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「Toyota Technical Center Shimoyama」お披露目式 豊田会長スピーチ全文

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「Toyota Technical Center Shimoyama」お披露目式 豊田会長スピーチ全文



―― お披露目式でスピーチした豊田 章男会長

フラットスペースを一瞬で展開できる優れもの! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー

3月25日から全面運用を開始したトヨタにおける「もっといいクルマ」の車両開発を牽引する施設「「Toyota Technical Center Shimoyama」。4月2日に開催されたお披露目式でのトヨタ自動車株式会社 豊田 章男会長のスピーチ全文をお届けする。なお、お披露目式には、愛知県大村知事、豊田市太田市長、岡崎市中根市長、元愛知県議会議員の三浦 孝司氏が出席した。

●まとめ:月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車株式会社/月刊自家用車編集部



豊田でございます。道がクルマをつくる…、ニュルブルクリンクで成瀬さんが私に教えてくれた言葉であり、一緒に実践し続けてきたことでもあります。

2020年、GR ヤリスは、発売の”その日”に行われた24時間レースで優勝し、大きな話題となりました。なぜ発売と同時に走り切れたのか?それは発売前にたくさん走り込み、クルマを壊すことができたからです。

当時はコロナ禍で、研修施設に閉じこもって仕事をする日々…

併設されたダートコースで、私は空き時間に、GR ヤリスの開発車両に乗り続けておりました。走れば走るだけ、なにかしらの部品が壊れていくそのたびに、エンジニアとメカニックが、原因を追求し、対策を考えてくれました。

何度も、何度も、これを繰り返し、GR ヤリスは本当に強いクルマになっていったのだと思います。クルマをつくる上で一番大事なことは「壊すこと」だと改めて感じました。とにかく道を走って、壊して、直す…、これを繰り返していくこと”こそ”が、クルマをつくるということなのだと思います。

“ここ”下山は、走って、壊して、直すを、毎日毎日、何度も何度も、繰り返せる場所です。

ここには、様々な道を再現したテストコースがございます。コースを走って、そのまま作業場に入れば、そこにはメカニックがいて、上の階にはエンジニアもいます。みんなが、すぐに駆けつけて、クルマを囲んで相談していく…、こういう場所が、あったほうがいいとずっと考えておりました。

―― 豊田会長がマスタードライバーとしてドライブし、実際に横転して壊した車両。今後、下山の施設内に展示するという。

こちらの展示車、皆さまも気になっておられると思います。

私が下山で横転して壊した車です。「走る、壊す、直す」の象徴として、あえて直しておりませんが、どうしてこのような走りになったのか?私の運転技術も含め、なにをどう改善して、もっといいクルマにしていくのか?みんなで考えた1台です。少し恥ずかしいですが、分かりやすいので、置かせていただきました。

この施設の構想がスタートして30年近くが経ちます。地域の皆さまにご迷惑をかけぬよう…、むしろ「トヨタが下山に来てよかった」と笑顔になっていただきたい、と思い、ずっとやってまいりました。この「皆さま」には、本日お越しいただいた“人間”の皆さまだけでなく、古くからお住まいの“動物や植物の皆さま“も含まれております。そんな地域との共生に向け、多くの方々に、ご協力をいただきました。

―― 愛知県大村知事

大村知事には、このあとご挨拶もいただきますが、県の皆さまには、ここへ通ずる新しい道を通していただくために、国への働きかけも含め、多大なご尽力をいただきました。県道だけではありません。豊田市、岡崎市の皆さまのご努力で、新しい市道も整備いただき、多くの社員が職場にスムースに通えるようにしていただきました。ここの土地に、この施設を建てるということに対しても、沢山の険しい道を越えてまいりましたが、県にも市にも、専任のチームを立てていただき、私共と二人三脚で歩んできて、いただいております。

太田市長は、当時、その専任チームにいらっしゃったということで、本当にずっと二人三脚です。そんな二人三脚のまま、太田市長には、ラリージャパンも開催いただきました。その準備のときも太田市長は…「山には何もないという大人もいる。大人が、そんなことを言うと、子どもまで、そう思ってしまう。そして、いずれ子ども達は山を離れていってしまう。ちゃんと大人たちが山の魅力を理解して発信しないといけない!」「山の魅力を大切にして、そこで暮らす子どもたちの誇りを取り戻したい!」こんなお話しを、繰り返し力説されていらっしゃいました。

実際、ラリージャパンは、150カ国/8億4000万人が見守るテレビ放送と…、SNS では17億回も…、豊田市の美しい山の風景が映し出されることになりました。ここの施設をつくるにあたり、多少、木を切ってしまい、山の風景を変えてしまいました。

豊田市、岡崎市にも、ご協力いただいて、自然との共生は努めてまいりましたが、子ども達に誇りを持ってもらえるような下山を残せているでしょうか?太田さん、いかがでしょう?

太田市長、中根市長…、両市の皆様には本当にお世話になりました。今年もラリージャパンがございます。豊田市、岡崎市の“山あいの素敵な風景”を世界中の多くの方に見ていただけるよう今年もがんばりましょう!

最後に、下山および松平地区にお住まいの皆さま、これまで長きにわたる建設期間、そして、これからも末長くとなりますが、多大なるご理解とご支援をいただいていること、心より感謝いたします。三浦元県議、なんで自分がこれをとりまとめなければいけないのか、何度も考えた、とおっしゃいました。本来、政治は弱者のためにあるもの。トヨタは強者だが、もし技術力で負けたら、地域の弱者のためにならない。だから頑張ろうと思った。ここが完成したからと言って、我々、全てが解決し、前に向けるとは思っておりません。これからこそがスタートだと思っています。

これから GR、レクサスのメンバーなど総勢3000人が、本日より、ここで「走る・壊す・直す」を繰り返してまいります。私も、マスタードライバーとして、下山の道を、たくさん走ってまいります。“下山の道”がクルマをつくる…、生産工場ではありませんが、これから“下山産のクルマ”が世界のあらゆる道を走り、たくさんの人を笑顔にしてまいります。下山で加速していく“トヨタのもっといいクルマづくり”を、お誓い申し上げて、 これまでのご協力とこれからも続いていく皆さまとの共生へのお礼に代えさせていただければと思います。

本日は、ありがとうございました。

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