この記事をまとめると
■ベトナムの「VinFast(ビンファスト)」の車両がタクシーとしてラオスで展開される
「ヴィンファスト」にアメリカが騒然! LAショーに進出した「ベトナム」の自動車メーカーの正体とは
■VINグループがタクシー会社も運営していることでトータルサポートができるのが強み
■今後は車両と人材を持ち込んで日本市場にも参入してくる可能性がある
ベトナム発「VINグループ」の勢いが凄まじい!
報道によると、ベトナムブランドのBEV(バッテリー電気自動車)「VinFast(ビンファスト)」でおなじみのVIN(ビン)グループ傘下でビンファスト製BEVや電動バイクのレンタル及びタクシー会社である「GSM(Green Smart Mobility)」が、ラオスでタクシーサービスを開始するため、150台のビンファストのBEVタクシー車両をラオスに輸出したとのこと。
ベトナム各地ではすでに今年春ごろから、ハノイやホーチミン、ダナンなどの都市でBEVタクシーが運行されており、ハノイ市では今年4月のスタート時に500台が導入されたとのこと。
筆者はホーチミン市にしか行ったことはないが、そのときのホーチミン市のタクシー車両は、タクシー会社が異なっていても「トヨタ・イノーバ(新興国向けMPV)」で統一されていたのだが、このなかにいまではビンファストのBEVタクシーが交じって走っているようである。
タクシー事業者大手となる「ビナサンタクシー」をよく使っていたのだが、乗務員は制服を着用し、新興国では珍しいほど車内も綺麗で、日本のタクシーに近い印象を受けた。
いまでは日本でも認知されてきたアプリ配車サービスが利用でき、クレジットカードをはじめ多種多様な料金決済が可能で、BEVタクシーも当然このアプリサービスで配車要請することが可能となっている。ホーチミンのような大都市で500台からスタートしているので、全体から見ればまだまだ少数ともいえるが、ベトナム各地の主要都市における街の様子が変わることは間違いないだろう。
しかし、「ベトナムブランドのBEVをタクシーとしてベトナム国内の都市で展開する」のなら、まだ“あるある”話となるが、今回はラオスへそのサービスフォーマットを展開するというところに筆者は注目している。
現状、タイやインドネシアでもBEVタクシーは運行しているが、中国・比亜迪汽車(BYD)のフリート販売向け車両やテスラ車での試験導入レベルとなっている。日本など先進国よりは中国アレルギーのない東南アジアだが、それでも街の顔であるタクシーが中国車になってしまうのには戸惑いもあるように見える。
しかもBYDは、自社系でタクシー会社は持っておらず、あくまで車両提供のみにとどまっている。しかし、ビンファストは自社系列でタクシー会社を持っており、今回はラオスへまさに車両持ち込みでタクシー事業を行うとしている。これはまた新しい試みでじつに興味深いところ。
日本市場でも脅威になる可能性を秘める
日本では、過疎地域ではすでにタクシーの主要燃料であるLPガスを供給するスタンドどころか、ガソリンスタンドすら存在しない地域が目立ってきている。そんなこともあり、軽規格BEVで大ヒットしている日産サクラは、地方部でも大ヒットしているようだ。しかし、そんな地域のタクシーをBEV化しようにも、日系ブランドでは適したBEVのラインアップそのものが少なく、選択肢がない。
中国や韓国系メーカーという選択肢もあるが、世代が高まるにつれ抵抗が増し、なかなか現実味を帯びない。そんななか、親日的ともいえるベトナムのBEVは抵抗が少ないといえるだろう。零細タクシー会社の多くは後継者がいなかったり、そもそも世代交代してまで事業継続するつもりがないところも目立つ。
そのようなところをVINグループが買収し、ベトナムからビンファストのタクシー車両とともに日本でタクシー事業を展開するというのも十分ありえる話だ。
車両だけでなく、これは法整備なども必要だが、ベトナムから乗務員まで連れてきたら……。日本のタクシー業界における諸問題を一気に解決してくれる可能性を秘めているともいえるだろう。
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