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ピュアEVより軽量&パワフルにできる!? e-POWERで魅力的なスポーツモデルは作れるか

掲載 更新 4
ピュアEVより軽量&パワフルにできる!? e-POWERで魅力的なスポーツモデルは作れるか

 モーターの力で「走り」も注目! 日産 e-POWERで魅力的なスポーツモデルは作れるか?

 2020年12月発売の新型ノートを筆頭に、直近では2021年2月に発表されたキャシュカイe-POWERで、可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載するなど進化を遂げているe-POWER。

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 先代ノートではすでにe-POWER NISMOモデルが設定されていたが、より一層ベース車と差別化を図ったスポーツモデルの素材としても興味深い存在だ。

 そこで本稿ではe-POWERを使ったスポーツモデルの可能性を考察。そのカギを握るパーツとは?

文/松田秀士 写真/NISSAN、編集部

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同じモーターを使うノートe-POWERとリーフの「違い」

新型ノート(2020年12月/全長4045×全幅1695×全高1520mm)

 新型ノートは近未来を予感させるようなソリッドなデザインが好評で、筆者自身も先日500km近い試乗を楽しんだところ。そこで感じたのは高速道路におけるプロパイロットの半自動運転のような優秀な制御。そしてe-POWERの進化だ。

 e-POWERは「電気自動車の新しい形」と日産が言うように、ガソリンエンジンで発電して、その電力を使い電気モーターで走行するというもの。したがってガソリンさえ給油すればどこまでも走り続けることができる。

 e-POWERの進化に関してはすでにキックスでも体験済みだが、モーターパワーの制御と切れの良さ、そして室内静粛性のために無駄にエンジンを稼働させないなど、きめ細かな制御プログラムが投入されている。

 実は、新型ノートをお借りする前にリーフe+「G」を借りて試乗した。新型ノートは直3・1.2Lのエンジンで発電し、小さいながらも高電圧のリチウムイオン電池に充電しながら116ps/280Nmを発生する電気モーターで駆動する。

 一方のリーフe+「G」に発電エンジンはなく、62kWhのリチウムイオン電池に外部電力を充電し、そこから電力を取り出して218ps/340Nmを発生する電気モーターを走らせる。

こちらはノートe-POWER 4WDのシステムイメージ。エンジンで発電し、前後のモーターを駆動させる仕組み

 ノートe-POWERに対してリーフe+「G」は、倍近いパワーを持っていて、加速性能では雲泥の差がある。つまりリーフe+「G」のアクセル全開での加速性能はもの凄い。

 実はこの2台、使用している電気モーターは同じもの。同じモーターを使用しているのにこれほどのパワー差が出るのは、使う電力の差があるから。ガソリンや軽油などの内燃機関は、ターボやエンジンをチューンしなければパワーアップはしない。

 しかし、電気モーターはより大きな電力を与えてやるだけでパワーアップする。つまり、新型リーフの3気筒1.2Lエンジンが発電する電力では、116psが加速性能や航続距離のバランスがとれているのだ。

e-POWERの技術を使えば軽量でパワフルなEVができる

2019年に販売された62kWhバッテリー搭載のリーフe+(全長4480×全幅1790×全高1545mm)

 リーフはもともとEVだからリチウムイオン電池に貯めた電力を取り出すだけ。もちろん回生で充電もするが、基本外部電源から充電し発電機を持たない。このため大きなバッテリーを必要とする。

 リーフe+「G」のバッテリー容量は62kWhだ。テスラなど海外のEVでは90kWh以上レベルがざらにある。ここで何が言いたいかというと、その大きなバッテリーを搭載することによる重量増だ。

 ノートe-POWERの車重は1220kg。対するリーフe+Gの車重は1680kgだ。実に460kgもリーフは重い。つまり、EVでより大きな動力性能を追い求めるとリチウムイオン電池しかない今の技術では重量との戦いになる。

リーフe+Gの車重は1680kg。搭載するリチウムイオン電池の容量によって重量が左右される

 重量が増せば慣性が大きくなり、コーナリングもブレーキングもより大きな慣性に対応するメカニズムが必須になる。

 対してe-POWERの技術ならより大きな発電をするためのパワフルなエンジン(発電機)を搭載することで目的は達成できるのである。

 現在のノートe-POWERは、軽量化のため3気筒1.2Lのエンジンを搭載しているが、これを4気筒1.5Lターボや2.0Lとより大きくパワフルにしたとしても460kgもの重量増にはならない。せいぜい+50kgぐらいでパッケージングできるのではないだろうか。

2021年夏に発売予定の新型キャシュカイe-POWER(全長4425×全幅1838×全高1635mm)

 つまり、e-POWERの技術を使えば軽量でパワフルなEVができるというわけ。実際、欧州で発表されたキャシュカイe-POWERの発電用エンジンには日産の技術の結晶でもあるVC(可変圧縮比)エンジン(154ps)を採用し、電気モーターの出力は187ps。リーフe+「G」の218psに迫る勢いだ。

 実際、リーフe+「G」よりもキャシュカイe-POWERの方がはるかに軽量なのだから運動性能はe-POWERに軍配が上がる。

インバーター&モーターとバッテリーがe-POWER高性能化の肝

 余談だが欧州向けノートe-POWERも1.5Lエンジンにパワーアップされる。e-POWERは発電用エンジンのパワーアップにより、さらにパワフルなモーターパワーが得られるのだ。

 先日、オンラインでの発表で日産はe-POWER発電用エンジンの熱効率50%を達成する見込みがついたとのこと。

 ただし、これはエンジンの回転数を効率の良い固定回転にしてのこと。これではスポーツ性に乏しいと感じるかもしれないが、例えばマツダのMX-30 EVではスピーカーからエンジンではないモーター+インバーターの心地よい音を流していた。ギミックではあるがこんな方法もあるだろう。

2016年12月のマイナーチェンジで投入された先代ノートe-POWER NISMO S(全長4190mm×全幅1695×全高1535mm)

 スポーティなe-POWERに関しては是非NISMOやオーテックでの開発に期待する。例えば電気モーターは高回転域で効率が悪くなる。これに対してトランスミッションを装備することで操る楽しみをプラスしながら効率を上げる。さらにモーターの高回転域の回転升を下げるなどハードウェアの進化もありだろう。

 もうひとつ、電気モーターにとって重要なインバーターだ。e-POWERには小さいながらEVのようにバッテリーも存在する。バッテリーは直流(DC)なので交流(AC)で動くモーター(ブラシレス)に送る電流は直流から交流にしなくてはならない。

 この役目を司るのがインバーターだ。直流は一定方向のプラスマイナスの流れだが交流はプラスマイナスが常に入れ替わる。そのサイクルが一般家庭電源では50Hz/60Hzのレベル。家電でも交流をいったん直流にして(コンバーター)、再度インバーター(交流)によって家電製品に適したサイクルを作り出している。

 しかし、クルマの高性能モーターを動かすインバーターでは数万Hzとなる。これによって加減速を含めきめ細かくモーターをコントロールしている。高性能インバーターなしでは加減速はできないのだ。そう、アクセルさえコントロールすれば走ると想像しがちだが、そこにはインバーターという先進機器が介在する。

 e-POWERのスポーツ性については、このように高効率で軽量パワフルな専用内燃機関の開発と、高性能なインバーターとモーターの開発、さらに軽量・高電圧・高効率なバッテリーの開発という要素が求められる。

 つまり、開発のノリシロがまだまだある楽しみなコンテンツなのである。

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みんなのコメント

4件
  • たかが発電の為だけに、
    VCターボエンジンを使うのって、
    勿体なくないですか?
  • スポーツは軽さが命。余計な資源を使って重くなってまでスポーツしてちゃ本末転倒なのでは? 
    折角資源を使ってまでして排ガス減らしてんだから徹底的に環境重視にしてスポーツは燃料車と分けたらいいわ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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