自家用車はあるけど、利用するのは週に1、2回近所のショッピングセンターに行くだけ――こんな乗り方をしている人は意外に多い。こうした“ちょい乗り”は、クルマに負担をかけないようでいて、実は寿命を縮めかねない利用法なのはご存じだろうか?
今回は、なぜちょい乗りがクルマにダメージを与えるのか? そしてそれを解消する方法について考えていくことにしたい。
クルマの寿命を縮める「ちょい乗り」…長く乗りたければたまにはロングドライブを!!
文/長谷川 敦 写真/日産、マツダ、写真AC、AdobeStock(アイキャッチ写真 @tenjou)
そもそも“ちょい乗り”とは?
近年では大型の駐車場を備えたショッピングセンターも増えていて、徒歩圏内に住んでいても、ラクなクルマに“ちょい乗り”して買い物に行く。なんてケースも
今回のテーマである「ちょい乗り」に明確な定義はない。しかしあえて定義するなら、クルマを使うのが週に数回未満、その走行距離も1回につき10km以内としよう。もし週に1回であっても、数10~100km以上の距離を走るのであればそれはちょい乗りではない。
世の中には月に1度、ヘタをすると何カ月かに1度しかクルマを動かさない人がいる。このような使い方では、よほどメンテナンスに気を使わないとクルマが良好な状態をキープできないのは想像できるはず。その点、たとえ1回につき数kmであっても、頻繁に乗るちょい乗りならOKと思うかもしれない。だが、残念ながらちょい乗りもまたクルマにダメージを与えてしまうのだ。
では、ちょい乗りによってダメージを受けるのはどこなのか? 項目ごとに見ていこう。
ちょい乗り最大の被害者はバッテリー
暑い季節はちょい乗りであってもついエアコンを強く効かせてしまう。これでドライバーは快適になるが、バッテリーの消費電力は一気に上がることになる
従来型のガソリンエンジン車では、エンジン始動時にセルモーターを回すエネルギーは車載されたバッテリーから供給される。そしてドアミラーの開閉やエアコン、カーナビなどの電源もバッテリーだ。このバッテリーはエンジンを回すことによって充電を行うのだが、数kmのちょい乗りでは、エンジン始動などに使った電力を十分に補充できないまま走行を終了することもある。
こんな状態を繰り返してしまうと何が起こるか? そう、バッテリーの残量不足だ。バッテリーが完全に充電されないまま使用を繰り返すことによって残量は徐々に低下し、最後はエンジン始動に必要な電力も得られなくなる。
残量ゼロは極端な例だが、バッテリーは内部の化学反応で充・放電を行うため、しばらく走らせることにより内部物質が活性化され、これがバッテリーの劣化を防ぐ。実際、バッテリーメーカーでも10分以上の連続使用を推奨している。
ちょい乗り使用されるクルマのバッテリーが劣化しやすいのは事実であり、通常のクルマより早めに交換、なんてケースもある。
エンジンだって暖まりたい!
エンジンがどのように温まっているのかを知る指標になるのが水温だ。水温が80℃以上になっていれば問題ないが、ちょい乗りではそこまで上がらずに終了する
エンジンの暖機運転という作業がある。これは走り出す前にある程度エンジンを回しておいて、オイルやパーツの温度を最適にしておくもの。液体であるオイルはもとより、熱による体積変化が起きる金属製のエンジンパーツも、適切な温度になっていないと負担が増える。とはいえ最近のエンジン&オイルの品質は向上していて、そこまで神経質に暖機運転を行わなくてもよい。
暖機運転が不要な理由は、数分も走ればエンジンが適切な温度になるため。しかし、この“数分”がクセモノだ。数分以内に終わってしまうちょい乗りでは、適正温度まで暖まらないうちにエンジンが停止してしまい、このサイクルが繰り返されることによってパーツの摩耗が進行することになる。
エンジンの適正温度は水温が80℃の時と言われている。通常の走行であれば10分程度でこの温度に達するのだが、ちょい乗り、特に冬場には適正温度まで上がらずに走行を終えることもある。こうしたサイクルを繰り返すことにより、エンジンには徐々にダメージが蓄積してしまうのだ。
エンジンオイルの劣化も進行?
通常は走行5000~1万kmでの交換が推奨されるエンジンオイル。だが、ちょい乗りを繰り返していると、交換サイクルが短くなる可能性が高い
エンジン同様にエンジンオイルにも適正温度はある。これがだいたい水温より10℃ほど高い90℃くらい。先に説明したように、ちょい乗りで水温が上がりきらなかった場合、エンジンオイルの温度もまた適正値に達することなく走行が終わってしまう。
エンジンオイルは適正な温度で使ってこそ本来の性能を発揮し、エンジン内部の潤滑を行ってくれる。しかし、温度が低いままのオイルは抵抗となり、それだけでエンジンの性能をスポイルする。
また、エンジン内部にはさまざまな理由で水分が溜まってしまうが、エンジンが適温になればこの水分は自然に蒸発する。しかし、温度が低い状態で停止すると、蒸発しきらなかった水分がオイルに混入し、これがエンジンオイルの劣化を早める。一度劣化したオイルは、たとえその後に適切なエンジン温度で連続走行をしても十分な性能を発揮することはない。
ちょい乗りによるダメージを防ぐには?
近郊への買い物やちょっとした用事の際にもクルマが活躍してくれることは多い。しかし、ちょい乗りによって見えないダメージが車体に蓄積されていってしまう
ここまで見てきたように、ちょい乗りを繰り返していると総走行距離が短くてもクルマの劣化は想像以上に進んでしまう。はたしてこれを阻止する方法はあるのだろうか?
結論から言うと、ちょい乗りによる劣化を止める奥の手はなく、「たまにはしっかりと距離を走る」以外の処方箋はない。理想を言えば月に2回、最低でも1回はある程度の距離を走ってエンジンやエンジンオイル、バッテリーをリフレッシュするのがイチバン。
この“ちょいじゃない乗り”の距離は10km以上、可能であれば高速道路を走って高回転域までエンジンを回してやるとよい。これだけでもエンジン&エンジンオイルの状態を良好に保つことができる。それが難しいのであれば、買い物に出た際にいつものショッピングセンターではなく、より遠い施設まで行くのもアリ。とにかくエンジンを十分に暖めよう。
バッテリーに関しては、市販のリフレッシュ機能付きバッテリーチャージャーで週に1回程度充電(またはリフレッシュ充電)を行えば劣化を抑えることができる。とはいえこの方法はバッテリーのみに有効で、エンジンには影響しない。だが、自宅駐車場での長時間のアイドリングも環境上好ましくないため、時々は中~長距離を走るのがやはり最善の策と言える。
仕事などの関係により、どうしてもちょい乗り中心になってしまっている人も多いだろうが、大切な愛車を良好な状態に保ちたいなら、時間を作ってなるべく乗るようにしてほしい。それが結果的にランニングコストを抑えることにもつながるはずだ。
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みんなのコメント
1000キロ連続で走るのと
10キロ100回を比べると
圧倒的に前者の方がクルマにはいいんだが
かなりの数の人が後者がクルマに優しいと言う