LSに次ぐハイエンドサルーンであるレクサスESがついに日本に投入された。伸びやかで美しいフォルムと快適さ、そして、レクサスならではのスポーティな走りを実現していた。REPORT◉永田元輔(Gensuke Nagata) PHOTO◉市 建治(Kenji Ichi)
日本でのレクサスセダンのラインナップは、小さい方からIS、GS、LSという構成であったが、昨秋に新たにESが加わった。ESは北米ではずっと販売されてきた車種だが、7代目となるこの新型から日本でも発売されることになったのだ。しかし、サイズ的に完全に被ってしまうGSはというと、消滅してしまうという噂もある。もしそうなら寂しいが、FFのユーティリティ性にはかなわないのだろう。
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事実、ESの室内は相当に広い。何しろ全長4975mm、ホイールベースは2870mmもあるのだ。前席がゆとりタップリなのはもちろん、後席も余裕で足が組めるほど。LSと見まごうばかりのエクステリデザインは高級感に溢れており、LSユーザーを食ってしまうのではないかと余計な心配をしたくなる。とはいえLSは新型になってロングホイールベース仕様のみとなったから、実際にはちゃんと棲み分けができるのだろう。
パワーユニットはハイブリッドのみで2.5ℓの直4とモーターの組み合わせだ。THSIIはもはや熟成の域といった感じで、スムーズさや静粛性はいうまでもなく、動力性能にもまったく不満はない。Fスポーツはかなり足まわりが硬めの設定で細かな振動をストレートに伝えてくる。街中メインならもうちょっとソフトな方がいいのでは、と感じたが、バージョンLではその振動がすっきりと消えていた。バージョンLには微小な動きにも減衰力を発揮するスウィングバルブショックアブソーバーが装着されているが、その効果が大きいのだろう。Fスポーツが19インチ、バージョンLが18インチというタイヤの差も乗り心地の違いに影響しているのは間違いない。
注目の新技術、デジタルアウターミラーは想像よりもずっと使い心地が良かった。最初は、特に助手席側を確認すると、ついドアミラーがあるべき場所を見てしまったりするが、それもしばらく運転していれば慣れる。右左折時や後退時に視野を自動で変える(キャンセルも可)など、カメラ式ならではのメリットもある。今回は試せなかったが、夜間や雨の日でも鮮明な視界が得られるというから、実はかなり便利な装置なのだ。
ただ、モニター画面があまりに後付け感丸出しなのは高級車であることを考えると改善して欲しい部分だ。オプションパーツである以上、ダッシュボードに組み込んだデザインにはできないのだろうが、せめてもう少しスッキリとして欲しい。
総じてES、ハイエンドのFFサルーンとして、非常に高いレベルでのまとまりを感じるが、プレミアムブランドとしてはもう少し独自の魅力や個性、つまり強さが欲しいのも事実。その点、GSの方が強さはあるような気がする。
※本記事は『GENROQ』2019年2月号の記事を再編集・再構成したものです。
レクサスES300h Fスポーツ
■ボディサイズ:全長4975×全幅1865×全高1445mm ホイールベース:2870mm
■車両重量:1720kg
■エンジン:直列4気筒DOHC 総排気量:2487cc 最高出力:131kW(178㎰)/5700rpm 最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600~5200rpm
■モーター:最高出力:88kW(120㎰) 最大トルク:202Nm(20.6kgm)
■トランスミッション:電気式無段変速機
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡダブルウイッシュボーン
■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク
■タイヤサイズ(リム幅):Ⓕ&Ⓡ235/40R19(8J)
■燃費:23.4km/ℓ(WLC)
■車両本体価格:629万円
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