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純粋なV8エンジンモデルの最後になるか? フェラーリ F8 トリブートを国内レポート【Playback GENROQ 2019】

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純粋なV8エンジンモデルの最後になるか? フェラーリ F8 トリブートを国内レポート【Playback GENROQ 2019】

Ferrari F8 Tributo

フェラーリ F8 トリブート

最新のポルシェ911「タイプ992」を海外試乗。空冷911オーナーが感じた進化の極みとは? 【Playback GENROQ 2019】

V8ミッドシップモデル、44年の集大成

488の後継となるV8ミッドシップ、F8 トリブートが日本上陸を果たした。フェラーリの中でも最もピュアで最もスポーティな伝統のシリーズはどのような進化を果たしているのか。フェラーリ史上最強のV8モデルとも言われるF8 トリブートの細部に迫る。

「F40へのオマージュも込められたスリット入りのリヤウインドウを採用」

以前に比べれば、多くのラインナップを抱えるようになったフェラーリだが、V8ミッドシップモデルが最もスポーティな性格を与えられており、また最も人気のあるモデルであることは変わりない。その意味で、F8 トリブートは今最も注目を集めているフェラーリだといえるだろう。

ついに日本に上陸を果たしたフェラーリの最新V8ミッドシップ、F8 トリブートは、一見したところ488シリーズの正常進化版に見える。だが、よりダイナミックな造形となっているサイドパネル、新デザインのLEDヘッドライト、丸型4灯となったテールライト、3本のスリットが設けられたレキサン製リヤウインドウなど、そのディテールは完全に一新されている。

特にリヤ周りの印象は大きく変わっており、リヤウイングから連続するボディパネルの中に4灯のテールライトが埋め込まれているスタイルにより、視覚的に従来よりも低く、安定した印象を受ける。このデザインは308GTBに象徴される、初期のV8ミッドシップモデルをイメージしたものだという。スリットが開けられたリヤウインドウもエンジンルームの熱気を排出するという実用面の効果だけでなく、あのF40へのオマージュも込められている。ちなみにF8はフェラーリV8、トリブートはtribute(賛辞)のイタリア語。F8 トリブートはその名前の通り、歴代V8モデルへの賛辞が随所に見られるのだ。

「0-100km/hは2.9秒、最高速度は340km/hのパフォーマンスを発揮」

ボディサイズは488よりも43mm長く、27mm広く、5mm低くなっているが、実際に見た感じの印象はほとんど変わらない。基本となるシャシーは488から受け継いでいるので、全長の延長はSダクトの採用など新たな空力デバイスによるものだろう。そのSダクトは初めて採用された488ピスタのものよりは小型化されているが、再設計により効果は向上しており、総ダウンフォースにおけるSダクトの貢献度は15%まで向上している。また軽量化も進められており、乾燥重量は488GTBに比べて40kg軽くなっているという。

エンジンは488ピスタと同様の3902cc V8ツインターボで、720ps/7000rpm、770Nm/3250rpmを発揮。7速DCTを組み合わせて0-100km/hは2.9秒、0-200km/h加速は7.8秒、最高速度は340km/hというパフォーマンスを発揮する。走りの面での注目は最近フェラーリが特に注力するビークルダイナミクスだ。488ピスタで採用されたフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)はFDE+に進化し、RACEモードでも作用するようになった。これにより、限界域でのコントロールがより容易になり、そのパフォーマンスを多くのドライバーが楽しめる、としている。もちろんE-Diff、F1-Trackなども搭載され、そのすべてが統合制御されることになる。

「488のデザインを踏襲するが、ダッシュボードやドアパネルなどはすべて新設計」

インテリアもアナログ式のタコメーターをドライバー正面に設置し、その両側にTFTモニターを配置、メーターバイザー両脇に丸形のエアコン吹き出し口を置くなど、488からのデザインを踏襲しているが、ダッシュボードやドアパネル、センタートンネルなどはすべて新設計。ステアリングもやや小径の新デザインとなり、助手席前のパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイも新型7インチとなっている。

星形スポークの新デザインホイールに装着されるタイヤはフロント245/35ZR20、リヤ305/30ZR20で、これは488と同じサイズ。カーボンセラミック製のローターに前後6ポットのキャリパーを組み合わせるブレーキも、488シリーズから受け継がれている。ただしバンパー外側にブレーキ冷却用の新型インテークを設けてホイールアーチ内の気流も改善していることから、限界域でのブレーキ性能がさらに向上していることは確実だ。

「これが最後の純V8エンジンか。マラネッロの動向から目が離せない」

458、488、そしてF8 トリブートと進化してきた最近のフェラーリV8ミッドシップだが、この3世代で基本シャシーは継承された。その一方で、フェラーリはV8エンジンに3モーターを組み合わせたSF90ストラダーレを発表したばかりだ。つまりF8 トリブートで基本ボディを刷新しなかったのは、次期V8ミッドシップがハイブリッドとなるからではないか、とも思える。SF90ストラダーレはV12スペチアーレに匹敵する特殊なモデルではあるが、その基本シャシーがハイブリッド化される次期V8ミッドシップに流用される可能性は高い。

そう考えると、F8 トリブートは44年間続いた純エンジンV8ミッドシップの最後を飾るモデルとなるのだろうか。マラネッロの動向に、ますます目が離せなくなりそうだ。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)、藤井元輔(Motosuke FUJII)

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ F8トリブート

ボディサイズ:全長4611 全幅1979 全高1206mm
ホイールベース:2650mm
乾燥重量:1330kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3902cc
最高出力:530kW(720ps)/7000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/3250rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(9J) 後305/30ZR20(11J)
最高速度:340km/h
0-100km/h加速:2.9秒
車両価格:3245万円

※GENROQ 2019年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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みんなのコメント

6件
  • いや純粋にフェラーリV8は458までだと思います。あの甲高い咆哮はターボ化された488では無くなってしまいましたから…
  • コメントで「NAじゃないと」とか言ってる人とそのコメントに賛同してる人ってって少なくともフェラーリ所有してる人ってこと……?

    日本すげぇ……。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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