現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トヨタのハイブリッド専用車は終焉? プリウス・アクアの人気が急落した訳

ここから本文です

トヨタのハイブリッド専用車は終焉? プリウス・アクアの人気が急落した訳

掲載 更新 98
トヨタのハイブリッド専用車は終焉? プリウス・アクアの人気が急落した訳

■トヨタのハイブリッド専用車の人気が急落

 過去の販売ランキングを振り返ると、トヨタ「プリウス」と「アクア」というハイブリッド専用車が、圧倒的な強さを誇りました。それが最近は大幅に下降しているのですが、一体なぜなのでしょうか。

【なぜ燃費でプリウスがランク外!?】燃費トップ5にアクア、ノートも無し! 国産車の最新燃費ランキング

 2009年(暦年)から2012年までの国内販売ランキング順位を見ると、先代プリウスが軽自動車を含めて総合1位でした。

 2013年には総合1位がアクアに入れ替わります。2014年の総合1位はダイハツ「タント」でしたが、小型/普通車の1位はアクア。2015年にはアクアが再び総合1位になり、2016年にはフルモデルチェンジを受けた現行プリウスが再び総合1位に返り咲きます。

 2017年には、ホンダ「N-BOX」の現行モデルが登場して総合1位になりました。N-BOXは先代型も好調に売れましたが、国内販売の総合1位になったのは2017年が初めてです。

 この後、国内販売の総合1位は一貫してN-BOXですが、小型/普通車に限ると、2017年の1位はプリウス、2018年は日産「ノート」(2位はアクアで3位はプリウス)、2019年は再びプリウスが1位を奪還しました。

 このように、少なくとも小型/普通車の1位は、ハイブリッド専用車のプリウスとアクアがガッチリと押さえていたのです。

 ところが2020年に入ると、小型/普通車の販売ランキング順位が一変しました。2020年1月から6月は、1位がトヨタ「ライズ」、2位がトヨタ「カローラ」、3位がホンダ「フィット」、4位がトヨタ「ヤリス」、5位がノートと続き、プリウスは9位、アクアは12位まで後退しています。

 2020年はコロナ禍の影響で各メーカーとも生産と販売を滞らせたので、販売ランキング順位も、本来の人気を反映したものとはいえません。

 それでも小型/普通車市場におけるプリウスの順位は、コロナ禍の影響が生じる前の2020年1月は7位、2月は9位に下がっていました。アクアも同様で、1月は8位、2月は5位です。前年同月に比べると、両車とも35%前後の大幅な減少でした。

 売れ行きが下がった理由をトヨタの販売店に尋ねると、プリウスについては次のようにいいます。

「カローラが2019年9月にフルモデルチェンジをおこない、ステーションワゴンの『カローラツーリング』を中心に売れ行きを伸ばしました。

 1.8リッターエンジンをベースにしたハイブリッドも用意され、プリウスに比べるとボディスタイルも馴染みやすく、安全装備は先進的です。カローラの販売が増えたことで、プリウスの売れ行きは下がりました」

 カローラツーリングよりもプリウスのほうが優れているところはないのでしょうか。

「後席はプリウスが少し広いです。またプリウスは外観が個性的で、カローラツーリングに比べると、ハイブリッド車であることをアピールしやすいです。

 そのために環境対応に力を入れる企業が社用車として使うときは、いまでもプリウスが好まれやすいです」(前出の販売店スタッフ)

 ハイブリッド専用車というプリウスの価値を求めるユーザーもいますが、一般的には新型カローラツーリングを好む傾向が強く、プリウスはユーザーを奪われているようです。

 ただしカローラの登録台数を見るときは、注意が必要です。5ナンバーサイズに収まる先代モデルにあたる「カローラアクシオ/フィールダー」やハッチバックの「カローラスポーツ」も台数に含めて、カローラの登録台数として公表されているからです。

 カローラ全体に占めるアクシオ/フィールダーの販売比率は、2020年前半で19%と高いです。設計の新しい3ナンバーサイズのカローラは、ワゴンのカローラツーリングが50%、セダンは18%、5ドアハッチバックのカローラスポーツが13%と続きます。

 従ってカローラツーリングに限ると、売れ行きはプリウスと同等ですが、ユーザーを奪われていることも確かです。

■トヨタ内でライバルモデルが出現!?

 アクアの売れ行きが下がった理由をトヨタの販売店に尋ねてみると、次のような回答でした。

「2011年に発売されたアクアは、9年が経過したモデルです。2019年におこなわれた東京モーターショーでは、新型ヤリスが初披露され、これを待っていたお客さまも多いです。

 新型ヤリスはハイブリッドを含めてエンジンやプラットフォームが新しく、アクアに比べると走りや乗り心地も優れています。

 内装も上質です。安全装備や運転支援機能も進化したので、アクアからヤリスに乗り替えるお客さまも増えました」

 アクアが新型ヤリスよりも優れたところはないのでしょうか。前出の販売店スタッフは次のように話します。

「新型ヤリスにはディスプレイオーディオが標準装着され、一般的なカーナビとは使い勝手が異なります。高齢のお客さまには馴染みにくいようです。

 また新型ヤリスのCD&DVDデッキ(ディーラーオプション)は、助手席の下に装着され、駐車してディスクを入れ替えるなど、少々手間がかかります。

 後席は新型ヤリスよりもアクアのほうが広く、また新型ヤリスは登場したばかりということもあって値引きも少ないです。

 そのためディスプレイオーディオが不要で後席に乗る機会も多く、なるべく安く買いたいというお客さまはアクアを検討されますが、普通はヤリスを選ぶことが多いです」(前出の販売店スタッフ)

 プリウスは外観の好みが分かれ、アクアは設計が古いという一方で、新型のカローラシリーズやヤリスが加わったために売れ行きが下がりました。

 ハイブリッドが珍しかった時期を過ぎて、普通のメカニズムになったことも、ハイブリッド専用のプリウスやアクアが後退した理由でしょう。

 そして販売現場からは別の声も聞かれました。

「プリウスとアクアは以前から全店が販売していましたが、ヤリスの前身である『ヴィッツ』はネッツ店、カローラシリーズはカローラ店の専売でした。

 それが東京では2019年4月から、ほかの地域でも2020年5月から、すべての販売店がトヨタの全車種を扱うようになりました。

 新型ヤリスやカローラシリーズは、もともと需要の多い人気車なので、全店/全車扱いになって売れ行きを伸ばしました。この影響でプリウスとアクアが減少する傾向も見られます」

 トヨタ店が扱うコンパクトなハイブリッド車は、以前は全店扱いのアクアのみでしたが、いまなら新型ヤリスやカローラシリーズのハイブリッドも購入できます。そうなるとアクアの売れ行きは下がるでしょう。

 このようにプリウスとアクアは魅力が相対的に下がり、設計の新しいヤリスハイブリッドやカローラハイブリッドは、機能が充実する上に全店扱いになって購入しやすくなりました。

 その結果、プリウスとアクアの売れ行きがますます下がったわけです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
カー・アンド・ドライバー
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
くるまのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
くるまのニュース
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
ベストカーWeb
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb

みんなのコメント

98件
  • 現行プリウスはデザインが駄目、アクアは古すぎるし、プリウスもアクアもフルモデルチェンジすれば、また売れるようになるよ。
  • ハイブリッド専売だと、クラウンが最強でヤリスがボトム、ってなヒエラルキーから外れるのが利点だから、潜在的な人気はあると思う。
    プリウスもモデル末期、アクアに至ってはシステムが2代目プリウスの改良版だから化石みたいなモンで、むしろ頑張ってると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0789.0万円

中古車を検索
プリウスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

275.0460.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0789.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村