オーバーホールを繰り返して1台のクルマを一生乗り続けるなんてことは稀なこと。多くの人は買い替えを前提にクルマを購入するはずだ。そんな時に気になるのが「いくらで買い取ってもらえるか?」だ。査定額は高ければ高いほど嬉しいが、自分が思っているほど高くはないのが現実だ。つまり、「好き」という気持ち先行でクルマを購入すると買い替えの時に泣きをみることになってしまうことにもなりかねない。
そこで今回は、リセールバリューが高いクルマを選ぶために最低限知っておくべき基礎中の基礎と言える知識をご紹介しよう。
トヨタ1強の今となっては……だが、「あのトヨタに勝ったクルマたち!!」
文/藤原鉄二、写真/トヨタ、日産、ホンダ、写真AC
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リセールバリューの平均下落率は3年後で50~60%程度
クルマのリセールバリュー(再販価値)は歳月とともにどんどん下落していく。なかでも走行距離はリセールバリューをダウンさせる大きな要因。残価クレジットに走行距離制限を設けられているのも、クルマの再販価値が残価を下回ることを防ぐための策なのだ。
一般的には、3万kmを超えたあたりからリセールバリューは大きく下落すると言われている。ただし、走行距離がそこまで延びていないとしても、3年後で平均で50~60%程度は下落することは覚悟しておこう。
不人気車が一転、高額査定車に化ける…なんてことはごくごく稀
ホワイト系など無難なボディカラーがアンパイ。どの車種に関してもこの傾向は変わらない
ディーラーでの下取り額や中古車買取店での買取額に大きな影響を与えるのが市場での流通量だ。いわゆる「タマ数」が少ないクルマは希少価値がついて、思わぬ高額査定となる場合もある。ということは、不人気車はタマ数が少ないため、生産終了後にある程度の歳月が過ぎればリセールバリューが高くなる可能性があるかも……と思う人もいるかもしれないが、それは超レアケースだ。
生産期間中に不人気だった車種は、それがたとえ絶版車になったとしても不人気車のまま……。つまり欲しい人は少ない(需要が少ない)ため、査定額は低くなってしまう。
こういったことから、リセールバリューに重きを置いて新車購入をするなら少し様子見をするほうが無難。特に、ブランニューモデルや、フルモデルチェンジでコンセプトががらりと変わってしまったようなクルマは、発表直後に飛びつくのは避けたいところだ。
ちなみに、車種の他に、ボディカラーも査定額に影響する要素。個性的なカラーよりは、ホワイト、パールホワイトやブラック、シルバーメタリックなど、人気の高い無難なカラーのほうが査定額は高くなる傾向にある。
短期的な乗り換えを考えるなら、モデルチェンジサイクルをチェック
ランクルはモデルチェンジサイクルも長いうえ、旧型でもリセールバリューの落ちが他モデルと比較して大きくない超優秀車。モデルチェンジ着後に飛びついてもOKな数少ないクルマのひとつ
モデルチェンジもリセールバリューを下げる要素となることから、モデルチェンジサイクルの長いクルマをモデルチェンジ直後に購入するのがベストだ。
もちろん前述のとおり、リセールバリューは走行距離など、さまざまな要素で差がつくものの、一般的にはマイナーチェンジで40万円前後、フルモデルチェンジで80万円前後は下がると言われている。
ただし、フルモデルチェンジ4年、マイナーチェンジ2年というのは今は昔の話。近年では、6~8年ほどに伸びてきている。そのため、3~4年と短期的に買い替えるつもりの人はモデルチェンジサイクルの長いクルマを選べば、買い替え時でもモデル末期ではない現行車として売ることができる。
現在においての一押しはランドクルーザー。つい先日フルモデルチェンジを行ったが、前回のフルモデルチェンジは2007年9月なので、今回もかなり長期間に渡り現行車として活躍してくれる可能性大だ。また、ランドクルーザーは値落ち率が少ないクルマの代表格ということも安心材料のひとつ。
もうひとつは、2021年4月にフルモデルチェンジを行ったばかりのヴェゼル。前回のフルモデルチェンジが2013年12月だったことを鑑みると、こちらもランクル同様、今のモデルが長期間に渡り現行車であり続けることが予想される。新型も好調な売れ行きをみせていることも心強い要素!
他に、2022年以降にフルモデルチェンジが噂されるハイエースワゴン(前回フルモデルチェンジ2004年8月)、エルグランド(前回フルモデルチェンジ2010年8月)あたりも今後の狙い目と言える。
今なら、人気のミニバンやSUVがお薦め
好調のライズは狙い目。ハイブリッド、ガソリン車ともに将来的なリセールバリューの急落の可能性は低いだろう
現在リセールバリューが高止まりしているのはミニバンやSUVで、モデルチェンジをしても下落しにくくなっている。前述のランドクルーザー、ヴェセルの他にライズやCX-5、RAV4、ヤリスクロス、カローラクロスなどなど。登場から間もないが、ヤリスクロス、カローラクロスなども、現状を考えるとリセールバリューが急激に下がる可能性は低いと考えられる。ミニバンやSUV人気は長きに渡りつづていいることから、
いっぽう、近年、人気低迷が続いているスポーツカーは、それに比例してリセールバリューも低い傾向にある。
また、現状ではプリウスやアクアのような人気のハイブリッドカーのリセールバリューは比較的安定している。いっぽうのEVは、電池の経年劣化の懸念があることからハイブリッドカーと比較するとリセールバリューは低めだ。
エコカーの技術は日進月歩のため、ハイブリッドカーにしてもEVにしても、ガソリン車よりもモデルチェンジの影響は受けやすいことは否めない。
廉価グレードよりは上級グレードを
オプションは純正ものがベスト。サンルーフ、本革シートなどは査定額を引き上げることが多い
上級グレードは廉価グレードよりも査定額が高めなのが一般的だ。特に、標準グレードと上級グレードの装備に大きな差があるクルマは上級グレードのほうが圧倒的に有利。
ただし、中古車市場ではエコなクルマの需要が高まっている傾向があり、大排気量の上級グレードは敬遠されることもある。
また、新車時のみ装備可能というメーカーオプションは高額査定につながる。そのため、購入時はメーカーオプションの内容はしっかり調べて取捨選択するようにしたい。
ちなみに、特別仕様車や限定車は人気の高いモデルのものであれば高額査定も期待できる可能性もあるが、一般的にはそれほど査定額には響かないようだ。
下取りと買取、どっちがお得?
中古車買取店なら、市場動向により敏感な査定をしてもらえることが多いため、偶然に需要と売りたいクルマがマッチしていれば期待以上の査定額をゲットできる可能性も
ディーラーなどでクルマを買い取ってもらう、いわゆる「下取り」と、中古車買取店などで買取ってもらう、いわゆる「買取」ばどちらが得なのか?
下取りの場合は、査定するディーラーで次のクルマを購入することが前提のため、不人気車だったとしても、中古車買取店などよりも多少の"イロ"をつけてくれることもある。ただし、それは同メーカーのクルマの買い替えが条件になることが多く、下取り車が他メーカーのものの場合は、中古車買取店よりも辛めの査定になる可能性が高い。
いっぽうの中古車買取店の場合は、市場動向に合わせるためシビアな査定にはなるが、市場での人気が高い車種の場合は、年式が古くても、走行距離が多くても、下取りよりずっと高値の査定となることもある。
中古車市場での販売価格は400万~500万円のものもあるくらいのAE86のような車種の場合、買取だと200万円オーバーもザラというウホウホな状況。これが下取りだと、数十万円程度が普通。もちろん、AE86のような夢のような激高査定のクルマは10~20年に一度出るか出ないかだが、どのようなクルマでも一度WEBで買取相場をチェックしたり、査定比較をしてみることは必須だ。
クルマは大事に乗るが基本中の基本
ちょっしたキズやヘコミはしっかり修理。見た目は非常に重要だ
最後に当然ではあるが、クルマは大事に乗ることが大前提。ディーラーであっても、中古車買取店であっても「内外装に傷やヘコミが少ない車輌、無事故、ワンオーナー」が好まれるのは常識だからだ。
そのため、キズがついたらすぐに修理をする、塗装の劣化しやすい環境で保管しない、内装を汚さないようにするなど、細かい気遣いをしてクルマに乗り続けることが重要だ。
また、カスタマイズは基本はしないほうが無難。ただし、スポイラーなど、なかにはプラス査定となるパーツも存在する。その場合でも、取り外した純正パーツは保管してノーマルに戻せるようにしておくのがお薦めだ。
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