LC500&LC500hが目指すのは世界水準
さまざまな最新技術を採用したレクサスのフラッグシップクーペとして、世界的に見ても高水準のクルマへと仕上げられたLC。そのパフォーマンスは、ワールドクラスと言えるものか。能力を同クラスの競合モデルと比較しながら優位性がどこにあるか検証していこう
【レクサスLC500やカマロは10段!】ギヤの段数は多ければ多いほどいいのか
ブランド力ではまだ海外勢に勝負しづらく強みは技術力
海外ブランドの高級スポーツカーを扱う代理店の担当者によると「お客様の年齢が二極分化している」という。もっとも多いのは裕福なクルマ好きの中高年で、仕事で成功して可処分所得が増え、さまざまな高級車を乗り継いだのちに高級スポーツカーを買っている。その一方で20代の後半から30代の需要も厚い。IT企業の経営者などに多く、豊かさの象徴として一足飛びに高級スポーツカーに辿り着く。
クルマの好みは年齢にあまり関係ないが、日本のメーカーはアストンマーティンやマセラティに比べてスポーツカー作りの伝統が乏しい。なおかつ国産高級スポーツカーはブランドを確立していないから、自社製品からの乗り換えを期待しにくい。技術力で勝負することになるが、この点は大きな強みになる。
LCの優位点は走りはもちろん内外装な作り込みにある
1000万円を超えるクルマとなれば、あらゆる部分で所有する満足感を提供して然るべきだ。その点でLCは走りだけに特化せず、内外装のゴージャスなデザインや作り込みによって特別なクルマであることをつねに感じさせてくれる。スイッチやレバーといった操作系は配置や操作感はもちろん、素材の手触りもいい。
シートは運転席、助手席ともに形状だけでなく表皮の組み合わせと相まって、優れたホールド性と心地いい座り心地を実現。どんな状況においても優雅に、あくまでも紳士的にドライブするのがふさわしいと実感させる造りがなされている。
国産で比べるなら、GT-Rは高性能なエンジンと独自の4WD機構によって走行性能が総合的に優れ、07年に発売されたときの価格は777万円と格安だった(当時の消費税は5%)。今ではピュアエディションが996万840円となるが、乗り心地が熟成され、機能を考えれば割安と言える。
NSXの価格は2370万円に達し、輸入車と同等かそれ以上に高い。スポーツハイブリッドSH-AWDは独創的で、旋回性能が高い。エジンとモーター駆動を合計したシステム最高出力は581馬力を発生させながら、JC08モード燃費は12.4km/Lと良好だ。
この2車種は高出力と4WDを組み合わせて走りを磨き、GT-Rは割安な価格、NSXはハイブリッドによる優れた燃費性能を達成した。海外の強豪にブランド力で引けをとっても、独特の魅力で勝負できる。
ライバルの本命は欧州の名だたるスーパースポーツ
LCを筆頭にスーパースポーツと呼ばれるクルマは、少量生産であるがゆえに開発、生産にコストと時間が費やされている。その分プライスは跳ね上がり、どれも1000万円超の値付けがなされている。そんなライバルの本命を挙げると、BMW6シリーズ、アウディR8、マセラティ グラントゥーリズモ、アストンマーティン ヴァンキッシュという超高額モデルだ。
高額になればそれに見合った価値が求められるが、LCは独創性、パフォーマンスやステータスといった点でも世界の名だたるスーパースポーツに対して十分な競争力を備えている。さらにレクサス・ブランド流の品のよさ、オーナーへのきめ細かな気配りも含め、満足度の高い選択と言える。
LC500hはスーパースポーツでも低燃費だがV8のLC500は厳しい
そしてレクサスLCの優位性は、新開発されたマルチステージハイブリッドだ。4速の有段ギヤを備え、従来型の動力分割機構を使うハイブリッドに比べると、アクセル操作に対する反応がダイレクトで機敏な加減速を行なえる。システム最高出力は359馬力で、JC08モード燃費は15.8km/Lと優秀だ。1.5リッターNAエンジンのロードスターに迫る。
かつて「高級スポーツカーのユーザーは燃費を気にしない」と言われていたが、今は環境性能に対するニーズが高い。燃料消費量が増えやすい高性能車ほど優れた低燃費技術が求められており、LC500hは高性能と両立させた。
これに比べてV型8気筒のLC500は、最高出力が477馬力に達するもののJC08モード燃費は7.8km/Lにとどまる。570馬力を発生するGT-Rの8.8km/Lを下まわり、500hと比べて数値上は2倍の燃料を使う。開発者は「昔ながらのV8エンジンらしい力強い加速感を大切にした」と言うが、レクサスは前述のように歴史が浅くブランド力も乏しい。優れた独自の技術を備えないと、海外の強豪に太刀打ちしにくい。
■パワートレイン比較
パワーや速さはスーパースポーツの能力を示すわかりやすい軸だが、日本国内の一般公道でその能力をフルに引き出し、堪能することは叶わない。しかし、潜在能力の高さをハイスピード領域でなくても実感させ、ドライバーに「本気を出したらどうなるんだ」という期待をつねに抱かせてくれるのがスーパースポーツたる所以でもある。また、燃費や環境性能を度外視することなく、時代のニーズに則した能力が追求されていることも重要だ。
パワートレインライバル分析(1) vs BMW6シリーズ
4.4ℓV8エンジンは革新的な技術を搭載し、パフォーマンスはもちろん効率のよさも追求。優れた操縦性を発揮するとともに、しなやかな乗り味で爽快なクルージングを実現している。
パワートレインライバル分析(2) vs アウディR8
V10エンジンは高出力を発生。低負荷時にはエンジンの片バンクを休止させるシリンダーオンデマンドにより、優れた燃費性能を実現
パワートレインライバル分析(3) vs マセラティ グラントゥーリズモ
スーパースポーツらしい轟音を響かせながら、0-100km/h加速は4.5秒という俊足ぶりを見せつける。切れ味の鋭いハンドリング特性と相まって爽快な走りを披露する
パワートレインライバル分析(4) vs アストンマーティン ヴァンキッシュ
0-100 km/h加速が3.8秒を発揮。タッチトロニック3の滑らかな変速制御も、ジェントルなドライブフィールの実現に貢献している
“80点プラスα主義”がスーパースポーツのLCにも必要
レクサスLCを含む国産高級スポーツカーの機能と価格が海外の強豪と同等であれば、多くのユーザーは後者を選ぶ。国産を買ってもらうには、機能や性能が輸入車よりも明確に優れ価格も抑える必要がある。
そして高級スポーツカーには、初代カローラの開発理念でもあった「80点プラスα主義」が不可欠だ。ライバル車と比べたときに90点以上の優れた機能をいくつか備え、80点を下まわる粗さも目についてはならない。レクサスLCの商品力は全般的に高いが、乗り心地にはもう少し角の丸い柔軟性が欲しいところだ。価格が1300万円以上となれば要求水準も高まるからだ。開発者も「乗り心地の改善は今後の課題」と言う。
また後席は2名乗車時に手荷物を置くスペースだが、同じ室内空間に変わりはない。後席のモールが省かれるなど質感の部分で気になる。細部は今後熟成するのだろう。
海外の有力ブランドは、スポーツカーを含めて、デザインから運転感覚まで個性を確立させてブランドイメージも定着している。いわばクルマ作りの縄張りが出来上がり、後発のレクサスはそこを避けて特徴を打ち出さねばならない。
■コクピット比較
運転席まわりは豪華なうえにエレガンスが漂い、高水準なスポーツカーとしては走りへの期待や高揚感が得られるような造形が必須となる。
運転席はスイッチやメーター類がドライバーを包み込むように配置され、運転に関わるすべての操作が自然に行えるのが理想と言える。紳士たる者、車内ではつねに落ち着いてクルマが持つ性能をスムースに引き出し、悠然とドライブしたいものだ。また、クーペとはいえども、同乗者が心地いいと感じられる空間造りがなされているかも見逃せない。
コクピットライバル分析(1) vs BMW6シリーズ
ドライバーオリエンテッドに仕立てられたコックピットは、どんな状況でもすべて機能を的確にコントロールできる
コクピットライバル分析(2) vs アウディR8
アウディ バーチャル コックピットによってさまざまな情報を表示。上級な素材を用いた車内はじつに豪華だ。
コクピットライバル分析(3) vs マセラティ グラントゥーリズモ
レーシングカーからインスパイアされた造形や操作感にこだわった素材により、卓越した走りを思う存分堪能できる。
コクピットライバル分析(4) vs アストンマーティン ヴァンキッシュ
インテリアのカラーはさまざまなパターンから選択でき、自分流のアレンジが可能。もちろん高級な素材を使用。
多岐にわたる魅力を盛り込んで海外の強豪に挑む
以前のレクサス製スポーツカーは控え目で上品な雰囲気を特徴とした。存在感が希薄に感じられたが、今はスポーツ性を分かりやすく表現している。
ステアリングのギヤ比を可変式にして後輪操舵も備えたLDHは、RC350Fスポーツでは操舵感が過敏で不自然さを伴うが、LC・Sパッケージではプラットフォームの刷新と相まって違和感が抑えられた。後輪が横滑りを生じたときに後輪操舵を少し意識するものの、ボディサイズのわりに機敏に曲がって安定性も高い。
この切れのよさがレクサスLCの走りの特徴だ。直進安定性は欧州ライバル勢にやや譲るが、軽快にカーブを曲がる楽しさがある。北米で好まれる低中速域の機敏さと、先進のハイブリッドによる低燃費に、ややアクの強い外観を組み合わせた。レクサスLCは多岐にわたる魅力を盛り込んで海外の強豪に挑んでいる。そこが個性であり優位性なのだ。
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