムリのカウントの仕方では、この初のFFカムリを初代モデルとすることもある。対米輸出を主眼に開発されたモデルであり、当時トヨタ車のなかではFF方式を採用するモデルはわずかだったこともあり、対米輸出を主眼においていたものの、デビュー当初は5速MTのみの設定で、遅れてATが追加されている。

 3代目は1986年にデビュー。トヨタ車のなかで初めて「ハイメカツインカム」を搭載。1987年には対米市場を意識したV6エンジンを搭載した「プロミネント」を追加設定した。1988年に当初セダンしかなかったプロミネントに4ドアハードトップが追加となり、これをベースに北米市場では「レクサスES250」がラインアップされている。

 筆者は当時大学生であり卒業旅行でロサンゼルスを訪れた際に、直4エンジンを搭載したカムリのレンタカーを借りたことがある。当時はパッシブシートベルト(ドアを閉めると自動的に装着されるシートベルト)が装備され、とても珍しいなあと思っていたことを覚えている。当時のアメリカ車はV型大排気量エンジン搭載が当たり前。そのなかで直4ながら不満なくフリーウェイなどを走っていた。当時のアメリカ車に比べると、発進加速の良さが印象的であった。

 1990年に4代目がデビュー。時代はバブル経済後期。カローラを「卒業」した父親が最上級グレードのZX(後期モデル)を購入した。ソフト樹脂のダッシュボードなど質感の高さはセルシオ並みで、雨滴感知式オートワイパーなど贅沢装備も豊富に装備されていた。それまでMT車しか運転していなかった父にとってAT車は初めてだった。納車の時の試運転で思わず足踏み式パーキングブレーキをクラッチ代わりに思い切り踏んで急停車させたのが納車の思い出であった。

 1994年に5代目がデビュー。バブル経済が崩壊し、新車は従来モデルに比べてコストダウンの目立つモデルチェンジを行っていた。そのなか我が家でも父が5代目へ乗り換えた。同じZXグレードを購入したのだが、雨滴感知式自動ワイパーなど豪華装備は激減し、思い切りコストダウンした形跡がそこかしこに目立っていた。

 1996年に6代目が「カムリ・グラシア」としてデビューする。このころから北米市場ではかなり良く売れるようになった。そして、シリーズ初の全車3ナンバーワイドボディとなった。カムリはアメリカにおいては日本のカローラセダンのような存在となる。故障が少なく、燃費が良い実用セダンとして中間管理職のお父さんなどの通勤用のクルマとしての需要が多いのである。

 筆者の家では、マイナーチェンジを期に「カムリ・グラシア」から「カムリ」になったセダンに乗り換えた。当時でもセダンは日本ではあまり見かけることはなかった。納車された実車を見ると、記憶ではタイヤ(日本ブランド)とフロントウインドウにアメリカ製のものが装着されていた(クルマ自体は日本製)ことに驚くとともに、アメリカが大好きな筆者はとても嬉しかった。

 内外装ともに奇をてらった部分はなく、オーソドックスで実用性重視となっていたのだが、質感が程よく高く父親も初めての3ナンバー車となったがとても満足していた。

 2001年に7代目がデビューし、同時に我が家のクルマとなった。6代目の大ヒットを経て、よりアメリカ市場を強く意識して、さらなるボディサイズの拡大を行った。全幅10mm拡大、全長55mm延長は結構デカさを感じた。

 2006年に8代目が登場。ここからは筆者が南カリフォルニアを訪れた時の移動の足としてカムリをよく借りることが多くなった。その後2011年に9代目、そして2017年に現行10代目がデビューしている。

 国内市場でカムリに代わるモデルは?

 アメリカではフォード・トーラス、ホンダ・アコードとともに全米乗用車販売台数ランキングでトップを争うベストカーとなっている。たとえばカローラクラスをアメリカでレンタカーとして借りると、燃料タンク容量が小さく、砂漠などガソリンスタンドの少ない郊外を走っていると、燃費はいいのだがタンク容量が少ないことで、結果的に給油頻度が多く、その意味でガソリンスタンドの存在が気になりやや面倒に感じてしまう。ところがカムリ及び同クラスでは、程よい燃費性能に加えて大容量の燃料タンクを備えるので、長距離移動する際には使い勝手がよく、さらに壊れにくいということでアメリカでは人気が高いといえよう。また、ニューヨークやシカゴなどの一部都市部ではハイブリッド仕様がタクシーとして活躍しており、アメリカで定評のある実用性の高いモデルであることとともに、耐久性能もトヨタ車のなかでは太鼓判ものといっていいだろう。

 クラウンが現状クロスオーバーとなり、今後はクロスオーバーSUVスタイルのエステートやスポーツ、そして全長5メートル超えのセダンが登場するともいわれているが、従来のクラウンに代わるモデルがないので、てっきりカムリがその部分を補填するかと思っていたので、国内販売中止は意外な話として捉えている。

 黒塗りハイヤーのニーズを担うモデルがなくなってしまうことになるので、全面的にアルファードがその役割を引き継ぐことになるのだろうか。それとも国内向けにはかつてのクラウンコンフォートのような、日本市場専用のモデル(ひょっとしたら5ナンバー仕様?)の登場を期待してもいいのかもしれない。

 次期型がどうなるのかを考えれば、一足先に新型になったアコードを見てもわかるとおり、ボディサイズの拡大はマストで行われそうだ。新型アコードはすでに「日本で販売しにくいサイズ」ともいわれており、カムリも次期型を意識して国内販売終了を決断したのかもしれない。

 となると、トヨタのなかで正統派セダンはカローラセダンのみともいえる。しかし、国内仕様はグローバル仕様よりも全体に小さいナローボディとなっており、セダンとしての使い勝手はいまひとつ。となると、次期型カローラセダンを国内でもグローバルサイズにして、いままでのカムリの需要も担おうとしているのかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
motorsport.com 日本版
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
くるまのニュース
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
バイクのニュース
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
レスポンス
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
ベストカーWeb
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レスポンス
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
メルセデスが3セッション連続で最速! 終盤の赤旗中断で、アタック未完了のマシン多数……勢力図は不明瞭|F1ラスベガスGPフリー走行3回目
motorsport.com 日本版
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
ルノーがハイブリッド車に使ったF1直系の技術……って聞くとなんかたぎる! 「ドッグクラッチ」ってそもそも何?
WEB CARTOP
F1ラスベガスFP3速報|赤旗で消化不良に。ラッセルがトップタイム、RB角田裕毅は16番手
F1ラスベガスFP3速報|赤旗で消化不良に。ラッセルがトップタイム、RB角田裕毅は16番手
motorsport.com 日本版
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
くるまのニュース
WRCラリージャパン、SS12キャンセル原因は“無許可の車両によるステージ侵入”とFIA発表
WRCラリージャパン、SS12キャンセル原因は“無許可の車両によるステージ侵入”とFIA発表
motorsport.com 日本版
山脈貫通!「新潟‐福島」結ぶ国道が建設着々 “延長21km・トンネル15本”におよぶ大規模道路いつ開通?
山脈貫通!「新潟‐福島」結ぶ国道が建設着々 “延長21km・トンネル15本”におよぶ大規模道路いつ開通?
乗りものニュース
昭和の名車とワーゲンがぎっしり…茨城県の江戸崎商店街でホコ天イベント
昭和の名車とワーゲンがぎっしり…茨城県の江戸崎商店街でホコ天イベント
レスポンス
ドゥカティ現行車では唯一!? 空冷Lツインを搭載する第2世代スクランブラー「アイコン」の魅力
ドゥカティ現行車では唯一!? 空冷Lツインを搭載する第2世代スクランブラー「アイコン」の魅力
バイクのニュース
ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
ホーナーの言うことは「信用できない」とウォルフ。妻に対するFIAの調査の際に不信感を募らせたことを明かす
AUTOSPORT web
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
バスドライバーを疲れさせる「プルプル運転」とは何か? 自動運転時代の落とし穴! 過剰な安全対策が招く危険とは
Merkmal
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
46台の輸入EVが丸の内に集結!「JAIA カーボンニュートラル促進イベント」リポート
LE VOLANT CARSMEET WEB
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
【プロカメラマン】が大量画像で記録!「腐っていたKLXが終に熟成!四国MSBR撮影後の修理と詰めの改良!」(最終回)  
モーサイ

みんなのコメント

14件
  • 買わなかったくせに惜しむな、結局ミニバンがいいんだろ
  • セダン=高級車になった感じ。カムリ買うなら頑張ってクラウンとかね。セダン乗るならドイツご三家とかね。国内でセダン購入層が減っているのは事実だし。頑張った方だよ。お疲れ様カムリ。海外で頑張れ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.5468.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.080000.0万円

中古車を検索
カムリの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

349.5468.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.080000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村